(5)

 

「ん……、ここは……?」

 

 目覚めてから同じようなことを口にしているかもしれないが、バットマンはそう言うし

かない。目を覚ましてみれば、彼は真っ暗な部屋にある椅子に座っていた。ベインによっ

て機能停止状態にされた両足は普通に身体を支える足に戻っており、アイビーが囁いたこ

とは嘘だったと分かる。アイビーの言葉を真に受けなければあのような屈辱を受けなかっ

ただろう、そう思わずにはいられない。拳を握り、プルプルと怒りを振るわせていると、

部屋の明かりが灯された。

 

「お目覚めのようだな、バットマン」

「次は俺達に付き合ってもらうぞ」

 

 バットマンの目の前にはトゥーフェイスとリドラーが立っていた。ベイン、ペンギン、

アイビーと続き、今度は彼らがバットマンを待ち受けていたようだ。先ほどから続く屈辱

を再び受けはしないとバットマンはベルトに手をかけようとした。だが、ベルトが腰につ

けられていない。目覚めたばかりで気にならなかったようだが、ベルトとマントは外され

たままだった。そのうえ、バットマンの周囲は空気穴が開いたガラスケースで囲まれてお

り、逃げることも抵抗することも無駄に等しかった。冷静さよりも怒りが行動に出てしま

っている。敵前で自分で恥をかいてしまったと考えざるを得ない。そんなバットマンを2

人の怪人は普通に眺めていた。バットマンの失態にも特に何も言う様子がない。2人の怪

人の静けさにバットマンは少し恐怖を感じていた。

 

「バットマン、俺達はお前とゲームを行おうと思う」

「ゲームだと……?」

「そうだ。その勝負でお前が10回勝つことが出来れば、お前は自由になることができる。

その代わり、こちらが1回勝てば、勝つごとに罰ゲームをお前は受けなければならない」

 

 トゥーフェイスはゆっくりと話し、バットマンを見つめた。だが、バットマンはその言

葉を跳ね除けた。ペンギンは約束を守ってくれようだが、今考えてみれば本当に全ての約

束を守ったのかは分からない。彼らにしてみれば、自分は敵であり、憎き存在だ。そんな

自分との約束を彼らが守るとは考えられなかった。だが、バットマンが言葉を跳ね除けた

直後、トゥーフェイスは指を鳴らした。すると、周囲の壁を覆っていたと思われるカーテ

ンが外れ、全面、窓が広がり、外の景色がはっきりとバットマンの目に映し出された。時

刻的に言えば夕方なのだろう、夕焼け空が広がり、自分がピエロに捕まる前にやってきた

廃アパート群が広がっているのが分かる。映像ではないことを夕日が示していた。

 

「なるほど、ここはゴッサムデパート跡地だな?」

「正解だ。我々と付き合ってもらうために、わざわざここに移動したまでのこと。お前が

9回勝った時点で出口まで連れて行く。10回勝てば自由になる。ここまで行うにも関わ

らず、お前はこのゲームをやらないつもりか? もしそうであれば、ポイズン・アイビー

に返却するまでだがな」

 

 トゥーフェイスはバットマンがつけられていたと思われる拘束器具を見せ付けていう。

ビキニパンツ型スーツの中はまだしっとりと濡れているため、それがさらにヒンヤリした

ように感じられる。再びあの屈辱を、今度は彼らもいる前でやる羽目になり、屈辱を上塗

りされることになる。それは絶対に避けたかったし、トゥーフェイス達が何を企んでいる

かは定かではなかったが、それでもようやく解放されると考えられればゲームをするべき

だと強く思えた。まだ自分と出会っていない怪人を考えれば、一番の宿敵に出会っていな

い。もしここで負ければ、ジョーカーにさらに屈辱を与えられる可能性だって考えられた。

 

「分かった、そのゲームに参加するぞ」

「いい心がけだ。ゲームは俺が行うコイントスの裏表を当てるというものだ。リドラーと

お前がそれぞれコインの向きを当てる。罰ゲームはこちらの箱に番号付きで書いてある。

お前が負けるたびに番号順に行っていく。但し、これではフェアではないからな、お前が

勝った場合、8回目までは1つずつ、お前の頼みを聞いてやる。罰ゲームによって指定さ

れたことをなかったことにするというのはできないが、それ以外だったらいいだろう」

 

