(4)

 

 何者かによる罠にかかり、ベインに足を封じられ、ペンギンに多くの人々を人質に取ら

れて卑猥な食事を行う羽目になったバットマン。足が動けるように戻すという約束も守ら

れないまま、遠ざけられていた意識を再び覚醒しかけている。スプレーを吹きかけられた

後遺症か、強引に意識を封じられたこともあり、重たいような頭痛に苛まれたが、額に手

を当てようとしたバットマンは、腕が全く動かないことに気がついた。意識が覚醒したと

いうのに、目を開けようにも目蓋が全く上がらない。腕も足も指の先から肩や太股の付け

根に至るまで、全てが動かなくなっていた。声を出そうとしても口を開けることもできず、

鼻の両穴に何かが引っ掛けられているのか、無理やり鼻が引っ張られている感覚もある。

耳にも何か押し込まれているようで周囲の音さえも聞えなくなっていた。

 

「ふぐぐぅっ……」

 

 喉の奥から無理やり声を出すと、触手のような物が自分の腕や足に触れ始め、身体を四

つんばいの態勢に変えていくのが触れられている感覚から分かる。バットマンは四つんば

いの態勢で固定されてしまい、身体のどの部位を動かそうとしても動かせず、抵抗できな

いことを察した。唯一つ分かるのは、ベインによって封じられた足が力を入れなくとも身

体を支えていることだ。身体を固定されているとはいえ、先ほどの約束を守ってもらえた

のだとバットマンは内心ほくそえんでいる。その時、耳に押し込まれていた物が取り出さ

れ、目蓋の上にのしかかっているものが外された。急にまぶしい光が目に入り、思わず目

を晦ませたバットマンはゆっくりと視界をならし、自身の身体の状態を見て驚愕の表情に

変わる。そのうえ、周囲には鏡が置かれており、今の態勢では見えない場所をも目に飛び

込んできた。

 

「ぅごっ!? ごげ、がっ……」

 

 頭は首にコルセットが嵌められ、鼻にフックがかけられ、ガムテープ、ボールキャプで

口を密閉されている。両手両足は肩や太股の付け根から、手首足首にかけてまでを拘束器

具でつながれ、背中や腹に鎖がまわされ、全ての鎖が尾てい骨の上辺りで止められている。

ベルトやマントは外されて近くの棚に展示され、手首足首もそれぞれを封じるための器具

で固定されてしまっていた。そのうえ、両腕、両太股の4箇所を1つの枷で止められてあ

り、今の四つんばいの態勢を動かすことも容易ではなくなっている。また、首には大きな

首輪がつけられ、首輪に付いたリードの先は近くの壁に刺された杭に巻き付けられていた。

既にピンと張られてあり、少しでも身体を動かそうものなら首を絞めてしまいかねない。

 

 屈辱的な顔にされ、完全に動けない状態に変えられ、バットマンは悔しさをにじませる。

そこへ一人の女性が近づいてきた。植物を自在に操る女怪人、ポイズン・アイビーだった。

先ほど自分の態勢を四つんばいに変えたのは彼女が操った植物達だろう。少し視線をそら

せば、無数の観葉植物が置かれているのが分かる。

 

「ようやく目が覚めたようね、バットマン。あなたがコウモリではなくて犬になるなんて、

私も驚いたわ。でも、今まであなたが私の可愛い子供達を無残に倒してきたんだから、今

度は私が仕返しをしてあげられるんだもの、嬉しくて仕方がないわ」

 

 アイビーはバットマンの頭を「いい子いい子」と撫で、わざとバットマンに屈辱を感じ

させる。どれだけ悔しく感じ、屈辱を受けたとしても、完全に固定され、少し動けば首を

絞めるだけ、自分が苦しむだけという状態にあるわけだから、バットマンはされるがまま

でしかない。

 

「それにしても、あなたの体格、とてもいいのね。これだけ固定して鎖が巻き付いていて

も、あなたの素晴らしい体格は変化がないのだから」

 

 料理を食べさせられた時についた白い汚れには目もくれず、バットマンの背中や胸板に

触れ、アイビーは楽しそうな声を発していく。彼女の手は次第に背中を滑り続け、尾てい

骨の上に止まる。尾てい骨を指の先で強く撫でられ、バットマンはぶるるっと身体を震わ

せた。思わぬ場所に触れられて動揺してしまったのだ。

 

「あらあら、ここが敏感ということは……」

 

