9月の日銀短観、ナガイレーベンの自社株買い、ニトリ会長のコメント、
介護事業者の倒産、ウォール街のランダム・ウォーカー、
ロナルド・リード氏の株式ポートフォリオ、アンネ・シャイバー女史の株式ポートフォリオ、
ふたりの共通点、大富豪バフェットVS商社、あまり来てほしくない未来、
長期投資の理想形、長期下落相場
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ショートコラム(2020年10月)
■長期下落相場(2020年10月28日) |
引き続き『ヘッジファンドの懲りない人たち』より「長期下落相場と短期下落相場の定義」を引用します。 ●長期下落相場:主要な銘柄が平均で少なくとも40%下落し、そうした下落が少なくとも3年から5年継続 ●短期下落相場:15%以上40%未満の下落であり、1年以上続くことは稀 ●パニック:非常に短く急激な下落 著者のバートン・ビッグス卿はこの件について、次のように結んでいます。 重要なのは時間の長さであり、それは時間の長さと苦痛の持続が人の行動パターンに影響を与え、社会を変えるものだからである 私の経験でも、株価の下落が3年間続いた、2000年春から2003年春にかけてのITバブル崩壊局面はたいへん辛かったです。 そんな相場は、ここ20年ほど起きていません。つまり大半の投資家は経験値を備えていないのです。 次の長期下落相場では相当な投資家の淘汰が進み、生き残り組のみが資産を築けると考えています。 |
■長期投資の理想形(2020年10月24日) |
バートン・ビッグス卿の著書『ヘッジファンドの懲りない人たち』に書かれていた、印象に残っている話を要約します。 1970年代の初め、著者の父はインフレと自分の健康が心配になり、母が自分より長生きするのではないかと考えます。債券を信じていなかった彼は、母のために株式ポートフォリオを組みました。 ●フィリップ・モリス 母のポートフォリオは32年で年率17%のリターンを達成し、配当収入も同じペースで増え続けました。極めつけは、次の一文です。 彼女が2年前に95歳で亡くなったとき、それらの株の多くは配当が買い値を上回っていた。 長期投資の理想形は、配当が買い値を上回ることでしょうか。おそらくロナルド・リード氏やアンネ・シャイバー女史も、同様の立場になっていたと思われます。 私自身も最終的に、このような投資を目指したいものです。 |
■あまり来てほしくない未来(2020年10月22日) |
AERAにJR西日本(9021)の社長インタビューが掲載されています。その中で、次の文言を重く受け止めました。 もちろん、少子高齢化と人口減による乗客減少への危機感は持っていましたが、10年後に想定していた「あまり来てほしくない未来」が突然現れたという状況です。 2020年の翌年が2030年だった、ということなので、これまでのやり方を大幅に変えるしかありません。 私は内需関連のローテク小型株を主たる投資対象にしています。今後、投資にあたり「この会社は、少子高齢化と人口減の進む2030年になっても、収益を伸ばすことができるのだろうか?」自問自答する必要がありそうです。 |
■大富豪バフェットVS商社(2020年10月20日) |
買物のついでに立ち寄った地元の書店にて、条件反射的に手に取った雑誌があります。週刊エコノミストの今週号『大富豪バフェットVS商社』です。 かつては硬派のイメージが強く、投資の初心者に敷居の高かった同誌も、最近ではいい意味で丸くなり、読みやすくなりました。 このたびウォーレン・バフェット氏が行なった総合商社への投資に関して上手くまとめられていますので、興味をお持ちの方は本屋さんの店頭でチェックしてみてください。 |
■ふたりの共通点(2020年10月19日) |
ロナルド・リード氏をとアンネ・シャイバー女史の共通点をまとめてみました。 ●資本主義における蓄財の秘訣を分かっており、長期投資に徹し、資本家と同じ立場になりえたこと ●事業のサステイナビリティ(持続可能性)を重視した、大型優良株のポートフォリオを組んだこと ●本当に儲けている人の常として、自らの投資について決して口外しなかったこと ●長寿を全うし、50年以上にわたって投資を続けることで「複利のマジック」を享受できたこと 私の投資歴は25年、ロナルド・リード氏とアンネ・シャイバー女史を目標に、少なくとも後25年は投資家であり続けたいと思っています。それに加えて、自分の投資について口外しなくてもいい立場になりたいものです。 |
■アンネ・シャイバー女史の株式ポートフォリオ(2020年10月16日) |
ロナルド・リード氏を取り上げた以上、アンネ・シャイバー女史を取り上げないわけにはいかないでしょう。アンネ・シャイバー女史については、2003年のショートコラムで紹介しています。 株式ポートフォリオの上位10銘柄は次のとおりです。かつて長期投資の王道とされていた、製薬会社や石油会社の含まれている点に時代を感じました。 ●メルク(MRK) 今では、シェブロンやエクソンモービルの代替えとして、バフェット氏も投資を行った我が国の総合商社株も候補に入ってきそうです。 |
■ロナルド・リード氏の株式ポートフォリオ(2020年10月14日) |