 トゥーフェイスはそう言い終えると、コイントスを行った。バットマンは約束だけでな

く、自分の頼みまで聞くということにさらに疑いを持ったが、とりあえずゲームを行って

いこうと感じ、投げられたコインを見つめた。

 

「表だ」

「じゃあ、俺は裏だな」

 

 バットマンが向きを言えば、リドラーがそれに続く。最初の答えは表だったため、バッ

トマンの勝利となった。

 

「運がいい奴だ。バットマン、お前の頼みは何だ?」

「では……このガラスケースをなくしてくれ」

 

 もし2人の怪人が何かを企み、よからぬことを行ったり、不正行為を行った場合、すぐ

に外に出られるようにするためだった。ベルトやマントが取られたままでも、逃げようと

思えば逃げることは可能である。それに、ベルトやマントを取られたとしても自分の正体

を突き止められる恐れはないと踏んでいるからだった。バットマンの周囲のガラスケース

が床に収納されて行くと、リドラーは残念そうにバットマンを見ている。

 

「では、次だ」

 

 トゥーフェイスはガラスが完全に収納されると、コインを宙に飛ばした。バットマンと

リドラーがそれぞれ向きを答え、コインを見れば、バットマンが2回連続で正解したこと

が分かった。コインの裏表は50%の確率で当てることができる。冷静に考え、コインが

トゥーフェイスの手の中に隠れるギリギリまで眺めていれば判断することは可能なのだ。

この勝利により、バットマンはベルトとマントを取り戻すことにも成功した。試しにベル

トに触れてみるが、異常が起きた様子も、改造されたり分解されたりといった形跡も見ら

れなかった。

 

「表だな」

 

 その時にバットマンはハッと顔を上げ、気がついた。トゥーフェイスはもうコイントス

を行ってしまったらしい。自分がベルトに目を向けている間にコインはトゥーフェイスの

手の中に隠れてしまい、リドラーが答えてしまっていた。油断も隙もなく、反論も通じる

訳がない。やはり敵の中にいるということをバットマンは実感し、仕方なく裏と答えた。

ただ、リドラーが正解だろうとバットマンは考えていた。コインの当る確立は50%であ

り、トゥーフェイスの動きは遅く、コインの向きが微かに見えることから、高い確率で先

に答えた方が当てやすかったのだ。

 

「ようやく罰ゲームだな」

 

 バットマンが危惧したとおり、今度はリドラーが勝利していた。そしてリドラーが罰ゲ

ームの紙を取り出すと、そこにはこう書かれていた。

 

 『バットマンのマスク、マント、グローブを残した姿で上半身を裸にする』

 

 罰ゲームの紙はバットマンにも見せられ、リドラーはすぐに行動に出た。ナイフを手に

バットマンの身体を片手で押さえ、グレーのバットスーツを引き裂いていく。罰ゲームの

内容に戸惑い、逆らおうと仕掛けたが、部屋のあちこちからレーザー光線がバットマンの

身体に赤い点を作っており、いつでもバットマンを攻撃できる、いつでも殺そうと思えば

殺せるということが分かる。そのため、バットマンはおとなしくされるがままになってい

た。汗によってじとっと湿っていたスーツが引き裂かれ、床に落ちていく。リドラーはベ

ルトより下やマスク、マント、グローブには触れず、バットマンの胸板のコウモリを切り

裂くと、ビリビリに破り捨て、汗の匂いがこもった筋肉質の肉体を露にさせた。かなり汗

をかき、食事をさせられた時の液体や精液もこびりついていたため、上半身裸になったこ

とで匂いがかなり立ち込めた。だが、2人の怪人はそれを指摘してこず、ニヤッとした表

情のみを浮かべてくる。分かっているのに言わないという行為、視線だけがバットマンを

攻め立てる行為から、内心2人が自分をどう思っているのだろうという疑心暗鬼が生まれ、

バットマンから冷静さを奪い始めていく。 そのため、次の答えも外してしまい、2回目

の罰ゲームを行う羽目になってしまった。リドラーは紙を取り出し、中を見るとすぐにバ

ットマンにそれを突きつける。

 

 『ベルト、パンツ、ブーツを残し、下半身も裸にする』

 

