2005年12月8日

総務大臣 竹中平蔵 様

やぶれっ!住基ネット市民行動
代表 〔氏名省略〕(註1)

住基ネットについての再質問書

2005年10月17日に提出しました「住基ネットについての質問書」に、ご回答いただきありがとうごさいます。しかしながら、以下の点について回答に疑問があります。

つきましては以下の点について改めて質問いたしますので、ご多忙のこととは思いますが、これら諸点について説明の場を設けていただくよう要望いたします。

なおこのことについて12月21日までに下記連絡先あてに、ご連絡をお願いいたします。

(質問事項1)
住基カードの本人確認書類としての使用通知について

写真付きの住民基本台帳カードを本人確認書類として使用できることについては、金融機関等本人確認や旅券法の施行規則などの法令において定められているとの回答でした。

しかしこれらはいずれも質問書にも述べたように、本人確認を求める関係民間団体や行政機関の側がどの書類を本人確認書類として使用することを認めるか、という規定であり、それぞれの団体・機関がその責任において判断する事柄です。

それに対して平成17年4月20日付の総務省自治行政局市町村課長通知は、総務省の立場から本人確認書類としての使用できることの周知・徹底を都道府県や市区町村を求めるものであり、これらの法令はその根拠となるものではありません。

私たちは、住基法には住基カードの表面記載を本人確認書類・公的な身分証明書として使用できるとする規定はないと理解していますか、総務省として「使用できる」とする法的根拠を、改めておたずねします。

(質問事項2)
本人確認情報の利用拡大における、自治体からの意見聴取および調査委員会での協議について

ご回答では、行政手続オンライン3法後に追加された事務については地方公共団体や住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会への報告・意見聴取はしておらず、その理由は「それ以前に別表に記載されていた事務と性質を同じくする」「他の法律の改正により追加されたもの」であり、「利用事務等に大きな変更等を伴う動きについては」報告し意見を伺うとのことでした。

総務省の「住民基本台帳ネットワークシステム 個人情報保護の取組み」では、「情報提供を受ける行政機関や利用事務を変更する法律案を検討する場合、地方公共団体の意見を十分に踏まえ、第三者機関である住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会の審議を経て行う。」とされており、「性質を同じく」「大きな変更等」の限定は記載されていません。

@ 同じか否か、大きな変更か否か、は、どこでどのような基準で判断することになっているのか、ご説明ください。

A 従来、本人確認情報提供事務は「継続的に行われる給付行政」と「資格付与に関する行政事務」における本人確認と説明されてきましたが、たとえば平成15年法律第69号の公職選挙法改正はこれとは性質を異にすると思われます。見解をお示しください。

B また「他の法律の改正により追加されたもの」だからとされていますが、他の法律の改正による際は、地方公共団体や調査委員会への報告・意見聴取は行わない、ということでしょうか。提供事務の追加を決める手続きについて、ご説明ください。

C なお、「他の法律の改正により追加」されるために、本人確認情報の提供事務の現状がたいへんわかりにくくなっています。前回の質問書でお願いしました現在までの「利用事務拡大の経過」のわかる資料をお示しください。

またとくに平成17年6月10日法律第55号「旅券法及び組織的な犯罪処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律」による改正の内容について、ご説明ください。

(質問事項3)
国民年金事務における住基ネットの利用について

(1)「第1号未加入者を把握すること」は、「現在社会保険庁において検討」とされていますが、「年金に関する行政評価・監視結果に基づく第1次勧告」は総務省によるものです。このような住基ネットの利用が現行住基法で可能か否かについて、総務省としての見解をお示しください。

(2)20歳到達者の本人確認情報について

@ 社会保険庁に対して住民基本台帳法第30条の7第3項、別表第1の76、並びに省令第1条第76項第1号の定めにより(註2)、住基ネットから提供しているとの回答でした。

総務省の「年金に関する行政評価・監視結果に基づく第1次勧告」では、提供先は「厚生労働省」となっていましたが、回答では「社会保険庁」とされています。法別表第1の76も提供先は社会保険庁となっていますが、「厚生労働省に対して」との勧告の文面は誤りと理解してよろしいでしょうか。

A また上記法令により社会保険庁に提供が認められる事務は、「資格取得の届出」「裁定請求」「支給停止解除」「受給権者の届出」等、届出や請求などのなんらかの能動的な行為に対する本人確認とされています。

総務省の「住民基本台帳ネットワークシステム 個人情報保護の取組み(註3)でも、「行政機関が申請・届出を行った者、年金受給者等についての情報が正確であるかどうかの照合を行う場合に、都道府県・指定情報処理機関から本人確認情報を提供。」と説明されています。

「日本国内に住所を有する20歳に達した者」全ての本人確認情報を一括して提供することは、この法令や説明と矛盾すると思われますが、見解をお示しください。

(連絡先)〔省略〕