 バットマンの敏感さに目を見開いたアイビーは、すぐに楽しそうな表情に戻し、指を尻

へと滑らせる。バットマンの尻はビキニパンツ型コスチュームに覆われているが、コスチ

ュームはバットマンの体格をくっきりと現しているために、尻の谷間の溝にも少し食い込

んでいた。その溝の上を指が走り、バットマンの震えは酷くなる。身体を固定されたまま、

尻を遊ばれ、くすぐったい感覚と自分でも滅多にふれない場所を頻繁に指が滑る感覚によ

る快楽がバットマンを攻め立てていた。だが、アイビーがそっと手を離してもバットマン

の震えは止まらない。目もトロンとし、全体的に顔が快楽で歪み始めていた。

 

「バットマン、そんなに快楽に弱いのかしら?」

 

 アイビーがそう顔を覗かせると、ハッと気づいたようにバットマンは震えるのをやめた。

最初に感じた快楽をそのまま感じ続け、自分の中の快楽に浸ってしまっていたことにより、

バットマンは自己嫌悪に陥っている。バットマンは完全に無防備状態でアイビーは続けて

攻め立てることもできたのだが、何故か行動に移らない。バットマンが自己嫌悪に苦しむ

姿を見て笑う一方だ。だが、しばらくしてアイビーはようやく口を開いた。

 

「いいことを教えてあげるわ。あなたが先ほどペンギンの元で食べた料理だけど、あの中

には身体の感度を上昇させ、ゆっくりとあなたの全身を性感帯に変え、さらに精液を多く

作り出し、身体が射精したくなる薬が込められていたの」

 

 正確に言えば、最後に食べたステーキの中にである。素晴らしい味付けを施す際に、極

上のタレに肉を漬け込んだのだが、その中に大量の薬品も混ぜられており、肉全体が薬品

漬けをされていたのだ。

 

「今あなたが私の簡単な指使いで快楽に陥ったのは、あなたの身体にその薬が馴染んでい

るからよ。今にあなたは身体中で感じ始めるでしょうね。そして、射精したいと思うよう

になるわ。したくなったら私が手伝ってあげるから、いつでも声をかけなさいね」

 

 そう言うと、アイビーは天井から下がってきた枝に掴まり、上からバットマンを眺め始

めた。同時に別の枝がバットマンにつけられたリードと口のガムテープ、ボールキャプを

外す。それ以外の身体の拘束器具はそのままで、鼻フックも残されていたが、呼吸がしや

すくなり、バットマンは息苦しさからは解放された。だが、呼吸がしやすくなると奇妙な

感覚がバットマンの身体に生まれ始めた。呼吸が鼻のみで行われていたせいか、口を解放

したことで大量の酸素供給が可能になり、薬が体内に回りやすくなったのだろう。最初は

身体のどこかでくすぐったい感触や、痒い感触が生まれたり消えたりしていたが、それが

徐々に持続する形へと変わりだした。

 

「くっ……、……ぁあ、ぁ……っ……、……ぅぁ……」

 

 運がいいと感じられるのは、動かなければどこかに痒みやくすぐったさが存在していて

もそこをむやみに触れたりしないため、耐えようとすれば耐えれることだった。食事に薬

を混ぜられたとはいえ、食事をして、意識を失うことで眠り、身体を休めていた。そのた

め、体力が程ほどまで戻ってきており、身体を固定されていることから激しく動かすこと

もない。全身が性感帯になったとしても、それを感じさせられるようなものが存在しない

ため、バットマンは微かに喘ぐ程度で何とか耐えられていた。顔から汗が垂れ落ち、口が

大きく開き、

 

「ハァ……、ハァ……、ハァ……、ハァ……」

 

 と呼吸を漏らしてはいるが、体力が全く持たないわけではなく、精神的に疲労を感じる

程度であり、バットマンは口が解放されてから30分が過ぎても苦しむ様子は見せなかっ

た。こうなると苛立ちを見せるのは観客のアイビーだろう。せっかくバットマンを見て弄

ぶことができるはずだったのに、肝心の本人が微かに喘ぐ程度で耐え切っている。ベイン

やペンギンが楽しい思いをしたように、次は自分もと思っていたが、それが全く楽しめな

いし、バットマンに勝った様な感覚も得られなくなってきた。このままずっと見ていても、

バットマンは耐え切ってしまうだろう。

 

「せっかくの獲物だというのに……、全く、これだと次の奴に激怒されるのがオチね」

 

 アイビーはそっと枝に掴まって下に行くと、バットマンを睨み付ける。バットマンはア

イビーに気づいたが、自分が苦しめば苦しむほどアイビーが楽しむだけだと分かっている

ため、無視を決め込んでいる。その間も薬はバットマンの身体を蝕んでいるが、体力を温

存しているかのように耐え続け、バットマンの顔には笑みまで浮かべていた。ただ、それ

が彼の失敗だった。苛立っていたアイビーの導火線に火をつけてしまったのだ。アイビー

はそっとバットマンの耳元に囁いた。

 

