第2話

 

「ああっ、幸太郎っ。」

写真をPCのスライドショーで、見つめながら興奮した喘ぎが聞こえる。

PCの中で、笑顔で微笑む幸太郎。

おどけたように、川に入り、水しぶきをこちらにかける幸太郎。

そのPCを見つめながら、両手で急所を握りしめ激しく上下する陽に焼けた大きな手。

浅黒く太い腕、そして、それにつながる逞しい胸板は、その白いTシャツの上からも

容易に想像できる。

「ああっ、いくっっ。」

椅子に座った腰を二度三度と痙攣させながら、その精を自身の手の中に吐き出した。

「・・・・・・・・・・・・。」

 

入隊時から幸太郎に想いを寄せていたタカシ。

幸太郎の爽やかな笑顔に一瞬にして引き込まれてしまった。

入隊するまでは、自分にそういう性向があるとは思っていなかった。

今は、完全に女性グラビアから幸太郎の写真へと、見る対象が変貌した。

 

幸太郎は、宇宙科学警備隊ZATの隊員だ。

俺も先月から入隊し、今は研修期間の為、主に隊のキャッチャー役として、

基地のコントロールルームに構える。

実戦配備された幸太郎は、始終パトロールで外出しており、実際は接する機会は多くない。

先日のレクリエーションでは、初めて私的な言葉を交わした。

まじかで見る幸太郎の笑顔は眩しかった。

筋肉を鍛えている俺とは違い、ボクサーを目指していた脂肪の無いスリムな幸太郎の

体格も素敵だった。

 

何故に、話をしたこともない幸太郎に魅かれたのだろうか。

その笑顔、それともその体格、それとも正義感あふれるそのオーラ。

それとも、その聖人君主然とした、正義感あふれる幸太郎を無茶苦茶にして

やりたいのかも知れない。

 

とにかく、俺は、幸太郎に近づきたかった。

出来る訳ないかもしれない、無謀かもしれないが、幸太郎を愛したかった。

幸太郎がノーマルでない事を祈った。

 

自愚の後、そんな夢想している上野孝の背後で音もなく蠢く暗闇が表出したかと

思うと、赤い人型が形成された。

そこに赤い人の形をした宇宙人が現れた。

その名はタロウキラー。

大きな体躯で、厚く逞しい胸に太い腕が繋がり、太い腰からは太く逞しい腿が繋がる。

タカシに似た体躯の持ち主タロウキラー。

タロウキラーがタカシに一歩近づき、たかしの肩に手を載せる。

びくっと、振り向くタカシ。

タロウキラーはタカシの目を見つめると、瞬時にしてタカシと一体化を図った。

タカシの自我は隅に追いやられ、タロウキラーに占拠される。

まず、タロウキラーは、その追いやったタカシのこころをスキャンした。

(何っ、たまたまと言うか何と言うか、お前も幸太郎に興味があるようだな。

 これはやり易い。)

タロウキラーは、タカシのこころ迄も利用する事に決めた。

(タカシには、人間の心で、幸太郎攻略を先導する役割を担ってもらおう。