宇宙刑事ディルバン(9B)

 

タッキーがイザベラに捕らえられた翌日である。

ダスターホテルの大ホールで、イザベラ主催の美術展が開かれていた。

イザベラが宇宙各地から略奪してきた美術品の

展示即売会である。

招待されたのは、ダスター星系の名士達。

つまりは悪党のボスと幹部クラス達である。

ただ、芸術的才能など、ほとんどないに等しいイザベラである。

ほとんどが贋作と言っても間違いはなかった。

それでも招待客は、

「ほぉ、ミケのビーナスですか。

 よくこんな物が手に入りましたなぁ」

「これが『考える男』の台座ですか。

 実に素晴らしい。さすがイザベラ様」

等と歯の浮くような事を言いながら、値を付けていく。

彼らにとっても、イザベラは怒らせると怖い存在なのだ。

一方で、ダスター星系を悪の聖域たらしめるには、

イザベラの力が欠かせない。

気に入られれば、かなりの富を手にする事に出来る。

招待客達は、展示された美術品の鑑定などほどほどに、

イザベラの歓心を買う為に値を付けていった。

 

ただ、今回の美術展では少し様相が違っていた。

多くの招待客が、大ホールの中央に展示された美術品に群がっていたのである。

その美術品こそ、先日スタジアムで捕らえられたタッキーであった。

バトルスーツを格納したブレスレットを奪われたのは言うまでもなく、

身に付けていた全てを剥ぎ取られ、1m四方ほどの台座の上に

全裸で曝されていたのである。

身体は全く拘束されていない。

強いて言えば、乳首にコードが付けられていたが、

タッキーは無抵抗で、この晒し者の屈辱に耐えていた。

ここで抵抗しても多勢に無勢である。

逆らってやられてしまえば、ダークパレスに入る事も出来ない。

タッキーはチャンスが訪れる事を信じて、ひたすら耐えていたのである。

 

タッキーを取り囲んだ招待客、特に女性にとって、

『非売品』の札はどんなに恨めしかったろうか。

せめて『お手を触れないでください』の札がなければと思った

招待客も多くいたはずだ。

 

