6月27日(土) “大阪府・橋下知事の英断に感謝! 裁判で勝訴した以上の意義があると喜んでいます”

  

 盆子原です。 
 皆さま、その後お元気でしょうか、永らく御連絡せず申し訳ありません。

 2月に森田会長、渡辺さんがピースボートからかえってきて、今年は盆サンの番だと、乗ることを勧められたのですが、体調が悪く、それに国家賠償裁判の証拠となる、各被爆者がブラジルに在住していたという書類を集めたりとか、まだする仕事が多く、ピースボートは断念しました。


 さて6月24日大阪府の橋下徹知事が、被爆者手帳裁判の控訴断念を発表されました。

 本当に橋下知事の英断には感謝致します。
 裁判で勝訴した以上の意義があると喜んでいます。

 これは韓国在住の被爆者が大阪地裁に提訴をしていた、いわゆる「手帳裁判」で、18日に判決があり、原告が勝訴しました。
 それに対し国は大阪府知事に控訴を求めました。
 が、知事は四〇二号通達で“被爆者が手帳を取るなら来日しろ”としていたこの事、つまり「来日要件を定めていた時の法律、またそのときの運用がそもそも論で違法だと思いました」と語り、「大阪府知事の名で控訴はできません」と、控訴を断念されたのです。

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 昨年7月下旬ブラジルの二人の被爆者が同じ裁判を広島地方裁判所でいたし勝訴しました。 私もその判決の時傍聴し、その後、広島県、厚生労働省と控訴をしないよう御願いに出向きましたが、残念ながら広島県知事は控訴をされました。

 おなじく長崎県でも同じ様な裁判があり韓国の原告は勝訴しましたが、長崎県は控訴しています。
 その理由として長崎県知事は「手帳交付は国の関与が避けられない法定受託事務、国との協議も必要」といっておられます。

 しかし、原爆の被害を受けた広島、長崎の両首長がこれまで多くの被爆者裁判を国の方針通り何ら自分の意志を示さず唯々諾々と従ってきたために、どれだけ多くの在外被爆者が、同じ被爆者で有りながらなんの援護も受けられず死んでいったことでしょうか。

 そのことを思えば、今回の橋下知事の行いを広島、長崎の首長はどう感じておられるのでしょうか。

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 在外の被爆者は今も外国に住んでいると言うだけで、日本に住んでいる被爆者と差別され、被爆者援護法による医療援護は受けていません。

 一日も早く日本に住んでいる被爆者と同等の治療、健診が受けられるようこのホームページを読んでおられる皆様のご協力を御願い致します。


 大阪府知事の記者会見内容を添附致します。

 平成21年(2009年) 6月24日 知事記者会見内容
(「大阪府ホームページ」6月24日付 から一部抜粋)

在外被爆者訴訟に関する大阪地裁判決(平成21年6月18日)後の対応について

 次に、在外被爆者訴訟に関する大阪地裁判決、平成21年6月18日後の対応についてです。大阪府は、被爆者援護法の精神や被爆者の高齢化を考えまして、早期解決を図るために本件判決を受け入れ、控訴しないこととしました。国の考え方もあるのかもわかりませんが、大阪府でもいろいろ検討し、判決内容も精査した結果、被爆者手帳の申請時において来日要件を設けていた、何が何でも一律的に日本に来なければならないという要件を設けていたこと、それによって今回の原告の皆さんが却下になったということは、行政の判断として間違っていると思いまして、私の名でというか、大阪府知事名で控訴することはできないという判断に至りました。
 厚生労働省と、もっと言えば直接舛添大臣といろいろ協議をさせてもらいました。大臣の最終的な了解、承諾というものは得てはおりませんが、これは大阪府の判断として、このような形で控訴はしないという方針にいたしました。
 今回の件で多大な苦痛といいますか、精神的苦痛ないしは多大な物理的負担をこうむられました原告の皆さん方には大変申し訳ないと思っております。今回の大阪府の判断ですべて解決するわけではないんですけれども、長い間こういう形でご不便をいろいろおかけしましたことは、本当に申し訳なく思っております。
 以上です。

質疑応答

《記者》 被爆者訴訟の控訴をしないという、これは、先ほど舛添大臣といろいろやりとりをしてという、こちらの取材では厚労省が控訴しろと府側に言ってきたと聞いているんですが、実際に舛添大臣とはどんなやりとりがあったのかをちょっとご説明いただけますか。

〈知事〉 舛添大臣も、全く高圧的にとか、「しろ」とかそんな言い方ではなくて、国の立場も考えた上で控訴はしてほしいということは言われました。そのときにもいろいろ理由を言われまして、結局、来日要件を外す議員立法がなされて、遡及させないという。確かに、民事的なこういう法律というのは遡及効がありませんから、1回議員立法をつくって、それ以降は来日しなければいけないというのはだめだということになりましたが、それ以前、まだ議員立法ができる前の段階だから、これは控訴して、きちんと法律の解釈を争ってほしいということを言われたんですけどもね。

《記者》 じゃ、最後まで舛添大臣も知事の方針については納得しなかったんですか。

〈知事〉 事務方から連絡が来ているのと大臣のニュアンスが違うので、正直にお話しさせてもらうと、大臣のニュアンスでは、これは大阪府の判断に任せるというニュアンスでした。ただ、厚労省の事務方から連絡があって、「大臣は決して了解していません」と。これは国の立場もあるんでしょうね。だけども、僕は、議員立法ができて、遡及しないというのはわかりますと。要は、議員立法が、何か法律ができて、全部さかのぼって物事がひっくり返るということになったら社会が不安定になるから、遡及しないというのは十分わかるんだけど、議員立法ができて、来日しなくてもいいというのをさかのぼらせたというよりも、そもそも、この来日要件を定めていたときの法律、またそのときの運用がそもそも論で違法だと僕は思いました。議員立法ができたかどうかにかかわらず、その判決内容は言っているとおりだと僕は思いましたので、僕の名前では控訴はできませんと。だから、控訴したいんだったら国の名前でやってほしいと。これは知事名ではできないということをお伝えして、最後に大臣は大阪府の判断に任すと言ってくださいました。

(盆子原 国彦)

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