悶絶の銀狼(7)

  平和への架け橋

 

 「くあッ! ああぁッ!」

 寝台に寝かされ、シルバーの秘所をレッドの肉棒が激しく攻めたてる。

痛みや息苦しさ、そして秘所から全身へじんわりと広がる快楽がシルバー

の頭の中でぐちゃぐちゃになり、何をどうしていいのかすら考えられなく

なってしまった。

「んあぅッ! あああッ!」

 嫌だ! 抜いてくれ! それ以上・・・それ以上・・・。

「ああぁ・・・んあッあうぅ・・・」

「何か言いたそうだな?」

 傍らで様子を見ていた電極オルグはシルバーに総言葉をかけると、光の

触手を伸ばして、シルバーの腕を縛り上げた。

「予想を超えた出来事があると、人間は簡単なことでも見落としてしまう

ようだな? 両手は自由なんだから嫌なら抜けばいいものを」

 電極オルグは高笑いしながら、シルバーの両腕を縛っていた触手を切り

離した。触手はゴムのように縮み、シルバーの両手をがっちりと押さえ込む。

「話が・・・違うぞ!」

「何のことかな? もっと早くやれ!」

「やめろレッド! あああああッ! あぐッぐああッ!」

 レッドが腰の動きを速めると、シルバーの秘所がグチュグチュと湿り気

のある音を立て始めた。動きが早まりシルバーの前立腺を刺激する回数が

増え、シルバーの肉棒が硬さを増す。

「レッド、まだでないのか? シルバーが苦しそうにしてるぞ。もっと早くだ!」

「ひッ! んあッ! あああッ! ひッはッ・・・ああ!」

 レッドが生み出す刺激がシルバーの体を駆けめぐり、体中が火照って熱

くなってくる。やめてくれ! 抜いてくれ! シルバーは何度もそう叫ぼ

うとしたのだが、それを押さえて出てくるのは、喘ぎ声だけだった。

 頭を激しく振り、体を揺さぶりながら必死で逃れようともがくと、レッ

ドが肉棒を更に深く押し込んでくる。体の中に入りこんだ肉棒が脈打ち、

そろそろ『終わり』が近いことを知ったシルバーは、更にもがいた。

「ぁ・・・」

 腰を振っていたレッドの口から、微かに声が漏れた。

「やめろ! レッド! やめてくれ!」

「あッ・・・あぁ・・・」

「やめッ・・・やッ・・・や・・・ああ! あああああああッ!」

 シルバーの中で、肉棒が激しく暴れ回り、中を滅茶苦茶に掻き回す。

「ああ! ああんッ・・・や・・・やぁ・・・」

「うッ・・・うあッ・・・」

 レッドの腰の動きが、だんだん鈍くなってきて、動きを止めた瞬間、レッ

ドの熱い体液が、シルバーの中ではじけた。

「ああ! あッ・・・ああああ!」

 一回ピクリと動くたびに体液が吐き出され、十回ほど放ってようやく動

きが止まった。

 シルバーが頭をガックリと落とすと、シルバーの肉棒からも体液が溢れ

出し、脇へと染み出してきたのである。

「よし、どけ」

 電極オルグがそう言うトレッドは肉棒を引き抜き、寝台から降りた。

「両手を広げろ」

 言われるままレッドが両腕を広げると、手首に触手が絡みついた。

「ご苦労だった」

 と一声かけたあと、電極オルグはレッドに電流を放ったのである。電流

が触手を通してレッドの体に流れ込んだ瞬間、スーツが大爆発を起こした。

触手が離れると、まるで血飛沫のように火花を飛ばしながら、レッドはゆっ

くりと地面に倒れたのである。

 電極オルグはレッドが死んだのを確認すると、光の触手を、まだ開いた

ままになっているシルバーの秘所へ差し込んだ。触手が入っていくと、レッ

ドの体液が隙間から溢れ、寝台を伝っていく。

「お前が我が子を腹の中で育てることを誓うなら、我々は人類に手出しし

ないことを誓うが?」

 と電極オルグが声をかける。だが、シルバーは答えなかった。

「どうしたんだ?」

 局部を晒され、レッドに犯され、そしてそのレッドが殺されてしまった

ショックで、シルバーは呆然としていたのである。抵抗する気も、平和も、

もうどうでもよくなっていた。

 どうやったら逃げ出せるのか? どうやったら生き延びることが出来る

のか。他のことよりもそればかりが頭を駆けめぐっていたのである。

「イエスと受け取っていいんだな? 始めるぞ」

 電極オルグは、触手を更に奥へと差し込んだ。レッドが広げてくれたお

かげですんなりとシルバーの中へ飲み込まれていく。

 触手は中で五本に分裂し小さな球体になると、触手を通じて電極オルグ

の体液が流し込まれていく。体液が球体の中に収まると触手を切り離し、

ズルリと抜いた。

 そして何も言わず獣皇剣を握り、シルバーの腕を縛っていた触手を切り裂いた。

「行け」

 両手が自由になったシルバーは寝台を這って動き始めた。ドサッと床に

落ちたシルバーは寝台を支えに立ち上がると、がに股でよろよろと歩き出した。

 ガバガバに広がった秘所から、レッドの体液を滴らせながら電極オルグ

が作った出口へと歩いていく。

 やがてシルバーの姿が見えなくなると、電極オルグはレッドの死体を抱

え、処刑場へと戻っていったのだった・・・。

 あれから一ヶ月後、処刑場はすっかり様変わりして電極オルグの部屋に

なっていた。小さな応接セットや見たこともない不思議な飲み物が置かれ

たバーがあり、テーブルの上には書類が山のようにつまれていた。

 ドアを開けて電極オルグが部屋へ入ってくると、ちょうどそこへ電話が

かかってきた。電極オルグが受話器をあげると、

「まだ出来ないんですか!?」

 という男の怒鳴り声が、電極オルグの耳で爆発した。

「まだデザインが仕上がってないんです」

「デザインなんかどうだっていいんですよ! あんた達が壊した物を元通

りにするって約束でしょう!?」

「見栄えのいい方がいいでしょう? 良かれと思って・・・」

「ごちゃごちゃ言わないでさっさとやって下さい!」

 電話の男はそう言って、電話を切ってしまった。電極オルグは顔をしか

めて、受話器を置くと椅子に深く腰掛けた。

 シルバーを解放した翌日に、電極オルグは和平交渉を持ちかけたのであ

る。処刑場を作った採石場を譲り受ける代わりに、今までに壊した建物な

どを全て修復して、人間と共存していくと約束したのである。

 今の電話も、ビルのオーナーからのものだった。

「デザインが決まらないとどうしようもないんだよな・・・」

 と呟きながら、机の上の書類、設計図をとって、眺め始めた。

 電極オルグがこだわっていたのはビルのデザインではなく、ビルに取り

つける大事なもの、爆弾のデザインだったのである。

「後で考えるか」

 とデザインを後回しにして、部屋の隅にあるモニターのスイッチを入れ

た。モニターには何かのグラフと共に、街を歩くシルバーの姿が映し出された。

「順調に育っているようだな・・・」

 モニターに写っていたグラフは、電極オルグが残した子孫の生体反応だった。

「あと九ヶ月・・・。九ヶ月でこの星は私の物になる・・・。それまでは

大人しくしていなければな・・・」

 電極オルグはニヤリと笑うと、再び設計図に目を落とし始めたのだった・・・。