(6)

 リドラーとトゥーフェイスに嵌められた挙句、動くこともままならないまま卑猥な格好

にされてしまったバットマンはそのまま永い眠りを与えられていた。バットマンの姿はマ

スク、マント、グローブ、ブーツ、ベルトとパンツ以外のコスチュームは脱がされてしま

い、身体は金色のロープで亀甲縛りにされた上に手足をも縛られ、胸にはコスチュームの

エンブレムになっているコウモリと同じ形をした火傷の跡がつけられている。また、パン

ツはかなりずらされて半ケツにされ、肉棒も根元にコックリングをつけられたうえに先端

をパンツの裾から覗かせる状態にされ、陰毛を全て剃られていた。バットマンは知らなか

ったが胸毛やすね毛、腋毛などのコスチュームで隠されていない部分全ての毛までもが剃

られている。また、口にはボールキャプが嵌められ、鼻フックまでつけられ、鼻腔には紙

縒りを差し込まれた上に固定までされるという、完全にバットマンの動きを封じ、冷静に

させることも出来ない姿にされてしまっていた。だが、新たにバットマンが送り込まれた

部屋の主は流石に会話が出来ないことは困ったのか、顔につけられたものだけは外してし

まっていた。それでも近くにそれを置いている以上、必要ならば使うに違いない。

 

「うぐぐ……っ」

 

 そんな中、バットマンが徐に目を覚ました。身体は椅子に固定される形で縛られ、コス

チュームの大半を奪われているために微かに動くだけでロープが身体に食い込んでくる。

それくらいであれば造作もないのだが、肉棒がパンツの裾から顔を出している上に亀甲縛

りのロープはパンツを両側から引っ張っているのだ。パンツと太股、そしてロープによっ

て肉棒が三重に挟まれており、太股に少しでも力を加えれば肉棒を強く挟んでしまう。微

かに覚醒しかけた意識はその痛みによって覚まされた。声にならない声が発せられ、動こ

うにも動けず、耐えることしかできない。意識を覚ましてすぐに全身を疲労が襲われてい

る。苦しみもがきながらもバットマンは周囲を見回すが、彼のいる部屋は電気が灯されて

おらず、真っ暗だった。

 

「お目覚めかな、バットマン。今までのゲームを楽しんでくれたようだな」

 

 肉棒に対する痛みが強すぎるためか、バットマンの顔は屈辱と動揺、そして痛みに苦し

む歪みを露にしている。バットマンのパンツは現在ずらされてしまっているが、それでも

身体にフィットするように少し小さめのサイズをはいているため、少しでも裾から肉棒が

覗くことは肉棒が挟まれていることを意味している。さらにそのうえをロープが通ってい

るため意識しないように考えても食い込みの痛みを感じてしまうバットマンは、歯を食い

しばって耐えようとしており、聞えてきた声に反応はするが、返答することが出来ない。

それでも聞き覚えがある声だとは感じていた。

 

「君の顔はどうやらとても屈辱に染まっているようだ。かなり凝ったものにしておいて正

解だったようだ。だから後は君のフィナーレを行おうと思うよ。元々君はスーパーマンを

倒すための餌でしかないのだからね」

「なな……っ、何だと……、どういう意ぃ…………、うぅっ……っ……」

 

 暗視ゴーグルでもつけているのだろうか、この部屋にいる何者かはバットマンの様子を

手に取るように知っており、バットマンを挑発するように、嘲笑うように話す。思わず怒

鳴ってしまったバットマンだが、身体に力が入ってしまい、食い込みによる肉棒の痛みを

感じ、押し殺したような息遣いが口から漏れていく。これまでに受けてきた精神的苦痛は

簡単に治る事ではなく、今身体を蝕む痛みや胸から感じる火傷の痛みなどがバットマンの

身体へと疲労を溜めており、普段どおりに振舞い、何者かと対等に話そうとするバットマ

ンを阻んでいる。幼い頃の思い出や両親を殺された時の状況から闇の中では妙に冷静にな

れてしまうはずのバットマンだが、今は真っ暗闇の中でもそれができないほど疲労は溜ま

っている様だ。そのため、何か一つを回復するなりしようと身体の機能が働いているらし

く、痛みから耐えようとすれば考えることが妨害されるに至っていた。

 