勃起した股間を隠す事も許されず、両手を頭の後で組み、

少し足を開き加減で立たされるタッキー。

戦闘員の1人が進み出て、美術品の紹介を始めた。

「こいつが昨日、手に入れたタッキーって野郎です。

 これでも宇宙刑事なんですが、見ての通りのガキでさぁ。

 それが情けないじゃありませんか。

 スタジアムの選考会に1人で乗り込んできたまでは良いものの、

 イザベラ様にコテンパンに痛めつけられた後、

 俺たちにもボコボコにされて、『どうかお許し下さい』ってんですからね」

招待客の中に笑いが起きる。

「おい。あの時、お前。イザベラ様に土下座までしたよなぁ」

「は、はい。土下座して命乞いをしました」

戦闘員の問いに、唇を震わせながら答えるタッキー。

「しかし、本当にガキだな。

 勃起している割には、いささか小さいようにも思うが」

女性招待客のタッキー人気が気に入らないのか、

老年の紳士(?)が口を挟んだ。

「申し訳ありませんねぇ。まだガキなもので。

 ちょっと待ってくださいよぉ」

戦闘員は手にしたスイッチを入れる。

タッキーの乳首に電流が走った。

「あっ、あぁぁ」

喘ぎ声を漏らすタッキー。

股間も少し隆起した。

「こら、タッキー。

 お前のチンポがお気に召さないそうだ。

 もっとデカくして、みなさんによく見てもらえ」

戦闘員はさらに電流を上げる。

「あぁぁ、もう止めてください。

 お願いです。許してください」

ここはじっと耐えるしかないと、タッキーが屈辱の言葉を口にする。

「バ〜カ。許してくださいで済んだら宇宙警察は要らないんだよ。 

 せっかく、これだけのお客様がお前のストリップを見に来てくださったんだ。

 ちゃんとお詫びしないか!」

たかが戦闘員に、言いたい放題されるタッキー。

しかし、タッキーはあくまでも逆らわない。

「招待客の皆様。今日はせっかく僕のストリップを見に来てくださったのに、

 こんな物しかお目に掛けられず、申し訳ありません。

 どうか、お許し下さい」

「フッ。情けねぇ」

少し離れたところで見ていた宇宙ヤクザだ。

「宇宙刑事っつーのはなぁ、昔はもっと強く雄々しく逞しかったもんよ。

 俺はそいつらを負かせたくって、宇宙ヤクザの世界に入ったんだ。

 それが、何だぁ。

 チンチン丸出しで、『どうかお許し下さい』だと。

 お前、縛られてるわけでも、何でもねぇじゃねぇか。

 だったら、闘って死ぬぐらいの気概っつーのはねぇのかよ」

「ぼ、僕、闘っても負けますから」

タッキーの言葉に、また笑いが起きた。

だが、女性招待客の多くは、タッキーの辛そうな表情にウットリした様子である。

「そんなにこの子を苛めないでよ。

 オチンチンだって、精一杯大きくしようって頑張ってるんだから」

フォローになっているのかどうか分からない助け船だ。

 

やがてイザベラが現れた。

招待客はタッキーから離れ、イザベラに歩み寄る。

「今日はまた、格段にお美しい」

口々に世辞を並べる招待客。

それを真に受けるイザベラ。

「今日は私のコレクションをお楽しみいただけまして?」

イザベラの言葉に、待ってましたと言わんばかりに

女性陣が反応する。

「素晴らしいですわ。特にアレなんて」

無論、アレと指さされたのは、全裸で曝されているタッキーである。

「非売品なんて、もったいないですわ。

 イザベラ様なら、きっともっと素晴らしい物が

 手に入りますでしょうに」

言葉巧に『売ってくれ』という者もいる。

「アレは昨日、手に入れたばかりなので・・」

そう言いながらも、イザベラは何も与えずに招待客を帰す事が、

自分の威厳に関わるように思えた。

「そうねぇ。それじゃ、こうしましょう」

イザベラが妥協案を示した。

 

イザベラの登場で、わずかな休息が与えられたタッキーだが、

すぐまた晒し者にされる羽目になる。

「お客様がお前のザーメンをお買い上げ下さったんだ。

 しっかり出すんだぞ!」

無骨な戦闘員の手で、股間をしごかれるタッキー。

その目からは涙も流れている。

イザベラはタッキーを見ながら、満足した笑みを浮かべていた。

“フフフ。辛いだろうね、タッキー。

 宇宙刑事でありながら、戦闘員の手で射精させられるんだから。

 そう、お前は私の副官ではなく、宇宙刑事なんだよ。

 それで良いんだ。

 私はね、身も心も屈服した者など、相手にしない。

 屈服していないからこそ、イジメ甲斐があるんだよ”

「あ、あっ、あぁぁ」

イザベラの思考は、タッキーの喘ぎ声で中断された。

飛び散ったザーメンは、床に落ちる前に全て協力吸引機によって回収され、

カプセルの中に保存される。

「フフフ。やっぱり男の子だねぇ、タッキー。  

 随分出したじゃないか。

 これが100万ゴールドで売れるんだよ。

 さぁ、自分の手で、お客様にお渡しするんだ」

イザベラに命じられたタッキーは、戦闘員からカプセルを渡され、

女性客に歩み寄る。

股間は萎えてはいたが、白い糸が垂れている。

涙を浮かべた顔が痛々しい。

「どうぞ」

カプセルを差し出した。

しかし、背後から戦闘員が怒鳴りつける。

「バカ。何が『どうぞ』だ。

 100万ゴールドだぞ。

 『僕のザーメンをお買い上げいただき、ありがとうございました』とか

 言えねぇのか!。

 公務員はこれだからダメなんだよ!」

戦闘員に怒鳴られ、タッキーは女性客の前に跪いた。

「こ、これがザーメンです。

 どうも、お買い上げいただき、ありがとうございました」

泣き声で良いながら、恭しくカプセルを差し出した。

 

その後、タッキーは10万ゴールドを払った女性客の何人かと

記念写真を撮らされた。

素っ裸の宇宙刑事、しかも射精して間もなく、

股間から白い糸を垂らした美少年との記念写真である。

彼女たちの家、或いはアジトに、惨めなタッキーの姿が飾られる事になる。