チリ通信−21 (2006年7月5日)
皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
日本は毎日雨のようですが、こちらイキケは寒い毎日です。
まずはお仕事の話です。
イシガキダイのプロジェクトは少しずつですが進んでいます。
ハッチェリー(種苗場)の改修はほぼ終わり、給水施設の設置に着手するところです。
ポンプハウスは4月に完成しており、この前後にパイプを敷設する予定です。
チリの海岸は波が高く、特に6月は時化で写真のようにポンプハウスを波が洗う状態です。
この状況に耐えうる設置方法を議論し、もうすぐ工事が始まる予定です。といっても自分たちで工事するわけですが・・・。
このプロジェクトのほかに他の大学から彼らのプロジェクトに参加依頼があったのですが、スポンサー探しで難航しているらしく音沙汰がありません。
首を長くしていると今度は、所属先の大学から海洋牧場計画を大学のプロジェクトのひとつとして政府機関に応募するようにと要請がありました。
私としてはそのために此処に来たわけで、本腰を入れ始めたところです。
締め切りまであまり時間がありませんが、できる限り準備するだけです。
実は今回の要請には公開セミナーという前振りがありました。
恒例の海洋学部公開セミナーは6月22日に本学会場にて開かれ、私は海洋牧場計画について一般用にまとめなおして20分ほど話しました。
公演内容は以下のファイルにある -marine ranching-lecture-unap-060622-public (1.7Mb) よりダウンロードできます。
要旨は以下です。
近年、チリにおいて漁獲過多による有用沿岸魚類の資源枯渇が見られ、前回滞在した5年前に比較してもさらに資源の減少が進んでいる。
資源の急激な減少は政府発行の統計資料においても明確であるが、実際的には市場で売っている魚のサイズが小型化(若齢化)している。
この状況は成熟前の個体を再生産(産卵)前に漁獲していることを示しており、資源の減少が更にすすむ事を示唆している。
解決策の一つとして、放流と資源管理を組合した海洋牧場計画による有用魚種資源の再生と増加および恒常的生産を提案する。
具体的には人工種苗の漁礁への放流、漁礁における資源量分析により持続的最大漁獲量の推定、砂地などの低生産海域への漁礁設置による生産量の増大が要点である。
日本の海に比べ生産力の高いチリの海であれば高生産や再捕率の向上が望め、最終的には海洋牧場の企業化を目標とする。
セミナースタッフの一人が誕生日ということで、2次会にみんなで繰り出しました。
例によって"カンパイ友の会"を広めてきましたが、
今まで私の参加した海外での誕生日会(フィリピン・エクアドル・マラウイ・チリ)は日本とはチョッと違うところがあります。
それは主賓が会の費用を負担して、友人を招待し誕生日会を催すことです。
ですから祝ってもらう方は手放しで喜んでばかりもいられない、という訳です(デモお互い様だからイイか)。
最後になりましたが、駐車違反のキップを1日に2枚もらった話の顛末です。
1枚目の指定日に警察裁判所の出頭し47,000ペソを払いました。
この金額は昼定食30食分に相当し、決して安いものではありません。
手続きはいたって事務的で心配は杞憂に終わりましたが、2枚目を何とかならないかと相談しました。
オバチャン曰く、"外人だから標識がよく分からなかった"ということでコレコレの証明書を提出すれば30%ディスカウントできると
親切に教えてくれました。
そして2枚目の指定日に証明書を準備して臨んだところ、
警察のコンピューターには記録されておらず"アンタ払わなくていいヨ"とのこと。
どうも切符を切るほうがワイパーに挟んである1枚目を見て"マーいいか"と記録しなかったようです。
ということで2枚目は幻の違反キップとなり、Mucha gracias でありました。
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