「簡単なことだ、君とスーパーマンによって私の計画が水の泡となってしまったからね。

何故君が私の計画を知ったのかは分からないが、君に復讐する権利も私にはある。だが、

それでは面白くない。だから君を苦しめた後で、君をスーパーマンを捕らえ、苦しめるた

めのえさであり、道具に使おうと思ったのさ。君は既に冷静に考えることもままならない

ようになっている。君を苦しめるために多くの怪人たちを釈放させたからな。流石にジョ

ーカーだけは保釈金が高すぎて無理だったがな」

 

 何者かが言った直後、部屋にはスポットライトが一つずつ灯され始めていた。それはま

ず、バットマンの身体を照らし、その後、バットマンの目の前を幾つも照らしていく。照

らされたそれはバットマンの表情を引きつらせ、蒼白させた。

 

「どうかな、この地域周辺の大手のテレビ局のカメラを10種類ほど集めてみた。それら

はコンピュータを経由して写した映像を直接それぞれの局へと送るようにセットしてある。

君がそこで悶えていく様子は多くの者達の目に焼き付けられるということさ」

「くそっ……」

 

 その時、ようやく部屋の明かりが灯された。だが、部屋にいたはずの人影は姿を消して

おり、目の前にはカメラやコンピュータ等の装置関連が置かれてだけいる。

 

「最後に言っておこう。その部屋には間もなく、お前のような正義感の強い男が持つ戦意

や気迫を削ぎ、快楽や性欲を助長させ、快感に敏感になる特殊なガスが放出されるだろう。

その中で何処までお前がバットマンとして耐えていられるかがだがな」

 

 何者かの声はこの時点で聞こえなくなり、部屋にはガスが流され始め、数秒でガスは部

屋中に充満した。

 

 バットマンの表情は大きく歪み、必死に歯を食いしばり、しわが寄るほど目を瞑り、握

りこぶしを作ってまで耐えようとしている。この際身体に力が入ろうとも関係ないと太股

に力を入れないようにして必死に耐え続ければ何とでもなると思ったのか、衝動的に必死

に耐えようとするバットマンだが、パーツを残して脱がされた、裸体の毛穴を通ってガス

がバットマンの身体へと流れ込んでいた。ガスの影響からか、身体からは汗がジワジワと

浮かび、流れ出していく。そのうえ、パンツから顔を覗かせていた肉棒がバットマンの意

識とは裏腹にドンドン勃起し、大きくなっていた。裾と太股を押し上げるように硬くなり、

ロープの食い込みを抗うように太くなる肉棒だが、勃起すればするほど痛みは増していく。

根元のコックリングによる4つ目の締め付けが加わるからだ。

 

「ぅうっ、うぐぐぐっっ……、ぅがぁっ……、ぅぅっ…………」

 

 必死に耐えようとするバットマンだが、ガスは部屋の中で濃度を上げ、毛穴やわずかな

隙間を通過してバットマンの身体に流れこみ、内部を汚染していく。何も考えず、ただ耐

えることに必死になるバットマンの思考にもその変化は訪れていた。必死に耐えようとす

る考えの中に、この快感の中に浸ろうとする考えが現れだし、自分はヒーローなのだ、自

分は正義のために悪と戦っているのだと考えようにも、それさえも阻まれ、その自覚や威

厳でさえも脳裏から少しずつ消失していく。バットマンは肉体も精神も徐々に快楽へと運

ばれつつあった。それでも尚耐え続けているのは、彼の意識がそれだけ強いためだ。

 

「へぇ〜、人間の男は誰でも快楽に堕ちると思ったけど、あなたはなかなか堕ちないのね」

 

