小児はり適応症   更新日 2015.3.29   2.001 本文へジャンプ

○小児はりとは
○現代医学での概要と当院の針灸治療

○患者さんからよくある質問
○院長からひとこと
○関連リンク・参考文献


小児はりとは

・小児はりは生後3ヶ月くらいから、概ね就業前までのお子さんに受けていただけます。(症状や状況によっては小学生低学年までのお子さんも対象になります。) 千秋針灸院では女性スタッフが小児科領域を専門として担当しています。

・小児はりの特徴は、専用の道具で皮膚をさするだけの接触刺激で治療を行います。さする刺激のみですので、優しく気持ちのよい治療です。皮下に刺入することはありませんので、痛みはなく衛生面での心配もありません。お子さんにはベッドで寝ていただくか、親御さんに抱えてもらいながら治療を行いますので、安心して受けていただけます。

・小児はり治療は皮膚上にあるツボや反応点に適切な刺激を与えることで、病気や症状を緩和させるだけでなく、自律神経を整えたり自然治癒力や免疫力が高まることで、健やかな発達を促します。また千秋針灸院の小児はり治療は、木の香りを大切にしたログハウス棟で受けていただけますので、お子さんのストレスを和らげ、リラックスする効果も更に高まります。


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現代医学での概要と当院の針灸治療

・小児の病気は一般に症状が激しく急激に悪化し、また回復力が残っていれば直ぐに良くなる特徴があります。器質的な障害(諸検査で判る)が無い場合には、小児はりは優れた効果を発揮します。ただし、かんのむし(神経症状)を除いて、体が弱っているような重篤な状態や、器質的な障害が無いかを判別するためにも、小児科医院への受診は必要になります。

疳の虫(かんのむし)


・生後3ヶ月〜3才頃までがおきやすい症状です。脳の発達が盛んな時期であるため、外的刺激(日常での初めての体験・人混みに出かける・遊びすぎる・旅行・保育園や幼稚園への入園などの環境の変化)や、体調の変化(かぜ・ひきつけ・突発性発疹などの体調を崩した後)など様々な原因によって、自律神経が不安定な状態となり神経過敏を引き起こします。

・情緒症状
夜泣き・泣きやすい・怒りやすい・驚きやすい・不機嫌・不安感が強い・キーキー声を出す・物を乱暴に扱うなど
・身体症状
頭痛・腹痛・手足の痛み・食欲不振など

・かんのむしについて中医学では、「乳幼児の脾胃が未成熟な時に、甘い物や味の濃い物を食べて脾胃に負担をかけることで起こる。」としています。実際に乳児が離乳食へと移る時期(生後3〜6ヶ月前後)くらいから見られ、お話を伺うと食事が大人と同じ濃い味付けや、乳幼児としては多い量を摂取されている場合がようです。疳の虫については小児はりを数日続けることで症状は消失します。一度は無くなっても数ヶ月で再発することがありますが、再度小児はりを行うことで消失しますので、その都度治療します。かんのむしは小児諸症状の中でも最も確実に効果が上がる疾患です。

・一般に初回は2〜3日続けて治療します。その後再発した場合は通常2回までで治癒します。疳の虫は中医学の「疳気」に相当し、容易に治癒しますが、痩せや腹部の脹満(張り)が見られる場合は「疳積」と呼ばれ、やや慢性化した状態です。この場合には偏食等の改善と共に、継続して治療が必要になります。


感冒
・先ずは小児科への受診が原則です。小児はりは抵抗力を付けることから、なかなか治りきらない風邪や残っている症状も対象となります。

・様々な感冒がありますが、小児はりは副作用無く抵抗力を付けることから、小児科医院へ通っても治りきらない場合や、薬だけでなく体作り(抵抗力)の面からも、と来院される方がいつの間にか増えました。確かに効果はあるようで、風邪を引かれた都度に来院される方があります。小児はり用具の使い方が異なりますが、発熱にも効果があります。1回の治療で治ることも多い疾患です。

下痢
・先ず小児科への受診が原則で、下痢以外に症状を伴わない場合は小児はりの対象となります。

・状況により非常に危険な場合もありますので、先に必ず小児科医院へ受診をお願いしています。下痢のみの症状であれば小児はりの適応となります。多くは疳の虫と同じく、中医学では脾胃の未発達や虚弱を主な原因とします。慢性でなければ、1回の治療で治ることも多い症状です。

夜尿症
・夜間無自覚に排尿するもので、多くは排尿機能の未発達により起こります。就寝前の水分摂取を控えます。器質的な障害(検査では問題なし)が認められない場合は小児はりの対象となります。

