兎の少年ラルスの物語

2話

 所変わって。村から少し離れた場所。3人の男達が睨み合っていた。鬼と二人の盗賊だった。鬼は、二人の盗賊の相手をしていた。財布もそろそろ空になってきていたし、食料もつきかけていたので、盗賊に襲われた時は、これ幸いと思っていた。一気に食料と金が手に入ると。
 しかし。
 盗賊どもは、思ったよりもずっと強かった。これでは、彼らに食料と金を提供するのは自分になってしまいそうだった。もっとも、金はないけど。…などとくだらない冗談を考えながら、男は剣を振るった。きちんとした手入れをしていないので切れ味が悪く、剣というより棒のようなものになってしまっている。無事に生き延びられたら、研いてやろう。
「随分と、余裕かましてくれるじゃないか。」
 盗賊の一人が言った。
「別に。もう少しで死ぬかもしれないと思ったら、どうでもいい考えばかりが浮かんできて、俺の邪魔をするのさ。」
 男は答えた。実際集中していないとやばいのに…。
「そうか、じゃあ、さっさと死ねっ!!」
 もう一人の盗賊が、槍を突き出してきた。かわそうとしたが、足がもつれて尻餅をついた。男が胴長だったら額を貫かれているところだったが、代わりに彼の角に槍がはじかれた。彼と槍の男はお互いにしびれて、動けなくなった。
 その隙に、もう一人の男が大槌を男に振り下ろしてきた。

 場面変わって村。
「こらっ!!」
 神父の怒鳴り声で、少年はベッドから飛び起きた。「まだ寝るには早いでしょうっ。」
「ご・ごめんなさい。今日は疲れちゃって…。」
「甘ったれて…。やっぱり、お前には体罰が必要なようですね。」
 神父の言葉に、少年は真っ青になった。
「許して下さいっ。ごめんなさいっ。」
「駄目です。」
 神父はにべもない。少年は急いで逃げ出そうとしたが、普段と違ってベッドに座っていたので、あっという間に捕まってしまった。「悪いことをしたのに、素直に罰を受けないなんて…。お前の性根を叩き直さないと…厳しく罰しましょう。」
 ベッドに座った神父の膝の上に乗せられ、少年は裸のお尻をうんと叩かれてしまった。

「うーっ、痛いよぉ…。あーあ、真っ赤になってる…。」
 鏡にお尻を映しながら、少年は呟いた。「ほんとに一杯ぶたれた…。」
 言葉は厳しかったけど、お仕置きは軽くしてくれるんじゃないかと期待していたのに。…神父様がそんなに甘い人の筈もなく、たっぷりと叩かれてしまった。
「そういえば、まだお昼ご飯を食べていないよ。」
 赤くなったお尻にため息をついていたら、お腹がなった。時計を見ると、どうやら寝ている間に昼食の時間が過ぎてしまったようだ。『まさか、ご飯抜きにはならないよね?』
 少年は、不安になりながら、台所へ向かった。
Copyright 2007 All rights reserved.

-Powered by 小説HTMLの小人さん-