13.

ノックの音がする。西條は、ドア越しに、

「誰?」

と声をかけた。答えはない。

ドアの外には、城西署の制服警官もいる筈だが、その警官の声もしない。

と、西條の耳に、微かに鉄のこすれる音が届いた。

「コウ、出ろ!」

功も、伊達に西部署で鍛えられてはいない。西條の声より早く、行動を起こしていた。
西條が身を躱した途端、ドアに穴が開いた。銃声はない。
西條はヒップホルスターより、銃を引き抜き、3発ほどドアへと撃ち込む。しかし、手応えはない。

西條の側へと身を隠しつつ、靴を履く功に、

「さすが鳩村の弟子だな。余裕が違う」

と、苦笑した。

「だって、走れないでしょ、裸足じゃ」

「痛いもんな」

西條も軽口を叩きつつ、目線で窓を指すと、功は頷いた。

西條が再びドアに2発撃ち込み、功は窓から下へと飛び降りた。西條も続けて追う。

 

ロビーにいた太宰が、銃声に驚き、2階へと駆け上がった時、そこには撃ち殺された制服警官が一人、横たわっていただけだった。

 

「実力行使かよっ」

西條は、功へと銃を渡し、鳩村へと連絡を取るため、携帯を手にし、電源を入れた。
間髪を入れず、鳩村からのコールが入る。

「ドック、無事か? コウは?」

「今の所、二人とも、五体満足だけど、この先は、わかんね」

受話器から、鳩村の耳へ銃声が届く。

「真っ昼間から派手だな」

「そりゃ、相手に言って。こっから、一番近い、4丁目の、工事現場へ行くよ。相手、サイレンサーつき」

「OK」

鳩村は、電話を切ると、大下に、

「矢追4丁目の工事現場だ」

と、告げた。

「了解。あと5分で到着」

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