13.

鳩村、大下、鷹山、龍は、同じ車の中にいた。
大下はハンドルを握り、西條医院へと向かっていた。

鷹山が調べた戸籍。

大下が調べた岬という子の話。

そして、龍の記憶。

全てが、一つの結論を導き出していた。

 

先刻、大下は城西署に電話を入れていた。

「小久保刑事はいらっしゃいますか?」

と。

 

全ての糸は、彼へと集まっていた。

「いえ、小久保は外出しております」
「どこへ行ったか、おわかりになりますか?」
「失礼ですが、どちら様ですか?」
「七曲署の者です。緊急要項なので、直接お会いしたい」
「小久保でしたら、西條医院です」

という答えに、大下は血の気が引いた。

「いつ頃向かわれました?」
「かれこれ10分前くらいですが。無線で呼び出しましょうか?」
「いや、現地に直接向かいますので、連絡は不要です」

手早く伝えると、大下は電話を切って、車へと飛び乗り、今へと至っている。

小久保の到着と、自分たちの到着のタイムラグは約5分。
5分あれば、との嫌な考えが、各々の頭の中をよぎる。

奴はもう、手段を選ばないのではないか。
豊田殺しを功に押し付け、自殺を装わせて殺せば、兄への復讐も出来、一石二鳥だ。

鳩村は西條への連絡をつけようと、携帯を呼び出したが、電源は切られていた。

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