悶絶の銀狼(6)

  終わりの始まり

 

 目を覚ましたシルバーは、ゆっくりと起きあがった。見覚えのある真っ白い

壁と黒い寝台。シルバーは再びあの監禁部屋に閉じこめられていた。

 寝台から降りると、脇腹や胸、肩がズキッと痛む。磔部屋でうずくまってい

るとオルゲット達が現れ、シルバーに襲いかかってきたのである。そして、ろ

くに抵抗することも出来ずほとんどの攻撃をまともに食らって気絶してしまっ

たのだ。

 気を失う前までの記憶の糸を必死で手繰る。レッドはどうなったんだ? シ

ルバーは部屋の中を見回したが、レッドの姿はもちろん、ブラックの死体もそ

こにはなかった。

 不気味な部屋に自分一人。嫌な考えが頭の中を過ぎていく。レッドも倒され

たのか・・・? なら気を失っていたはずの俺も一緒に始末できたはず・・・。

「お目覚めかな?」

 電極オルグの声が部屋に響いた。

「レッドはどうしたんだ!?」

「そっちへ向かっているはずだ。元のガオレッドではないがな・・・」

「どういう事だ!?」

「貴様らが体験した洗脳だよ。それの総仕上げをレッドに施した。記憶の上書

きではなく、新たな記憶を与えたんだよ」

「記憶を・・・消したのか!?」

「なかなか冴えてるじゃないか。その通りだよ」

 その時、部屋のドアが開いて、レッドが姿を現した。

「レッド!」

「呼びかけても無駄だ。君の声は聞こえない」

「何!?」

「聞こえるのは俺の声だけ・・・」

 シルバーの前に立ったレッドは何も言わず、じっとシルバーを見つめ続けている。

そして突然手を突きだし、シルバーの首を握りしめたのである。

「ぐッ・・・」

 ギリギリとレッドの指がシルバーの首に食い込む。

「レッド・・・何を・・・」

「俺がそっちへ行くまで持ちこたえられることを祈ってるよ。それじゃまた後で」

「待て!」

 レッドがシルバーを地面に叩きつけて、部屋の隅まで飛び退き、サッと身構

える。シルバーが咳き込みながら立ち上がりレッドを見る。

「本当に忘れたのか・・・? 俺が誰だか分かるよな?」

 構えたまま、レッドは言葉を返さない。そして床を強く蹴ってレッドが突進

してきたのである。シルバーはすぐにジャンプしてレッドをやり過ごしたのだ

が、着地して振り返ると、レッドがすぐそこまで迫っていたのである。

「ぐお!」

 レッドの頭突きが腹に決まり、そのまま壁まで体を持って行かれ、シルバー

の体が叩きつけられた。内蔵をえぐられるような耐えがたい痛みが全身を突き

抜け、胃の中の物がせり上がってきそうになる。

「あぶッ・・・」

 レッドが体をどけると、シルバーは腹を押さえて座り込んでしまった。その

押さえ込んでいる腹へ、レッドの足蹴りが飛ぶ。

「うああッ!」

 二発、三発と重い蹴りが腹を襲う。そしてレッドは最後の一撃をシルバーの

股間に食らわせたのである。

 グシュッと湿った音がして、シルバーの絶叫が部屋に響く。

「ああああッ! あがああぁぁぁぁッ!」

 股間を手で押さえてうずくまり、焼け付くような痛みに悶えるシルバーをレッ

ドが無言で見下ろしていると、不意にドアが開いて電極オルグが姿を見せた。

手には段ボール箱を持っている。

「いくらガオレンジャーと言えど、急所を攻められたら形無しだな」

 と言って笑い、床に段ボール箱をおいた。

「さあレッド! 好きな武器を手に取るがいい」

 電極オルグはそう言って手を広げた。

「ただし殺すな。まだ実験が残ってる」

