チリ通信−19 (2006年5月8日)
皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
日本は新緑の頃と思いますが、こちらイキケは日増しに涼しくなっております。
まずは仕事の進展状況です。イシダイプロジェクトの方は飼育施設の設計と必要資材表つくりは終わりました。
今は資機材調達に関する見積もりの取得中です。
関係機材は以前仕事をしたアフリカのマラウイに比べて豊富にあるのですが、見積もりが出てくるのが非常に遅くて困っております。
年末の産卵期にはまだ時間のあるものの、先が思いやられます。
一人で煮詰まっても仕方ないので、水産養殖大会に出展するマテリアルの準備を始めました。
この大会は毎年国内の水産関係の大学が一同に会し、1週間に渡り情報の交換を行うものす。
今年は私の所属するアルツーロプラト大学が当番に当たっており、私も黙って座っていたのでは仕事の発展が無いので参加することにしました。
本当は講演をしたいところですがすでに締め切られており、ポスターの出展をすることになりました。
内容は去年行ったムラタの種苗生産に関して、親魚の産卵と水温の関係についてです。
新たな仕事につながればよいのですが・・・。
いずれにしても仕事確保のためには情報発信は大事なことなので、インターネット上に今までの書き物を公開することとしました。
なお仕事のメールアドレスは toshichile@yahoo.com です。
さて、今回のお題はペヘレイ漁です。
ペヘレイは市場でも売っているのですが、我々は飼育親魚の餌確保のために漁獲しています。
私的には、たまには海に出て潮風に吹かれないと良いアイデアが浮かばないので便乗させてもらいました。
早朝、船長のアゴスティンと助手のチョチェを車で拾いイキケ港に到着しました。
大学所有のアンタレス号に乗船し、みなと公園にたむろするアザラシを見ながら出港。漁場は港内はずれの魚粉工場前です。
ちょうど朝日が砂漠の上から昇り、チリペルー海戦記念公園に光が射しかかりました。
澄んだ空気と海からの湿気が見せる景色で、早起きするとこういうご利益があります。
まずは漁場に着くまでの間に撒き餌を作ります。これは小イワシをすりつぶし海水で薄めたもので、魚を集めるのに効果があります。
網は一重の刺し網(丈1.5m、長さ50m)で、網を入れながら撒き餌をします。
網入れ後さらに網に沿って撒き餌をすれば漁獲増が見込めますが、ここで問題発生。
せっかく網にかかったペヘレイをアザラシが横取りするのです。
彼らにしても泳いでいる魚を獲るよりも、動けない魚をいただく方が楽なわけです。
アザラシが来るたびに網を揚げて場所を変えるのですが、アザラシはしつこく船をマークして追いかけてきます。
10時過ぎになるとアザラシたちは満腹したのか来なくなり、やっと落ち着いて漁ができるようになりました。
今度は私が獲れたての魚をフィレにしてかぶりつくと、野蛮だと白い目で見られましたが・・・。
昼まで漁をしてバケツ2杯(30Kg)ほど漁獲し、まずは良しとしました。
もちろん漁獲の一部は自家用に少しいただき、冷蔵庫の中に確保しました。
40尾ほど背開きをしたので、背開きにはいささか自信ありです。
日本では導入後に霞ヶ浦で自然繁殖して困っているようですが、身は白身で淡白、キスに似た味で塩をふりフライでも焼きでもOKです。
Pejerreyは魚の王様という意味で、日にかざすと身が透けて見え、見るからにおいしそうです。
そんなこんなでやっぱり海はいい、というところで今回はおしまいです。
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