思うこと 第46話 2005年10月20日 記
修行中の若者の話を聴いて
修行中の教室員の若者、野間 聖君が休暇を利用して久しぶりに教室を訪れたので、これまでの6年間の研修の歩みを教室の全員に話してもらった。 野間君は鹿児島大学に在学中から私の提唱していた「臨床真っ黒こげコース」に共鳴してくれ、6年生の時に聖路加国際病院の内科レジデントを受験し、みごと合格した若者で、その後、右の略歴にあるように、聖路加国際病院でレジデントとして活躍し、極めて高い評価を受け、4年目にはただ一人しかなれないチーフレジデントに抜擢され、その働きもまた大きな評価を受けたのであった。その後、公立陶生病院で呼吸器の専門研修を開始し、現在その2年目で、来春、教室に帰局の予定である。
野間君が見せてくれた聖路加国際病院の現在の発展した姿(左の写真)を見ながら、私は私の聖路加病院レジデント時代を思い出し、感無量であった。当時もレジデントは24時間勤務態勢であったが、レジデントの宿舎はスレート屋根の木造平屋であったが、その場所に写真中央の新病棟が建ったわけで、隔世の感がある。野間君のプレゼンテーションが終わった直後に、どこかにしまってあるはずだと思って、とうとう探しだしたのが左の書類である。これは、私の8ヶ月間のレジデント生活の間に私が直接担当した87人の患者さんの退院サマリーの控えである。私のもとに3人のジュニアレジデントがいて、彼らも私とほぼ同じ数の患者さんを受け持ち、彼らの患者さんは全て私が上司として責任を負っていたので、退院サマリーは私との連名で書いたので、それまで入れると、8ヶ月で350人の患者さんを担当した。野間君は4年間いたので、私の6倍以上の入院患者さんを経験したことと思うが、すばらしい研修をしたことが、同君のプレゼンテーションからうかがえた。私が、最も感銘を受けたことは、聖路加病院のような立派な研修病院といえども、後期研修になればなるほど弱点があるということを、同君がよく認識してくれていたことであった。私をはじめ、同君の話を聴いた教室員やロータイト研修医の全てに感動をあたえたプレゼンテーションであった。ちょうど運良くこの週に第3内科の研修に来ていた5年生の7人にとって、同君の話を聴けたことは極めてラッキーであった。写真はプレゼンテーション後に同君を囲んで撮った学生達との写真である。同君が来年、大学に帰って来る日が楽しみでならない。