宇宙刑事ディルバン(6A)

 

 ダークギルの宇宙船団が、宇宙警察機構本部に到着したのは、ダークパレスを出発

した翌日のことだった。超長距離ワープで一気に接近した悪の艦隊は、瞬く間に警察

機構本部を包囲し、攻撃を開始した。

 激しい戦闘は丸二日に渡り繰り広げられたが、完全に敵の不意を突き、戦力的にも

勝っているダークギル軍が優位なのは明白であった。アルスの的確な指揮の元、ダー

クギル艦隊は苛烈に攻め、堅牢に守り、終始戦闘のペースを握り続けた。

 そして三日目の今日、ついに宇宙警察機構は無条件降伏に応じたのだった。

 

 そして今、アルスは宇宙警察機構本部の指令室の中にいた。かつて、この要塞の主

であった、宇宙警察長官専用の重厚な椅子に深く腰掛けたアルスは、四天王と共に複

数のモニターに写る、要塞内部の制圧作業の様子を眺めていた。

「少し手応えが無さ過ぎて、がっかりだねぇ。もっと宇宙刑事君達と遊びたかったん

だけど・・・

でも、お楽しみはこれからだよ。後は全て手筈通りに進めてくれ」

 アルスの言葉に四天王は恭しく一礼すると、主人に負けぬ邪悪な笑みを浮かべて指

令室を出ていった。

 

 宇宙警察機構が降伏した1時間後、要塞内にいた人々は抵抗することも無く、ダー

クギルの戦闘員達によって、全て捕らえられていった。降伏勧告を受け入れた後も、

ダークギルの艦隊は、要塞の包囲を解いていない為、下手な反撃はできなかったのだ。

 一ケ所に集められた捕虜達の前に四天王が表れると、『反逆行為の禁止』と、『脱

走の禁止』を厳命する。そして、この命令に背いた場合は、『連体責任として捕虜全

員を速やかに処刑する』という、極めて非人道的な恐喝も付け加えられた。当然、捕

虜達からは不満と反論の声が上がるが、周囲を取り囲む戦闘員たちに、銃で威圧され

大人しくなる。

そして、捕虜は四天王によって『普通の捕虜』と『特別な捕虜』とに選別されていっ

た。

 『普通の捕虜』に選ばれた人々は、別室に用意されたアルス特製の瞬間冷凍機にか

けられ、生きたまま氷柱に閉じ込められていく。次々と生み出される氷柱は、戦闘員

達によって台車に乗せられ、要塞内部の耐寒訓練室に運び込まれていった。その巨大

な部屋は、宇宙刑事の雪中訓練や、バトルスーツの耐寒実験に使われていたもので、

室温は常に氷点下に保たれていた。

 氷柱の中の人間は完全な仮死状態になっており、氷が融けない限り、身動きはもち

ろん、思考する事すらも出来ないのだった。

 四天王の監視の元、作業は着々と進められていく。そして、最後の一人が耐寒訓練

室に運び込まれると、部屋は厳重にロックされた。

「流石はアルス様だな」

「ああ、これだけ大量の捕虜を管理するのは、骨が折れるからな。これなら大勢の監

視を付ける必要も無いし、食事の世話も不要という訳だ」

「それに、ヘタに生かしておくと、反逆や逃亡を企てる奴も出てくる。こうやって仮

死状態にして、監禁しておくのが一番だ」

「うむ、これで我々も、調教に専念できるな」

 四天王は口々にアルスの策を誉め称えると、彼の待つ要塞指令室へ向かった。

 

