ユニレンジャー・RYO(7)

 

バタン!。

慎也の出頭命令を受けた虎仮面は、司令室に入るなり、荒々しくドアを閉めた。

「何か用なんですか」

言葉遣いも横柄だ。

「おい、虎仮面。その態度は何だ!」

副官の吉岡毅志が血相を変えてとがめる。

だが、虎仮面もひるまない。

「じゃかーしい!。何が『光の巨人』じゃ。今日から『光の阪神』にせぇ」

「と、虎仮面。貴様、酔ってるのか」

「おぉ、酔っとるわい。

 慎也さん。あんた、聞くところによると、阪急ファンやったそうやなぁ。

 ふん、情けない。関西人なら阪神なんとちゃうんかい!」

今度は慎也にもからんでいく。

「その通りだが、アンチ巨人である事も確かだよ」

「ほー、チョットは救いがあるゆー訳ですわな」

「そこでだ。君に巨人ファン退治を頼みたい」

「えっ!。巨人ファン退治?!」

虎仮面の目が輝きを増した。

 

その頃、RYOはユニレンジャーに変身し、ヒーローSM倶楽部に集う

悪の一味を一網打尽にするチャンスを待って、戦闘員たちのイビリに耐えていた。

最近は、RYOが無抵抗になったのを良い事に、戦闘員はRYOに様々な雑用を

命じるようになっている。

掃除・洗濯・食事の用意や後片付けまで、雑用は全てRYOの担当だ。

今も戦闘員たちの戦闘服を洗濯をさせられたところだ。

「ヨシ。ご苦労だったな」

見張りの戦闘員が、一仕事終えたRYOの足下にバナナを放り投げる。

これがRYOの食事である。

素っ裸で首輪の鎖に繋がれた身であるとはいえ、

ユニレンジャーRYOにとっては、こんな戦闘員など敵ではない。

だが、今ユニレンジャーに変身して戦ったとしても、大きな成果は得られないのだ。

“チャンスを待つんだ”

RYOは自分にそう言い聞かせ、床に落ちたバナナを拾い上げた。

その時だ。

「こら、猿レンジャー!。いつまでバナナ食ってんのや!」

いきなりやって来た虎仮面が、RYOの手からバナナを取り上げると、

RYOを蹴り倒した。

「おい、お前、巨人ファンやそうやな。何が江川を尊敬してますじゃ!。

 あんな耳の化けモン、どこがえぇんじゃ。

 阪神をなめたらあかんぞ、こら!!」

虎仮面は大声で叫びながら、RYOのチンポを踏みつける。

「うぅっ」

思わず、屈辱の声を漏らすRYO。

しかし、虎仮面は攻撃の手を止めない。

「何が“うぅっ”じゃい。

 えぇかっこ、すんなよな。

 体育会やったら、先輩に脱がされたり、チンポをオモチャにされた事ぐらいあるやろ。

 だいたい何がヒーローじゃ!。

 ヒーローっちゅうんはなぁ、村山や江夏の事を言うじゃ。

 よう憶えとけ、ボケ!」

叫びながら、RYOのチンポを何度も踏みつける。

「な、何をしている、虎仮面。

 RYOはオークションの大切な商品だぞ。

 商品を傷物にするつもりか!」

見かねたメデューサが止めに入った。

「オークション?。何やねん、それ?」

「えっ?。いや、その・・。

 あっ。ドラフトの事だ」

「あっ、そうなん。

 ふん。それならそうと、英語なんか使わんといて欲しいわ」

「うっ、あぁ、すまん、悪かった。

 そんな事より、慎也様からのご命令を受けたのだろう」

メデューサは頭が混乱するのを必死で押さえながら、虎仮面を押しとどめた。

「あぁ、阪急ファンが何か言うてたな。

 田淵と加藤英司のトレードの話か。それなら断るぞ」

「いやもう、そうじゃなくてっ!。

 明日の準備の話だろ!。

 もう良い。後は私がやる!!」

 

メデューサは虎仮面を追い返すと、RYOの首輪に繋いだ鎖を引いて、

RYOをアジトの講堂に引き連れた。

「いいか。明日、慎也様がリクルートなさった戦闘員たちの入団式が行われる。

 あさっては、いよいよ第二回のオークションだ。

 奴隷になる前の最後の仕事だからな。

 手を抜くんじゃないぞ」

「は、はい。メデューサ様」

服従を装うRYO。

だが、メデューサの口から発せられた命令は、あまりに屈辱的だった。

「ヨシ。従順であれば、きっと良い奴隷になれる。

 お前の仕事は、この講堂の床を磨き上げる事だ。

 お前の舌でな」

床を舐めろと言うのだ。

言葉を失うRYO。

「こら、メデューサ様のご命令だぞ」

戦闘員が力ずくで、RYOを四つん這いにする。

さらに戦闘員は、「さっさと舐めるんだよ」と言いながら、

足でRYOの後頭部を踏みつけ、顔を床に押しつけた。