従来、流星電波観測をしようとする場合は、HRO専用の受信機と多用途に使える汎用無線受信機のどちらかを選択していました。最近では、パソコンに受信機の大部分の機能を負わせたソフトウェアラジオ(SDR)が容易に入手できるようになりました。ここでは、SDRについて詳細に説明することとして、前者の2機種については流星電波観測国際電波プロジェクトにて紹介をしているので、そちらも参照して下さい。
国内では、アマチュア無線の電波(53.750MHz)を受信するのが主流となっているので、多くの観測者が簡単に受信できるアイテック電子研究所のHRO専用機を使用しています。しかし、今は製造中止したため市場での購入はできなくなりました。
HRO専用受信機; MRX−50 無線受信機;
IC-PCR1000
50MHz帯までの受信を目的とした受信機では、80,000円程度で新品を購入できますが、中古品を入手する方法もあります。設定には、少々の無線知識が必要となります。将来、HRO以外の使用も考えているのであればお勧めの機種です。私は、受信用としてアイコム社のIC−PCR1000を使用しています。受信機本体は電源スイッチがあるだけで、実際の設定はパソコンからとなります。
ソフトウエアラジオは、一般的にはSDR(Software Defined Radio)と言われています。
従来の汎用無線機は、アナログ電子回路技術により実現されていましたが、近年では通信方式の高度化やディジタル化が進んだため、ディジタル信号処理の果たす役割が大きくなっています。多くの処理を汎用のディジタル信号処理に置き換える動きが加速した結果、誕生した技術が「ソフトウェア無線」です。
ソフトウェア無線技術は、出力や周波数帯、変調方式などが異なるさまざまな無線通信手段を、1台の無線機のソフトウエアを書き換えることで対応する技術です。
安いSDRでは、3千円程度で販売をされていますが、電波観測用としても使用できます。世界的には流星電波観測者の65%がSDRを使用していますが、今後も増えていきそうです(2017.06.01現在)。
SDRの選定から電波受信設定までの詳細を別のページにて解説しています。
HROで流星個数が少ない場合に有効なのが、RFプリアンプです。ホワイトノイズが多い場合は、どこまでカウント数が増えるかは未知数ですが、価格も2000円以下と安いのでダメもとで取り付けても良いと思います。複数の種類が製品化されていますが、キャリブレーション(電子工作パーツセット有償配布サイト)で販売をしているRFプリアンプがあります。50MHz帯で16dBのゲインがあり電源もDC9V〜13.5Vなので便利です。ただし、キット販売なので、はんだ付け技術と初歩的な電子部品の知識が必要となります。取り付けは、HRO専用受信機の直前に組み込む方法となります。下記は内部の同軸ケーブルに割り込んだ場合の取り付け例です。RFプリアンプの前後にコネクターを付けて同軸ケーブルを介して接続する方法もあります。これだと、HRO専用受信機内の配線を切断しないで済みます。
はんだ付けが苦手な人向けには、地上デジタルのブースタなど向けに製品化したアンプがあります。Amazonで「Rfアンプ
(0.05-4G,NF=0.6dB)」を検索すると見つかります。決めるのに迷うほど表示されますが、RFアンプも使えそうです。入出力のコネクタも50ΩのSMAタイプなので使い勝手が良いです。
※ご質問、ご提案等がありましたら、杉本弘文まで連絡を願います。