 バットマンはその内容にただ呆然とするしかなかった。マスク、マント、グローブ、ブ

ーツ、ベルトにパンツを残した状態で、後は肌が見えている姿は変質者に近い。ゲームが

終わっても服はバットケイブに戻らなければ着ることもできないし、バットモービルに戻

るまでその姿でいなければならないことから、警察や市民に出会ってしまう恐れもある。

また、これはバットマンが窓を破って逃走するという行為も封じていた。このあたりは人

があまり来ないものの、警察のパトロール範囲に指定されていたため、ガラスが割れた音

がすれば、警察がやってきてもおかしくない。今リドラーによって下半身のタイツを切り

裂かれており、こんな姿は見られたくないとバットマンは心底思った。

 

「卑猥とはこのようなすがたをいったものだろうな」

「がっしりした肉体を持つ男がグローブやブーツをしっかりと身につけているのは変態と

しかいえないだろうよ」

 

 2人の怪人はそれだけいい、すぐにゲームに戻っていく。だが、バットマンは2人の視

線や部屋に取り付けられている監視カメラ、そして2人の言葉で冷静さを失っており、隙

をつくようにコインが投げられることもあってか、その後3回も間違ってしまった。罰ゲ

ームが決まるたびにトゥーフェイスは拍手を行い、リドラーは奇声を発して喜んでいる。

その度にバットマンは顔を引きつらせ、屈辱に耐え続けるしかない。しかも罰ゲームは何

故か3回間違えるまでと突然言われ、3回目に間違えた今になって、全てを実行するとい

われてしまった。

 

 「これは説明していなかったがゲームの趣旨だ。もしお前が今から3回、連続でなくて

もいいからあてることが出来れば、3回頼みを聞いてやるぞ。さて、罰ゲームを実行する

としようか」

 

 バットマンはトゥーフェイスとリドラーのペースにも乗せられ、3回も負け、反論を遮

断するかのようにトゥーフェイスが説明したため、何も言えなくなってしまう。反論する

言葉を探そうにも、彼らはバットマンが行うであろう行動を全て予測しているのか、完全

に自分達のペースを作り出しており、全く隙を与えてこない。バットマンは低い呻き声を

出し、力なく震えていた。そんな彼の顔に、3枚の紙が突きつけられた。ただ、今度の内

容は先ほどのように明白ではなかった。

 

 『コウモリのモチーフのみ、胸に戻す』

 

 『金のロープで淫乱に卑猥に飾る』

 

 『隠すべき場所をずらす』

 

 内容からすれば自分を追い込む事柄なのは間違いない。だが、方法が書かれていないた

め、何が行われるのかが分からず、バットマンの背中をぞっとさせるように汗が流れてい

く。その横では、リドラーがゆっくりと動き出していた。バットマンは恐怖から後ずさり

かけたが、レーザー光線が向けられ、おとなしくするしかない。

 

「まずは隠すべき場所をずらそうか」

 

 リドラーはバットマンがおとなしくなったのを見計らうと、バットマンのビキニパンツ

型スーツに触れ、そのパンツをずり下げ始めた

 

「なっ!? そこは……っ!?」

「お前の急所を隠す場所だろ? 少しだけずり下げるぞ、ちょうど半ケツになる程度にな」

 

 リドラーはバットマンの尻が半分見え、陰毛がパンツの外に姿を見せ始めた、あと少し

下げれば肉棒を取り出されてしまうところで止められた。リドラーはそれだけ行うと、尻

やパンツを繁々と眺めてはいたが、何も言ってこない。それはトゥーフェイスも同じで無

言で視線攻めを行い、バットマンに恥辱と精神的負荷を与えていく。ただリドラーに至っ

ては、何かを準備しながらもバットマンの股間をじっくりと見つめており、バットマンの

周囲を股間に視線を集中させながら回るなどし、さらにバットマンを精神的に攻め立てて

いた。そのため、バットマンは顔を俯かせ、耐え切れないほどの悔しさで涙を零し始めて

いる。その間にトゥーフェイスが部屋を出ていき、リドラーが妙な物を取り出し、レーザ

ー光線が消されていく。だが、冷静さを欠き、恥辱に苦しめられたバットマンはそれらに

全く気づいておらず、完全に次の罰ゲームを待つ状態になっている。

 