 ガスが濃紺な程部屋を充満してから早30分が経過したが、未だバットマンは耐え続け

ていた。身体に入る力は減少したようだが、それでもまだ必死に食い下がっている。とは

いえ、身体には十分にガスが染み渡ったといえる。そこにやってきたのはポイズン・アイビ

ーだった。彼女はバットマンがこのガスに耐えていた時の保険として再び現われた。とい

うのも、このガスは男にしか通用しない、効果がないからだ。

 

「でも、これだったらどう?」

 

 アイビーはパンツから顔を出す肉棒の先端を軽く指で擦った。

 

「ひゃぁあああんっっ!!?」

 

 その瞬間、今まで耐え続けていたバットマンの顔が上がり、途轍もなく甲高い声が口か

ら飛び出した。アイビーは軽く2,3度擦った程度だったのだが、既に身体にガスが染み

込んでいる為、微かな攻めだけでも十分なくらいバットマンを感じさせるようだ。バット

マンの耐えようとする意識も、ガスが染み込んだ今では簡単に消されてしまうらしい。こ

の叫びの直後、思わず息を吸い込んだバットマンは強い頭痛を感じた。濃紺なガスを吸っ

たことで直接バットマン自身が快楽に支配されるように意識を揺さぶられ、そのまま意識

を全てそのガスの力が飲み込んでしまったのだ。身体がブルルッと痙攣していき、バット

マンは自覚することも出来ないまま、そのガスによって身体を征服されていく。アイビー

の一撃はトドメをさす一撃に近く、バットマンの思考は快楽に染め上げられていた。

 

「なぁ〜んだ、これで終わりなんてつまらないわね。まぁ、いいわ。両手だけは自由にし

てあげる」

 

 アイビーは退屈そうにバットマンを眺め、そのまま出て行った。その時点でバットマン

の表情は鼻水や涎が流れ落ち、虚ろな目が焦点を定めぬまま宙を泳ぎ、喘ぐような吐息が

その部屋に響く。どんなことを考えているのかは分からないが、卑猥に近い表情となった

バットマンはその姿のまま、ガスに身を委ね、アイビーによって唯一自由にされたのか、

両手を肉棒へと近づけている。そして必死に扱き、楽しんでいる姿がカメラによって撮ら

れ続けていった。だがバットマンがそれを気にする様子もなく、10種類のカメラは余す

ことなくバットマンの痴態を取り続けていく。

 

 コックリングによって絶頂を封じられ、4種類の締め付けによって先走りすらもろくに

垂れ流せず、バットマンは絶頂になりかけてはそれを身体に戻されていった。パンツによ

って隠された彼の睾丸はそのたびにその大きさを拡大していく。次第にバットマンはコウ

モリ型の火傷をつけられたことによって半分焼け爛れた自分の乳首に触れ、その痛みに悶

えながらも絶頂に向かおうと必死になっている。彼はヒーローであったことも正義さえも

忘れ、プライドも捨てた、ただ淫乱さだけを出し続け、絶頂に達することだけを目的にし

ていた。

 

 

 

 

 

 しかし、バットマンは知らなかった。彼の姿は人々の目に留まることも、テレビ局に流

されることもなかったことを。彼の10の映像は全て、何者か……の、レックス・ルーサ

ーのいる部屋のパソコンに転送されていたのだから。

 

「予想通りか、アレだけ本物そっくりにカメラを作り上げたのだ。私の言葉を間に受けた

結果、バットマンは耐え続けることを選択した。そして身体にガスが染み渡っても尚耐え

続け、そしてアイビーの一撃で発狂した。あの場でもし、私に命乞いをしていれば他の堕

落方法を与えてやったというのにな」

 

 ルーサーはバットマンが堕落していく姿を楽しそうに眺めている。

 

「スーパーマンを誘い出す方法は後で考えるとしよう。私の手元には怪人からバットマン

まで揃っているのだからな」

 

 ルーサーは静かに笑い、モニターの中のバットマンを嘲笑い続けていた。