外部講師を務めている株スクールの準備として、ロナルド・リード氏の株式ポートフォリオを改めて見直し、渋さを感じました。 ロナルド・リード氏は、自動車修理工、掃除夫やガソリンスタンド店員を転々としながら、長期投資で800万ドル(8億円)の遺産を残した米国の個人投資家です。 その遺産を病院や図書館に寄付したため、ニュースとして取り上げられ、全米に名前が知れ渡りました。 株式ポートフォリオは優良株を中心に組み入れられており、上位10銘柄は次のとおりです。 ●ウェルズ・ファーゴ(WFC) 足元の米国株はGAFAをはじめとする一部の銘柄が値上がりして、市場の歪みが拡大しています。よってS&P500指数を買い持ちする方法が、一概に正解とは言えなくなってきました。 普段は内需関連の小型株を手がけている私も、プロクター・アンド・ギャンブル、コルゲート・パルモリーブ、JMスマッカー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マコーミックなどのディフェンシブ銘柄でポートフォリオを組んでみたい誘惑にときおり駆られます。 仮に日本企業で代用するのであれば、花王、味の素、小林製薬といったところでしょうか。ただどうしても、米国企業のほうに魅力を感じてしまう今日この頃です。 |
■ウォール街のランダム・ウォーカー(2020年10月12日) |
数年ぶりに『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読み返しました。 私の初心者時代に初の翻訳が出版され、話題になった本です。まだ右も左も分からないうちに、本書に巡り合えたのは幸運だったかもしれません。 著者の主張は、次の4つに集約されます。 ●株式市場の歴史は、バブルとその崩壊の歴史でもある。バブルに乗り、無傷で切り抜けた人はほとんどいない。 ●ファンダメンタル分析、テクニカル分析とも、効果の程は疑わしい。つまり、完璧な投資手法など存在しない。 ●債券投資ではインフレに勝てない可能性がある。一方、株式はインフレ・ヘッジになりえる。 ●大半の投資家には、インデックスファンドを買うのが無難。個別銘柄を選びたければ、割安成長株投資をすすめる。 特に印象に残っている文言は、次の2つです。 私の個人的経験から言うと、市場で常に損をする人たちというのは、大小様々のチューリップ・バブルの魅力に抵抗できないタイプの人たちである。 理屈を超えて株価がついたり、市場が過度に楽観的になったり、無謀な投資家が跳梁する場面もあるかもしれない。しかし、やがてはあるべき株価水準が再び支配するのである。 投資家にとって常識とされていることがまとめられており、まだの方は一読しておくといいでしょう。本書の内容を踏まえた上で「自分は、どう戦うべきか」を模索するのが投資家の仕事です。 |
■介護事業者の倒産(2020年10月10日) |
東京商工リサーチの記事によれば、介護事業者の倒産が過去最多ペースで増えているそうです。休廃業・解散も過去最多ペースで推移しています。 「そういえば、最近、デイサービスの送迎車を一時期ほど見かけなくなったな」と感じていました。小・零細事業者においては、もともと人手足であった上に、新型コロナウイルス感染症の拡大が追い打ちをかけた形となっています。 長期投資家としては、今後、上場している業界大手が残存者利益を得られるのかどうかに注目したいです。少子高齢化を受けて、全体的なニーズが増えていくのは、ほぼ間違いないでしょうから。 |
■ニトリ会長のコメント(2020年10月7日) |
日経の記事によれば、ニトリHD(9843)の似鳥昭雄会長が決算説明会にて、国内景気の見通しについて「来年、再来年はもっと下がると予測している」とコメントしたそうです。 私自身も来年の今頃には、新聞に就職氷河期の見出しが踊り、金融機関は貸し渋りに転じ、業績不振企業の大型倒産が起きても不思議ではないと考えています。 実体経済の悪さをあからさまに見せつけられれば、今の株価水準を維持することは難しいかもしれません。自己資金を運用する立場としては、もし、そうなっても困らないよう、予め備えをしておきたいものです。 |
■ナガイレーベンの自社株買い(2020年10月3日) |
株主還元としての自社株買いは、キャッシュリッチな会社が株価の割安な時期に行ってこそ、効果が高まります。 そういう意味で上手いのが、医療用白衣で6割超の国内シェアを獲得しているナガイレーベン(7447)です。 同社が自社株買いを行っている時期と株価チャートを突き合せれば、株価の低迷している局面にて集中的に自社株買いを行っていることが分かります。 まるで長期投資のお手本のような買い方です。外国人投資家からの評価が高いのも納得できます。 |
■9月の日銀短観(2020年10月1日) |
本日、9月調査の日銀短観が公表されています。 個人的に一番注目している「業容判断の推移」では、景気の先行指標となる大手製造業が回復に転じました。 このグラフだけ見れば、今回の不況は底を打ったことになります。もっとも個人的な景況感とは全然合わないのですが・・・。 ひとつの事実として、冷静に受け取っておく必要がありそうです。とりあえずは10月半ばから始まる、各企業の第2四半期決算に注目しています。 |
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by 角山智