「今度は胸にコウモリを戻してやるぞ、こうやってな!!」

「……うぐっ、そえああああがががががががががぁぁぁぁぁーっ!?」

 

 バットマンはリドラーに顎をつかまれ、胸をそらされたかと思うと、長く太いコードの

付いた何かを大きく筋肉で盛り上がった胸に押し当てられた。顔を上げられた瞬間にリド

ラーの所持品に気づいたが既に遅く、特大スタンガンによって膨大な電流がバットマンの

身体に流れ込み、無防備な身体や精神を一気にショートさせていく。激しい痛みが身体を

一気に流れ、五体満足の身体を一瞬で麻痺させていった。バットマンはその攻撃によって

足を躓かせ、気絶している間に座っていた椅子に座り込んでしまう。椅子に座ることでバ

ットマンの身体が支えられる態勢になったのか、リドラーは再びスタンガンをバットマン

に押し当て、数秒してから離した。バットマンの口からは煙が出て、体からは汗が噴出し、

顔から出る液体もみんな流れ出していた。これまではスーツが電気系の攻撃を和らげて身

体を守るものでもあったが、グレーのスーツも今は歯切れと化しており、経験したことも

ない衝撃を受け、気絶には陥っていないが、バットマンは目も虚ろに朦朧とし、声を出す

ことさえも出来ない状態になっている。ただその代わり、バットマンの胸には大きな火傷

の跡が生まれており、それはコウモリの形をしていた。リドラーはそこに黒い傷薬を塗り

つけ、バットスーツのコウモリと同じ形に作り上げていく。こうして2つの罰ゲームが終

わり、バットマンは立ち上がれなくなっていた。

 

「それじゃ、最後は綺麗に飾ってやるからな」

 

 リドラーはバットマンを床に座らせると、長い金色のロープを取り出した。まず、バッ

トマンの首の後ろにロープを回し、首にロープをかけ、彼の前面にロープの両端を垂らす。

それらの両端を束ね、彼の鎖骨辺りで硬い結び目を作り出す。軽く引っ張って結び目が解

けないことを確認すると、さらにその結び目に接着剤を塗り、解くことも出来ないように

してしまった。続けて、リドラーはバットマンの鳩尾とへそがある場所に、胸に垂直に下

ろされたロープによって結び目を作る。すると、ロープの両端は股間へと垂れ下がった。

ロープを股下に通すと、背中を伝い、首を縛るロープへとそれらを通す。そこでゆっくり

とロープを持ち上げるように引っ張り出した。すると、身体の前面を通るロープが縦に真

っ直ぐと引かれ、身体の表と裏を金色のラインが縦に真っ直ぐと身体を締め付ける。それ

だけではなく、肉棒と袋がロープによって挟まれ、ロープを引っ張られたことで、下げら

れて垂れ下がっていたビキニパンツ型スーツがロープごと肉体に食い込んでいく。身体が

麻痺しているため、その衝撃はロープを引っ張られても感じなかったようだ。ロープをギ

リギリまで引っ張ると、リドラーは両端をバットマンの身体側を横切らせることで前に戻

し、胸の前に作られたロープの輪に潜らせて背中へと戻していく。両端を背中に戻すと、

それらを強く引き絞ってバットマンを前後に締め付ける。火傷の傷を負った彼の胸にロー

プが食い込み、痛みが激しかったのか、バットマンの顔が若干引きつっている。多分徐々

に麻痺がなくなってきているのだろう。リドラーは背中と腹側で往復させ、彼の身体を数

センチ間隔で絞り込んでいく。徐々にバットマンの体の様々な筋肉がロープで象られた六

角形に食い込むように圧迫されていき、股間の膨らみもロープが引っ張られることで強調

されていく。こうして金色のロープがバットマンの身体を亀甲縛りという形で淫乱に飾り

立てた。そのうえリドラーは銀色のロープを取り出すとそれで足首と太股を縛り、後手に

させて手首も縛ってしまった。

 

「どうだ、バットマン。これでお前は動くこともできないだろう。ゆっくりと自分の身体

の淫乱さを見るがいい」

 