 と言うと、レッドは頷いて段ボール箱に歩み寄り、鞭を手に取った。そし

て、まだうずくまって悶えているシルバーの背中に、それを振り下ろしたの

である。シュッと鞭が音を立て、シルバーの背中を打つ。

「ひぎいいいいぃっ!」

 体を反らし獣のような叫び声をあげるシルバーの胸を、真一文字に打つ。

「ぐがあああッ!」

 胸を押さえて、シルバーが床を転げ回る。レッドが電極オルグを一瞥すると、

「もっとやっていいぞ」

 電極オルグはそう言った。そしてレッドは鞭をしならせシルバーの首に巻

き付けると、シルバーの体を部屋の隅に向かって放り投げたのである。

 ドスンと壁にぶち当たり床に倒れるシルバーの首に、再び鞭を巻き付け、

反対側の壁に叩きつける。

 床に落ちて大の字に倒れたシルバーが、体を二、三度震わせる。

「ぐふッ・・・」

 胃のあたりから何かがせり上がってきて、口一杯に鉄の味が広がり、ヘル

メットの中へ血を吐き出した。

「ゴホッ・・・ゴボォッ・・・」

 噎せるたびに血を吐き、気が遠くなっていく。すると、その意識を呼び覚

ますかのように、レッドが鞭を放ち、鋭い痛みで意識が戻り、また血を吐く・・・。

 それが何度も繰り返された。スーツはほとんど役に立たなくなり、ダメー

ジが直にシルバーの体へ伝わる。体をかばおうとしても腕が言うことを聞かない。

 ここまでか・・・。シルバーが最後を覚悟した時だった。

「よしレッド、そこまでだ」

 と電極オルグが止めたのである。シルバーが驚いて少し顔を上げると、電

極オルグが歩み寄ってしゃがんだ。そして、シルバーの股間のあたりを指で

つまんだのである。

「シルバー・・・。役に立たなくなったスーツがどれほど脆いか、お前の目

で確かめるんだ」

 そう言って、電極オルグはスーツを引っ張った。すると、ビリッと音がして、

スーツに裂け目が出来てしまったのである。その裂け目は更に広がり、やがて

シルバーのペニスが顔を出す。

「あ・・・あぁ・・・」

 スーツは更に破れて、局部が冷たい空気に触れてヒヤリとする。人に見ら

れたくないところを暴かれて、シルバーは顔を背けた。

「残念だよ。今のお前の表情を拝めなくて。さぞや恥ずかしさに顔を歪めて

いることだろうな」

「やめろ・・・それ以上・・・やめろ・・・」

 尻のあたりまでスーツを破り引き裂くと、レッドがシルバーの脇をかかえ

て寝台へと引きずり、うつ伏せに寝かせた。そしてレッドは、シルバーと同

じように自分のスーツを引きちぎり始めたのである。

「生殖用の触手は少し太いから、最初にレッドので慣れてもらうよ」

 電極オルグは段ボールから紫色の液体が入った瓶を取りだした。

 蓋を開けて液体を手に取り、レッドのペニスにそれを塗りつけると、血管

が浮き上がり、見る見るうちに膨らんでいく。

「広げるぞ」

 電極オルグがシルバーの尻を鷲づかみにして、無理矢理外側へ押し広げた。

アナルが少しだけ口を開けると、レッドは迷わずそこへ突き進んでいったのである。

「ぐあッ!」

 ミリッとレッドの肉棒の先端が突き刺さった。そして、中へと無理矢理入

り込んでいく。

「嫌だ! 抜け!」

 シルバーが首を振り、必死で外へ押し戻そうとするのだが、レッドのモノ

はお構いなしに突き進んでくる。

「お前達だって子孫を残す時はこうするだろう。何が嫌なんだ」

 何かを勘違いしているようである。

「男同士で・・・やるもんじゃ・・・あふっ・・・」

 先端が前立腺を擦り、シルバーは思わず声を漏らしてしまった。