大きな失敗から学び、正しい方向に歩みだしたアメリカと、かつてのアメリカの間違った食の跡追いをする日本
コラムNo.51
20世紀における2度の世界大戦を経て超大国となったアメリカは、あらゆる分野で世界の最先端を走り、まさに地球上の物質文明の頂点に立っていました。ところがその最も強力で豊かなはずのアメリカは、健康な国ではありませんでした。20世紀後半のアメリカは、先進諸国の中で最悪の“成人病大国”になっていたのです。
そうした切迫した状況の中で、アメリカは国を挙げてこの問題の解決に乗り出しました。食事と病気に関する膨大な研究成果が集められ、現代人の間違った食生活が、ガン・心臓病・脳卒中・糖尿病などの「生活習慣病」を引き起こしている事実が明らかにされました。間違った食事とは、動物性食品中心の「欧米型食事」のことです。
工業化に成功し、経済的に豊かになった国々では、必ず欧米型食事が普及するようになります。日本はその典型と言えます。アメリカは世界に先駆けて“間違った食”を推し進めるという大きな失敗を犯し、その結果として病気の蔓延という苦しみを味わいました。失敗から学んだアメリカは、“病気大国”というどん底から這い上がるための道を探しだし、方向転換していくことになりました。アメリカは現在、世界の先進国に先んじて“正しい食”が何であるかを知り、それを実践する方向に動きだしています。
ところが日本は、かつてのアメリカの“間違った食”の跡追いをし、いまだに“肉食ブーム”が続いています。その結果、ガンをはじめとする「生活習慣病」の罹患率は増加の一途をたどっています。間違った食を正すことができない日本は、生活習慣病が蔓延する“病気大国”になっています。知識人もメディアも医療関係者も肉食の効能を力説し、ひたすら肉食を賛美するような状態なのです。“美味しい料理とは肉料理である”という間違った考えが、大衆の常識となっています。今や日本は、世界の中で有数の“肉食大国”という嘆かわしい状況に陥っているのです。