 リドラーはバットマンの前に大きな鏡を置き、部屋から出て行った。バットマンは椅子

に座った状態で、徐々に麻痺から冷めながら自分のされた状態と、今何が起きているかを

見て、察していく。麻痺が半分くらい冷め、喋れる程度になったくらいでトゥーフェイス

が戻ってきた。ただ、その時点で既にバットマンはゲームによって最初からこうなるよう

に仕向けられたと気づき、自分の迂闊さと軽薄さを嘆いていた。

 

「やぁ、バットマン、そろそろ騙されたことに気づいたかな?」

「くそっ……、最初からこれが目的だったのか……」

「当たり前であろう、何故我々が宿敵を逃さなければならない。それに俺が使っていたコ

インは特殊なコンピュータでな、最初から向きの変更が自在にできたのさ。お前はコイン

を確かめることもせずにゲームに参加し、俺達と対等にゲームをしていると思い込んで安

心していた。過失はお前にあって、俺にもリドラーにもない。騙されたお前が悪いのさ」

 

 最初にバットマンが2回勝つように仕向けたのは、ガラスケースをなくして逃げ場を作

り、ベルトとマントを取り返すことができたという経験を積ませてバットマンに油断をさ

せるためだった。いつでも行動に移れると思い込ませれば、それができないことを少しず

つ行っていくことで心にドンドン隙間を作ることができる。また、ベルトを返せばバット

マンがベルトの確認をするだろうということも最初から予想されていた。バットマンは2

人の思惑にはまった、予想通りの行動を行っていたのだった。

 

「ふっ……、まぁ、俺達にだまされたことに気づいたのだし、褒美を与えてやるよ。苦痛

という名のなっ!!」

「……ぐふぅっ!!」

 

 トゥーフェイスはそういってコイン型特殊コンピュータをバットマンの胸に投げつけた。

トゥーフェイスが軽く扱っていたそれは結構な重量があるのか、火傷の傷に当った衝撃は

大きく、バットマンが低く言葉にならない呻きを発するほどだった。亀甲縛りのせいで身

体を屈ませることが出来ず、後ろ手にされているため身体を守ることもできない。バット

マンは痛みに耐えながら悔しさからトゥーフェイスを睨みつけている。

 

「元々我々の役目はお前に屈辱と恥辱を感じさせ、お前自身にも強力なダメージを与える

ことだった。他の奴らもそうだが、お前は肉体的にも精神的にも傷を受け続けている。俺

はそれに更なる上塗りをしてやろう」

 

 トゥーフェイスはそう言うと、バットマンの口にボールキャプを嵌め、鼻フックを再び

かけていく。キャプとフックは後頭部で止められ、止めている部分と亀甲縛りのロープと

をさらに鎖で繋いでしまった。次にバットマンのマスクにある2つの角にそれぞれ紐を巻

きつけると、その紐の端をバットマンの鼻の左右にたらしていく。トゥーフェイスはその

紐をそのままにすると、バットマンのビキニパンツ型スーツの前をずり下げて肉棒をつか

み出した。

 

「うぐっ、ぐむむ……」

 

 バットマンはおもむろに肉棒を素手で握られ、トゥーフェイスの体温を感じ取り、肉棒

を勃起させていく。トゥーフェイスはそれを手触りで楽しみながら、その根元にコックリ

ングを嵌めてしまった。そのうえ、陰毛をゆっくりと剃りあげてしまう。根元が涼しくな

り、その部分を指でくすぐられ、バットマンに奇妙な快感が与えられていく。身体を左右

にくねらせることでバットマンはその快感から耐えようとするが、身体を締め付けられる

痛みが徐々に快感に感じ始めており、逆効果になりつつあった。だがその直後、バットマ

ンは首に痛みを感じたまま、再び意識を奥底へと閉じ込められていた。いつ戻ってきてい

たのか、リドラーがバットマンの首筋に注射針を突き刺していたからだ。

 

「トゥーフェイス、俺達の出番はもう終わりだそうだ」

「そうか、仕方がない。彼は我々を外に出すために尽力を尽くした存在だ。彼を裏切るわ

けには行かないし、とりあえずバットマンを苦しめることができたからまずまずといって

おこう」

 

 2人はバットマンの鼻の左右に垂らされた紐を無造作に、紙縒りを使うように突っ込む

と、鼻と紐とをテープで貼り付けて取れなくしてから部屋を後にした。