長寿の両親を持ったフラミンガム参加者の特徴

最新疫学研究情報No.6

「米国フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)」によって、「両親が長生きしている人は、中年になったときの心血管疾患のリスク(危険)が低い」との報告がなされました。先の研究では、長寿には心血管疾患の予防が重要な役割を果たすことが確認されています。

ボストン大学医学校のデララ・テリー博士(Dellara F.Terry,M.D.,M.P.H)の研究チームは、最初のフラミンガム研究に参加していた被験者の子や孫で30歳以上の男女1,697人(平均年齢40歳)を対象に、「両親が長生き(85歳以上)した人(11%)」「片親が長生きした人(47%)」「両親とも長生きしなかった人(42%)」の3つのグループに分けて調査を行いました。被験者の年齢、性別、教育の程度、喫煙の有無、血圧値、コレステロール値、BMI、フラミンガム・リスクスコア(10年間で重症の冠動脈疾患になる危険率)をもとに調査が進められました。

その結果、両親が長生きしたグループでは喫煙者が少なく、「高血圧」の発症率がとても低いことが明らかになりました。特に中年の人は「血圧値」や「コレステロール値」「フラミンガム・リスクスコア」がかなり低いことが示されました。それに対し、片親または両親を亡くしているグループでは喫煙者も多く、「高血圧」の発症率も高くなっています。

さらにその3つのグループに対する12年間の追跡調査でも、両親が長生きしたグループは「高血圧」のリスクが低く、「フラミンガム・リスクスコア」の進行が遅いことが明らかになっています。

フラミンガム心臓研究は、1948年にNIH(米国国立衛生研究所)の一部門であるNHLBI(心臓・肺・血液研究所)が始めた大規模な疫学調査で、マサチューセッツに住む多くの人々を対象に研究を行ってきました。これまでの調査から、喫煙・肥満・高脂血症などが、狭心症や心筋梗塞のリスクを高めることが明らかとなりました。現在、第3世代の人々を調査対象としており、その研究範囲を心血管疾患の遺伝因子の領域にも広げています。

出典

  • 『内科学アーカイブスVol.167 2007年3月12日号』
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