「あなたの足、実は固定することで曲がってるけど、実は全く戻ってないのよ」

 

 アイビーはクスクスと笑って囁くが、バットマンは必死に聞こえない振りをする。自分

はアイビーにからかわれているだけ、彼女のペースに乗せられようとしているだけと考え

るが、アイビーはさらに言葉を並べ立てる。

 

「この足の固定を緩めたら、あなたの足はグニャッて崩れちゃうでしょうね。そして股下

にこんな物を置いたらどうなるかしら?」

 

 アイビーの手には生け花で使われる剣山がある。もしアイビーの言葉が正しければ、股

間に剣山が落下し、針が大事な場所に突き刺さることだろう。バットマンのコスチューム

は打撃等の衝撃が身体を傷つけないよう緩める処置を施されているが、鋭利なものやビー

ム、レーザーのような攻撃には耐えられない。スーパーマンと違い、バットマンは人間な

のでナイフで簡単に切り裂かれないようにはしているものの、例外もある。剣山が実際に

当った場合、全ての針が突き刺さることはないだろうが、チクチクした感触が股間に伝わ

るのは確実だった。バットマンの脳裏にその想像が浮かび、思わず股間に意識が集中し始

める。無意識に勃起が始まったような気がした。

 

「さぁ、どうする?」

「……くぁっ……、……私に、何……をさぇ……たい……」

 

 意識してしまうと止まらないのか、股間に痒みが集中しだしていることを感じ、呼吸が

少し早まってきた。バットマンはアイビーが自分に何かさせたいと感じ、仕方なく言葉を

発する。

 

「もう分かってるんじゃないの? 私はあなたが悶え苦しむ、淫乱な姿が見たいだけよ? 

こんな風にね!!」

「ぃや……、やぇ……っっ!!」

 

 アイビーはバットマンの意識が股間に集中していると察し、一気に行動に出た。手をバ

ットマンの股間に伸ばし、1回おもむろに握ったのだ。勃起しかけた肉棒はアイビーに握

られ、触られた感覚でさらに大きくなり始める。ビキニパンツ型スーツが少しモッコリし

始め、肉棒の先端がスーツに触れ始めた。同時に先ほどの尻の谷間には別の枝が伸び、先

端をすっと谷間に入れ、ゆっくりと食い込み部分を先端が滑っていく。尻穴に触れない程

度でもゆっくりと谷間を滑られ、尻と肉棒にバットマンの意識は集中してしまっていた。

 

「ぁぁぁああ……、んあっ……、……ぁあ!!!」

 

 必死に耐えようとするが、尻に痒みが発生し、それは時折尻を枝が突付くことですぐに

再発していくし、肉棒は快楽に押し寄せられて意識を向けないようにしてもドンドン太さ、

硬さを大きくしていた。既にビキニパンツ型スーツには肉棒の形や大きさがクッキリと浮

き出ており、一箇所にテントが張られている。それはまだまだ大きくなりつつある。

 

「ぅぐっぐっぐ……、……ぅぐはっ、……あぁぁっっ!?」

 

 歯を食いしばって耐えようとしても、枝の突付き遊びはアイビーによって続けられてお

り、バットマンは快楽を必死の形相で、汗だくになって耐え続けている。汗は次第に身体

中で浮き上がりだし、自分の身体とスーツとを汗が密着させ始めているが、股間に意識が

向いているため、それにはまだ気づいていないらしい。ただアイビーは、バットマンのス

ーツが汗で濡れ、ライトでテカる様子を満足げに眺めていた。食事の時に付いた染みも汗

で広がりだし、奇妙な色のバランスがバットマンの姿をさらに卑猥に変えている。アイビ

ーは楽しそうにバットマンを鏡越しに見たり、じっと見つめたりして楽しんでいた。バッ

トマンは必死に耐え続け、耐えることで体力をも奪われつつあったが、体力が十分に回復

してしまっているために安易に気を失うこともできず、長時間耐える羽目になってしまっ

ている。耐えられると判断したことでここに来て裏目に出てしまった。

 

「さてと、ここの感触はどうかしら?」

 

 アイビーはバットマンの肉棒によってテントが張られている先端を覗き込む。皮も捲れ

だし、肉棒の先がしっかりとビキニ越しに浮き出ていた。だがバットマンが震えることさ

えも耐えようとする行動にでており、先端がスーツの繊維で擦られることはなく、まだ完

全に悶え苦しむほどにはなっていない。アイビーは最後の一撃でバットマンをショック状

態にしようと考えていた。多分この攻撃を受けたが最後、連動して全身の性感帯にも火が

つくだろう。アイビーは焦らすようにバットマンの股間の近くで手を動かす。勿論他の部

位にも触れないように、わざと動かし続けた。

 