 氷漬けになることを免れた『特別な捕虜』は、四天王による選別終了後、戦闘員達

によって、一足先に要塞指令室へと連行されていた。彼等は全部で10名で、捕虜全

体の一割程度の人数である。その10名は全て若い現役の宇宙刑事で、俳優やモデル

のように、容姿の優れた者達ばかりだ。もちろん、彼等の武装は全て解除され、『瞬

着』も解かれた状態だった。

 指令室にいたアルスは、不敵な笑顔で連行されてくる捕虜達を出迎える。戦闘員達

の指示で、壁際に一列に整列させられた宇宙刑事達は、この場には不釣り合いな、美

しい少年の姿を確認し、不可解な表情を浮かべる。アルスはその疑問に応えるかのよ

うに、自己紹介を始めた。

「はじめまして、宇宙刑事の皆さん。僕は今回の作戦の最高責任者、ダークギル帝国

の王子アルス」

 目の前の少年が、憎むべき敵の司令官だと知り、宇宙刑事達に動揺が走る。正義の

名の元、数々の凶暴な犯罪者や、巨大な悪の組織を葬ってきた宇宙刑事達。その彼等

を束ねる宇宙警察機構を降伏に追い込んだ敵軍の司令官が、このように幼い少年だと

は・・・

 やがて、事実を認識した彼等の動揺は、強い敵意へと変わっていく。だが、反逆行

為は同朋全員の死を意味する。彼等は自分の無力さを呪い、大人しく耐えるしかない

のだ。

 怒りに燃える20個の瞳が睨み付ける中、アルスは平然と言葉を続ける。

「君達は僕の奴隷に選ばれた。これから一人前の奴隷になれるよう、調教を始めるよ。

以後は僕の命令には絶対服従すること。逆らった場合は厳しい罰をあたえる。もちろ

ん一人でも反逆や逃亡を行った場合には、『捕虜全員の死』が待ってるからね」

 アルスの言葉に宇宙刑事達の敵意は、再び動揺へと変わる。『奴隷』と『調教』と

いう言葉の持つ衝撃は、それだけ大きかった。彼等は自分の身に迫りつつある過酷な

運命を、ジワジワと実感し始めているのだ。頭の中を横切る『絶望』の二文字。静ま

り返った室内に、生唾を飲み込む音が幾つも響いた。

 「まずは、服を全部脱いでもらおうか。もたもたするなよ!30秒後に脱いでいな

い奴がいたら、一人につき捕虜10名を処刑するよ!」

 有無を言わせぬアルスの命令に、宇宙刑事達は慌てて衣服を脱ぎだす。正義のヒー

ロー達によるストリップショーが始まり、戦闘員達から歓声や口笛があがる。それを

無言で耐えるヒーロー達は、全員が生まれたままの姿となった。しかし、さすがに股

間は両手を前に組み、なんとか隠していた。

「おら!隠してんじゃねーよ!」

「見せられないような、粗末なモノなのか〜!?ギャハハハハァ〜!」

 戦闘員達から、口汚い野次が飛ぶ。雑魚であるはずの戦闘員達に、指を刺され、ゲ

ラゲラと下品な声で嘲笑される宇宙刑事達。正義のヒーローにとって、これ以上の屈

辱があるだろうか・・・。無惨にもプライドを踏みにじられた宇宙刑事達は、怒りと

屈辱に体を震わせている。

 そして、アルスが指で合図を送ると、全裸の宇宙刑事一人一人の前に戦闘員が歩み

寄って行く。宇宙刑事の目前まで近付いた戦闘員は、それぞれ脱ぎ捨てられた衣服を

回収し、代わりに小さな白い布きれを置いた。

「今日から、それがお前達の制服だよ。早く身に付けるんだ!」

 アルスの声に急かされ、宇宙刑事達は、自分の前に置かれた布きれを拾い上げ、そ

の正体を知り唖然とする。その布きれは、白いTバックだった。しかも、股間を隠す

部分は小さな三角形の布だけで、腰に巻き付く部分と、股の間を通りケツの割れ目に

食い込む部分は、幅約1CMのゴムバンドのみという、かなり悪趣味なデザインだっ

た。

 正義のヒーロー達は、手にした淫らな下着を身に付けた自分の姿を想像し、羞恥に

顔を歪ませる。しかし、アルスの命令は絶対である。意を決し、Tバックを履く宇宙

刑事達。すると、衣服を回収した戦闘員達は、それぞれの宇宙刑事の背後に回る。そ

して、股間を隠そうと前に組まれているヒーロー達の手を、強引に身体の後ろに回す

と、後ろ手に手錠をかけてしまった。

 唯一の抵抗の手段も断たれた宇宙刑事達は、棒立ちのまま情けない姿を晒すしか無

い。意図的に小さなサイズに作られたTバックは、まるで皮膚の一部の様に体にフィッ

トし、包まれた部分の形を克明に浮き出させている。その上、極めて薄い布地で作ら

れている為、陰毛の黒い茂みはもちろん、皺や血管の流れまでも透けてしまうのだ。

 全裸以上に淫乱な姿を曝し、正義のヒーロー達から屈辱の呻きが漏れる。

 

 そして、その時を待っていたかの様に、四天王が指令室に入ってきた。

 4人の女の姿を確認し、宇宙刑事達の屈辱と羞恥は、更に深いものになる。全身に

じっとりと冷や汗をかく者、恥ずかしさのあまり顔を下に向ける者、顔を紅潮させ唇

を噛みしめる者・・・。四天王はそんな宇宙刑事達を一通り眺めると、アルスに目配

せし、作業が予定通り終了したことを伝える。アルスはそれに軽く頷くと、再び宇宙

刑事達へ視線を戻した。

「お前達!この4人には既に会ってると思うけど、改めて紹介するよ。僕の腹心の部

下の四天王だよ。名前は左から、ライラ、レイラ、マイラ、ユウラ。彼女達にはこれ

から始まる調教の教官を勤めてもらう。教官の命令にも必ず服従すること!判ったね?

それじゃあ、身体検査を開始するよ!」

 アルスの宣言により、奴隷達の身体検査が開始される。

 四天王の4人は、列の左端に立っている第一の犠牲者に、ネットリと絡み付くよう

な視線を浴びせながら、ゆっくりと近付いていった・・・・