・小児科医院での検査等で異常が無く、就寝前の水分摂取を控えても夜尿がみられるケースは小児はりの対象です。小児はりの効果は比較的良好ですが、よく足が冷えたり、熱は無いのに寒さを訴える場合は灸法が効果的です。週1〜2回から始めます。間隔を空けながら、一般に数週間〜数ヶ月で治癒します。(体を温める程度の優しいお灸です。専用の換気設備が無いため、ログハウス棟では行えません。)

喘息(咳喘息を含む)
・小児の気管支喘息の多くはアトピー型であり、アレルゲン反応は陽性となります。成人前に半数以上は治癒しますが、発作を繰り返す場合もあります。風邪を引いた後にみられる咳喘息と共に、小児はりは症状改善や発作軽減に役立ちます。

・乳幼児期から学童期までの広い範囲で見られます。学童期の気管支喘息は通常の針治療が効果的です。小児はりは症状の改善に役立つばかりでなく、投薬のみに頼らない体作りの面からもお薦めできるものです。同じ理由から小児のアトピー性皮膚炎等にも効果が期待できます。週1〜2回から始めます。間隔は空けながらも比較的長期間に渡って治療が必要になります。

・咳喘息については気管支喘息に比較して軽症なため、一般に数回の治療で大きく軽減・治癒し、再度発症した場合には、その都度治療することで早期に治癒します。


・中国での小児への針灸治療は、主に経穴(ツボ)への単刺術(針を刺して直ぐに抜く)という内容です。しかし、日本には伝統的に治癒力や安全性にも優れた接触鍼(小児はり)という技術があり、千秋針灸院でも日本方式で行っています。対象は一般に3ヶ月位から小学校低学年までです。必要に応じて温灸や皮内鍼、症状が強い場合には単刺術等も併用する場合があります。なお当院では原則として小児はり治療は、小児科領域を専門に担当している女性スタッフが治療します。

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患者さんからよくある質問

Q.治療中に子どもが泣いたり騒いだりして、他の患者さんに迷惑は掛かりませんか。

A.皮膚に刺入する針は原則使いませんので、最初は戸惑うかもしれませんがすぐに慣れます。
・皮膚をさするように刺激する接触鍼ですので、通常痛みはありません。感染や内出血なども一切ないため安心して受けていただけます。また通常の診療室ではなく、建物と連絡している別棟のログハウス棟で受けていただけるため、混雑時でなければ他の患者さんにも配慮した治療が可能です。ログハウス棟はレッドシーダーの木の香りがお子さんの気持ちを落ち着け、リラックスできることで治療効果も高まります。

Q.子どもの目の状態も気にかかるのですが、診てもらえますか。

A.眼科領域を専門としていますので、必要な測定や治療も併せて行うことができます。
・千秋針灸院では必要に応じて視力の発達を確認したり、近視・弱視などへの対応も相談していただけます。小児はりの接触鍼で対応可能であれば、同時に治療することも可能ですのでご相談下さい。

Q.小児科の薬は服用してもいいですか。(服用したくない場合も含む)

A.当院は服薬に対しての指示はできません。小児はりは一般的な処方薬との併用は問題ありません。
・当院では多くの医療機関が採用している今日の診療指針・治療薬マニュアルを基に、正しい情報を提供することは可能ですが、医薬品の服用についての指示や処方は医師・薬剤師に限られています。医薬品の服用については医師や薬剤師にご相談下さい。また小児はり治療は医薬品の服用と併用しても問題ありませんし、効果を高めることも期待できます。

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院長からひとこと

・千秋針灸院は眼科領域を専門とする治療院なので、本来は小児はりを専門とする治療院ではありません。しかし小児はりへの要望が強く、治療をしている内にいつの間にか症例も増えていきました。小児はりで来院される患者さんは約半数が疳の虫ですが、道を隔てた向かいに評判の良い小児科医院がある為か、様々な疾患の方が来院されています。上記は一般的な小児はりの対象疾患ですが、他にも虚弱体質や軽度の麻痺性疾患等、様々な疾患・症状に適応する場合がありますので、お問い合わせ下さい。

・使っている小児はりは、大師流小児鍼で有名な谷岡賢徳先生の考案された専用の道具などで、皮膚を治療する経絡に沿って擦りながら少しずつ必要なツボに刺激を加える方法です。皮下へ刺すことはしませんので、衛生面でも心配はありません。また一見軽く擦っているだけに見える小児はりですが、抱いているお母さんは「子どもが温かくなる」と話され、その場で目に見えて元気になることもよくあります。また小児はりで楽になることを経験された子どもさんは、自分から行きたいと訴える場合もしばしばあります。

・小児はり治療は当院以外にも 一般に長年診療を続けられている治療院なら普通に行っていますので、まずはお近くの治療院へ問い合わせてみてください。特に薬の効かない疳の虫には絶大な効果があり、お薦めします。



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関連リンク・参考文献


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●参考文献・蔵書一覧 (当院ページ)


        

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   本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いたものです。
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