バッチの「花療法(フラワーレメディー)」の本質は、霊的要素にある
治療効果の背景に隠された「スピリチュアル・ヒーリング」の偉力
コラムNo.19
ホリスティック医学を標榜する医師や治療家の中には、「花療法(フラワーレメディー)」を積極的に取り入れている人たちがいます。1936年に、イギリス人医師「エドワード・バッチ」によって生み出された花療法は、ホリスティックな健康観・治療観に基づく自然療法であり、現実に多くの治療実績を上げてきました。花療法は「エネルギー医学」の一種と見なすことができますが、バッチの後継者たちは、その本質を理解していないのが現状です。
バッチは、病気の根本原因を心理的な傾向(心の世界)に求め、その最大の原因は「人間の心理・精神のアンバランス」にあるとしました。彼は、花の中に心のアンバランスを癒す治癒力が潜んでいると考え、「太陽法(*太陽光にさらされて花の治癒力が抽出されている“露”を集めるという方法)」と「煮沸法」による花レメディー(薬)をつくりました。
花療法に携わる人たちは、これまでの治療実績が自分たちの治療の正しさを証明していると主張します。では、本当に花レメディーが患者の精神状態を癒したのでしょうか。物質の分子が全く存在しないレメディーが、どうして薬効を発揮できるのでしょうか。残念ながら花療法には、エネルギー療法としての明確な治療理論は示されていません。
花療法による治癒のメカニズムについては、「“自然快癒”の時期がたまたま一致していたにすぎない」、あるいは「“プラシーボ”によって快癒した」といった可能性が考えられます。とは言っても、花療法のレメディーに「未知の治療能力」が含まれている可能性を頭から否定することはできません。しかし、仮にそのレメディーに治癒エネルギーが含まれていたとしても、人間の持つ生体エネルギーと比べたら、その効果はあまりにもわずかなものと言わざるをえません。
花療法による治癒メカニズムのうち、最も有力なものは「スピリチュアル・ヒーリングが進行していた可能性」です。スピリチュアル・ヒーリングの世界では、人格の優れたヒーラーが手にした水に、「スピリット(霊医)」が治癒エネルギーを注ぎ込み、患者の病気を治すといったことが実際に行われています。これと同じようなプロセスが、バッチにも成立する可能性が考えられます。
「真のホリスティック医学」の観点から見れば、バッチの花療法は「スピリチュアル・ヒーリング(霊的エネルギー療法)」の一部として位置づけされます。バッチは、無意識のうちにスピリチュアル・ヒーラーの役割を果たしていたのではないかと思われます。
現在の花療法における最大の問題は、後継者たちがバッチのような高い治療実績を上げられなくなっているという現実です。バッチは、本当はレメディーなど用いなくても優れた治療実績を上げることができたはずです。「スピリチュアル・ヒーリング」という最も強力な治療を、無意識のうちに進めることができたからです。
こうした治療の背景に隠されている重大な事実を知らず、ただ創始者のつくり出した方法だけを真似しても、同様の効果を上げられないのは当然です。「エネルギー療法はヒーラーの人格によって左右される」「エネルギー療法の効果を決めるのは人間性(霊性)であってマニュアルではない」――この肝心な点に気がつかないまま、創始者のつくり出したノウハウだけにしがみつき、それを忠実に踏襲しても混乱と迷いが拡大するだけで発展性はありません。バッチの花療法の実績は、彼の優れた人格性(霊性)によるものであり、レメディーが優れていたからではなかったのです。
現在のバッチの後継者が、創始者と同じような実績を上げたいと思うなら、バッチの無私の精神、あふれんばかりの人類愛に倣って人格を磨くことです。バッチの場合は、何もレメディーを用いなくても「手かざしをする」だけでも、「話をする」だけでもよかったのです。バッチは、病気の原因は心・精神にあるとの卓見に至ったものの、エネルギー医学としての内容を深めることなく中途半端に終わってしまいました。それが彼の後継者に、混乱と戸惑い、不必要な苦しみを与えることになっています。
花療法は、ホメオパシーと同様、今後スピリチュアル・ヒーリングが普及し「霊的エネルギー療法」についての見識が定着するにともない、消滅していくようになることと思われます。