「あなたが私の奴隷になるのならやめてあげてもいいんだけどなぁ〜」

 

 アイビーは遊び半分でそう言うが、バットマンの耳には届いていない。彼は耐え続ける

ことに夢中になり、周囲の状況をも分からなくなっているようだ。アイビーによる攻撃が

来るか来ないか程度はバットマン自身の本能が察知しているようだが、それ以外のことに

関しては感じ取れないほど、彼は追い込まれている。股間に手が触れると思われた時、ア

イビーは口からガスを噴出し、バットマンに浴びせかけた。

 

「ぅう……!? うぐふぁっ……、がはっ……!? ゴホッ……、ゴホッ……、ゴホッ…

…、ゴホッ……」

 

 それは毒ガスではないが、一時的に呼吸を阻害するガスだったため、歯を食いしばって

耐えていたバットマンは不意を突かれ、激しく咽始める。その瞬間、アイビーの手が肉棒

の先端をスーツ越しに撫でた。呼吸困難になったバットマンがそれに耐えられる状態では

なく、全てに耐えようとしていた態勢も咳き込みで無に帰っている。カリ首とスーツの繊

維は密着し、撫でられたことで擦りつけられ、微弱な刺激が強烈な刺激となってバットマ

ンの全身を駆け巡った。

 

「うあぁぁぁっっ?! ……んふっ、ぃやっ……、……ぅくあぁぁ!!」

 

 今になって耐えようとしても耐えられず、起爆スイッチが押されたも同然となり、激し

い刺激が全身発生していく。何処かの痒みを耐えようとしても他の痒みによって精神は阻

害され、快楽が次々と発生し、精神を激しく揺さぶっていく。肉棒は固定も何もされてお

らず、先ほどの一撃を受けてから身体の震えと共に小刻みに動き始め、自分自身で快感を

生み出していった。アイビーは突付き遊びをやめ、今やバットマンを眺めるだけになって

いる。バットマン自身が悶え苦しんでいるため、もう何もしなくても自分で自分を追い込

むだろうと察したのだ。それは事実であり、精神力の壁は崩壊しているのか、汗やよだれ、

鼻水までが顔から流れ、ビキニパンツ型スーツからは水滴のような物が浮かんできている。

 

「先走りが出たようね。後少しというところかしら?」

 

 アイビーは付け爪の一つを外すと、バットマンの上に投げた。爪はゆっくりと落ち、バ

ットマンの尻に突き刺さる。そのチクッとした感触が強烈な痒みとなって再びバットマン

の身体を駆け巡った。その瞬間、バットマンの腰が動ける限界のところでゆっくり動き、

肉棒とスーツが擦れ合う結果となった。これは完全にバットマン自身の無意識の行動だっ

たが、本人が気づいた時には既に遅く、2度目の擦れ合いが堰を崩したらしい。

 

「ぅあ゛……、くはぁあぁ……んぁぁあっ、いっ、イっ、イクゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 バットマンは堰が崩れた瞬間、意識的に集められる限りも精神と忍耐の礎を股間に集中

させたが、崩れ去った物を再び構成させられるだけの力はバットマンに残されておらず、

時間を少し延ばした程度に終わり、叫び声を挙げると共に絶頂に達してしまった。バット

マンは固定されているにも関わらず腰を激しく動かし、身体をガタガタと震わせていく。

黒いビキニパンツ型スーツからは白濁した粘液のような精液が染み出し、床に水溜りを作

っていくが、膨大な量が流れ落ちていった。バットマンは顔から流せる全ての液体を流し

て叫び、数分も立つとおとなしくなっていた。

 

「終わったみたいね、バットマンも堕落して陥落して快楽の虜に……? ……あらあら、

絶頂しすぎて気絶しちゃったみたいね」

 

 バットマンをよく見ると、体力も精神力も消耗しすぎたらしく、絶頂の勢いに身体が耐

えられなくなり、気絶してしまったようだ。アイビーはバットマンが完全に意識を失った

ことを知ると、首のコルセットと鼻フックを外し、枝を巧みに操ってバットマンを台車に

乗せた。十分遊んだため、これで十分と判断したらしい。何処からか覆面姿の青年が入っ

てきて、それを押しながら部屋を去っていった。バットマンは目が覚めると同時に別の誰

かによって苦しむことになるだろう。アイビーはそれを想像して、再び笑みを浮かべてい

た。バットマンの身体からは意識を失ったにも関わらず、様々な液体がなおも流れ続けて

いた。