11月1日(木) “〈主要メディア報道より ― 〉国は韓国元徴用工に慰謝料を 最高裁判決”
! 国が在外被爆者に損害賠償(慰謝料)を支払うことを命じた、初めての司法判断が確定しました!
1日の「韓国元徴用工・被爆者訴訟」上告審判決で、最高裁は国の上告を棄却したのです。
裁判の詳しい内容は
在外被爆者にも被爆者援護法の適用を!
(韓国の原爆被害者・在外被爆者に関する情報のページ)
をご覧ください。
ただ、12年前に訴えを起こされた40人の方々のうち、いま生存しておられるのはわずか15人。
故人やご遺族、残された原告の皆さまの心情を思うと、あまりにも遅すぎた判決との感も…。
すでに亡くなられた方々に、謹んで深い哀悼を捧げたく思います…。
このニュースは日本国内の主要メディアが取り上げてくださいました。少々長くなりますが、以下に紹介いたします。
太平洋戦争中に朝鮮半島から広島市の旧三菱重工業の工場に強制連行され、被爆した韓国人元徴用工40人が国などに計4億4000万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で最高裁第1小法廷は1日、国の上告を棄却した。在外被爆者への手当支給を認めなかった通達を違法とし、4800万円の国家賠償を命じた2審判決が確定した。 |
![]() 【朝日新聞 〜 11月1日更新「asahi.com」から全文抜粋】 戦時中に強制的に広島に連行されて被爆した韓国人の元徴用工40人(うち25人が提訴後に死亡)が、被爆者に対する援護を受けられなかったとして国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(涌井紀夫裁判長)は1日、国側の上告を棄却する判決を言い渡した。第一小法廷は「被爆者が国内で健康管理手当の受給資格を得ても海外に移った場合には支払わない」とした74年の旧厚生省通達(03年に廃止)は違法との判断を示した。 これにより、1人あたり120万円、総額4800万円の支払いを国に命じた二審・広島高裁判決が確定した。国が法律の解釈を誤って通達を出したことに対して国家賠償を認めた最高裁判決は初めて。原告以外の「在外被爆者」の救済にも影響がありそうだ。 第一小法廷は、被爆者援護を定めた当時の旧原爆2法(現在の被爆者援護法)が「居住地が日本国内であること」を援護の要件にしていないことを指摘。「法解釈を誤った違法な通達で、国の担当者には注意義務を尽くさなかった過失があった」と判断した。 そのうえで「違法な通達が存在したために援護を受けられず、被爆による特異な健康被害に苦しみつつ精神的苦痛を受けた原告らは法的な保護の対象になる」と述べた。 4人の裁判官のうち涌井裁判長のほか泉徳治、才口千晴の両裁判官の多数意見。甲斐中辰夫裁判官は「通達は違法だが担当者に過失はなく、法的保護に値する精神的損害も認められない」との反対意見を述べた。 判決によると、元徴用工らは44年に朝鮮半島から連れてこられ、当時の三菱重工業広島機械製作所などで働かされた。45年8月に被爆したが戦後は帰国し、長年にわたって被爆者援護を受けられなかった。 元徴用工らは三菱重工業に対しても賠償を求めていたが、二審判決は日韓請求権協定などを理由に退けており、第一小法廷も元徴用工側の上告を棄却した。 |
![]() …判決は、「法律には在外被爆者が手当を受けられないという規定はなく、通達の違法性は明らか」と述べた上で、「重大な結果を伴う通達を出す場合は、法律との整合性を相当慎重に検討すべきなのに、国の担当者が注意義務を尽くさなかった」と指摘した。… |
![]() …援護法の健康管理手当に関する旧厚生省通達(74年)が03年に廃止されるまで、日本を出国した「在外被爆者」は援護法の適用外とされ手当を支給されなかった。判決は、援護法にこの通達の根拠となる規定がないことなどから、通達を違法と判断。「違法な政策で、原告は法的保護に値する内心の静穏な感情を侵害され、精神的な苦痛を受けた」と慰謝料を認めた2審の判断を「是認できないではない」と追認した。 …(略)… 最高裁が74年通達を違法と判断したのは、在ブラジル日本人被爆者が広島県に勝訴した今年2月の判決に次ぎ2件目。… ........................................................................................ …慰謝料は通常、身体・生命や財産が実際に損害を受けた際に、それによって生じる精神的苦痛に対して認められる。交通事故の訴訟で言えば、被害者が死傷して収入が減るという損害を前提に、原状回復のための賠償とセットで慰謝料を命じる判決が典型的だ。 今回の訴訟で2審・広島高裁は、違法な通達で援護の枠外に放置された原告の落胆や怒り、被差別感などは「限度を超えている」と指摘し、精神的苦痛だけで異例の慰謝料支払いを命じた。これを最高裁も追認した背景には「窮状を見過ごせない」という考えがうかがえる。… |
![]() …被爆者救済の法律(現在は被爆者援護法)では、被爆者を「被爆者健康手帳の交付を受けたもの」と規定。交付条件は、原爆投下時に広島、長崎両市の指定地域で直接被爆したことなどだ。 手帳の交付後、申請すれば健康管理手当などの各種手当を受給できる。 国は平成15年に通達を廃止。さらに17年には、在外被爆者は海外の日本領事館などでも手当ての支給申請ができるように制度を変えている。 申請に関しては改善がみられるものの、手当申請の前提となる手帳の交付を受けるには来日する必要があり、現在も高齢や病気のために来日できない在外被爆者の救済を阻んでいる。… |
![]() 【中国新聞 〜 11月2日更新「中国新聞」ホームページから全文抜粋】 三菱広島元徴用工被爆者訴訟の提訴から12年。46人いた原告は次々に亡くなり、1日、最高裁で国の損害賠償を認める判決を受けた生存者はわずか15人になっていた。「勝利はうれしいが、あまりに長すぎた」。元徴用工の顔に刻まれたしわが、苦しく長い戦いを物語っていた。 判決の言い渡しが終わり、最高裁を出ると、支援者が「勝訴」と書かれた紙を高々と掲げた。広島から駆け付けた三菱広島・元徴用工裁判を支援する会の山田忠文事務局長(66)らから拍手がわいた。しかし、立ち会った4人の原告の表情には会心の笑みはなかった。 原告団長を務めながら六年前、亡くなった朴昌煥さんの長男、在勲さんは父の遺影を胸に法廷に座った。「父が生きているうちにこの日を迎えたかった。遅きに失したというしかない」と無念の表情を浮かべた。 |