田園に着いた三人は、早速当日の様子を尋ねた。 「えーと、あの日のシフトは、私と塩田君と、岬君だったね」 店長が、カウンターの中で、思い出すように少し視線を上に向けた状態で答えた。 「はい」 カウンターの中にいた、鳩村も顔を知っている女性が、その言葉に頷いた。ネームプレートには、『塩田』とあった。 「岬さんという人は、どういう人ですか?」 大下が、メモを取りつつ、質問を続ける。それに塩田が答えていた。 「立花くんは、モカを頼んで、あの一番奥の席で座って携帯をいじってましたけど・・・」 塩田は、一番後ろで控えている、龍の方をちらちら見ている。 「高崎さん、ですよね」 と言った。鳩村と、大下が一瞬固まる。だが、龍はその問いにも、動じていない。 「だったら、どうするの?」 「ちょっと待って」 鳩村が、塩田の言葉に間髪入れずに口を挟んだ。 「全員、コウが龍の弟だって、知ってるの?」 と、龍が話を戻した。 「で、そのあと功は?」 三人の視線が一瞬交錯する。 「その子の、住所わかるよね。写真もあるかな?」
三人は、田園を出た。 龍が腕の時計を見る。 「やべぇ、ちょっと戻らなくちゃ」 「隆」 鳩村が、珍しく本名で龍を呼んだ。龍は、サングラス越しに鳩村に視線を送る。 「無茶するな。お前が無茶すれば、俺以上に悲しむ人が沢山いるだろ」 その台詞に、龍はわずかに微笑んだ。 「・・・まあ、桁違いだろうね」 そう言い残すと、タクシーを止めて、そのままその場を立ち去っていった。 と、大下の携帯が鳴りだした。 「はい、大下。・・・・タカ?」 |