洗脳(9)

 

「待てっ!! 俺はどうなってもいい、彼女には手を出すな!」

人質に短剣を突きつけるアマゾネスの背後から、囚われのスパイダーマンが叫んだ。

 

「さすがは正義のヒーロー、身代わりになって自分の肉体を差し出すという訳ね。

 ホホホッ 良い心がけね」

憎々しい笑みを浮かべながらナイフを構えたアマゾネスが振り返る。

(これ以上は、アマゾネスの快感責めに耐えられないかも知れない・・

 だが、ひとみを助けるためには俺が身代わりになるしかない)

ヘッドセットが付いたままの頭を傾けて自らの欲情した肉体を見やるスパイダーマン。

力強く盛り上がった大腿四頭筋が形作る両脚の付け根で

上向きに押し込められた肉棒はコスチュームの下で刺激を求めて疼き、

ボコボコに割れた腹筋の上、

力の象徴ともいえる隆起した大胸筋の頂点には、勃起した乳首が付き出している。

鍛え抜かれた逞しい肉体が霰もない姿を晒し、

抑えきれない程に官能が昴まっていることに、ヒーローの理性は怖れすら感じていた。

 

「本心ではもっと私に責めて欲しいのかしら?」

鉄十字団の女幹部は、興奮し欲情したスパイダーマンの肉体を嘲笑い、

目をギラつかせながら嘲笑した。

(な・・なんだとっ!)

洗脳プロセスで読みとられた佐久間ひとみとのセックスの記憶は、

今では大部分がアマゾネスの快感責めの映像に置き替わってしまっていた。

洗脳電気椅子の快感を堪えながら見たアマゾネスの姿、

X字に磔にされ騎上位で責められた快感が

スパイダーマンの至高の快楽の記憶として再生されていた。

 

「私の快感責めを忘れられないんだろう?

 それならば、私のテクニックで責めて欲しいと懇願しなさい!」

アマゾネスが、言葉によってヒーローの精神を蹂躙した。

(う・・

 俺の心の奥まで見抜かれている・・・)

見透かされた様な言葉に、スパイダーマンは言葉を失った。

頭に嵌められたヘッドギアによって官能の記憶が読みとられ、

映像としてマシンベムのモニターに再生されていることに気付いていなかった。

ヒーローの心に驚愕と動揺が広がっていく。

筋肉が隆起する逞しい肉体は、赤と青の正義のコスチュームに包まれたまま、

到達することの出来なかった解放への欲求に疼き、

新たな快感を求めているのは真実だった。

 

マシンベムに読みとられたスパイダーマンの欲望の対象は、

アマゾネスの姿となってモニターに映し出されていた。

肉体からの要求を懸命に否定する理性は、

真実を言い当てられ、言いようのない不安と期待に動揺していた。

 

「私のテクニックで責めて欲しいと願いなさい!」

内側から突き上げる己の欲望によって苦しめられるだけでなく、

外部からは敵の女幹部がヒーローの理性に屈服を迫っている。

(お、俺は・・スパイダーマンなんだ・・・

 そ、そんな言葉を・・口にする訳にはいかない・・)

アマゾネスの命令に従わなければ人質になっているひとみの命はない。

だが、それを口に出して言うということは、

否定しなくてはならない屈辱的な欲望を認めることになるのだ。

 

「どうした? 言いなさい、さもなければこの女の命はないわ」

アマゾネスは再び短剣を振り上げた。

 

誇りを踏みにじられたヒーローは、拘束された肉体の中心で、

熱く疼く股間から押し寄せる抑えきれない肉欲を満たしたいという願望を、

拭い去れなかった。

(くそっ どうすればいいんだ・・

 俺に・・・欲望に従えというのか・・・)

躊躇するスパイダーマンだったが、

アマゾネスが剣をひとみに突きつけるのを黙って見ている訳にはいかなかった。

「待て、分かった! 言う!!

 ・・・お前の・テクニックで・・俺を・・・責めてくれ・・・」

(くっ くそぉ・・・)

自らの口から発した言葉によって、

スパイダーマンの理性は追い詰められ、淫欲が膨れ上がっていくのだった。

なぜなら、アマゾネスがスパイダーマンに言わせた言葉こそ、

ヒーローの肉体が求めている真実に他ならないからだった。

理性を欲望に従わせ、本能によって洗脳するというアマゾネスの罠により、

マシンベムのモニターに映されている官能の記憶が、

スパイダーマンを蝕み、支配しようとしていた。

 

勝ち誇った笑みを浮かべるアマゾネスが口を開いた。

「ホホホホッ よく言えたわね。

 でも、ものを頼むのなら、敬語を使いなさい!

 それと、これからは私のことは『アマゾネス様』とお呼び!!」

「くっ」

スパイダーマンの赤いマスクが屈辱に歪んだ。

(これ以上の屈辱を味あわせようというのか・・・)

押し黙るスパイダーマンを、アマゾネスが追い詰める。

「さあもう一度言うのよ!」

屈辱的な言葉を強いられ、マスクの下、拓也は目を閉じて感情のない言葉にする。

「アマゾネス・さ・ま・・の・・テクニックで・・俺を・責めて・・くだ・さ・い・・」

「ホホホホホッ その調子よ! スパイダーマン」

アマゾネスは足下に落ちたワンピースの切れ端を拾い上げると、

恐怖に震えるひとみの口に噛ませ、

これ以上声を上げることが出来ないように猿轡とした。

 

「ひとみっ!」

思わず声を上げたヒーローにアマゾネスが振り向かずに答えた。

「安心しなさい、これ以上の邪魔をしないように黙らせるだけよ。

 お前が私の言うことに大人しく従えば人質は殺さないわ」

「・・・」

(くそっ ひとみを人質に取られては・・・アマゾネスの言う事を聞くしかない)

マスクの下から、ただ黙ってアマゾネスを睨むスパイダーマン。

 

アマゾネスは腕組みをしたまま、

仰向けに磔にされたスパイダーマンの周りをゆっくりと一周した。

獲物を焦らし弄ぶ様に笑みを浮かべ口元を歪ませている。

そして広げられたヒーローの脚の間を注目する。

「正義の男のくせに、

 股間をそんなにモッコリさせて恥ずかしくないのかしら、スパイダーマン?」

赤と青のコスチュームに包まれたスパイダーマンは、

全身の筋肉が、筋肉と筋肉の境界がクッキリと刻まれるほどに隆起した肉体の中心で、

亀頭の先端の割れ目、張り出したカリと括れ、裏筋、

竿を走る血管までもを露わにしながら肉棒が大きく屹立していた。

アマゾネスの言葉が、正義のヒーローのおかれた屈辱的な状況をいっそう強調し、

スパイダーマンの羞恥心を煽り立てる。

(くっ・・・)

マスクの下からアマゾネスを睨みつけ、

己の置かれた現状に必死で反抗するスパイダーマン。

 

「お前はいったい何者なのかしら?」

「・・・・」

(今度は何を言わせようと言うんだ・・・)

戸惑うスパイダーマンに、アマゾネスが命令する。

「何者なのか言いなさい!」

「俺は・スパイダーマン・・・」

そう答えるスパイダーマンに、アマゾネスは更に屈辱的な言葉で追い打ちを掛けた。

「敵に囚われて股間をこんなにしているお前は、もう正義のヒーローなんかじゃないわ。

 お前は『淫乱なヒーロー、スパイダーマン』なのだ!

 分かったわね!

 では、もう一回聞くわ。お前は何者なの?」

屈辱的な指示に唖然とするスパイダーマン。

(な、なんだと! そ、そんなことを名乗れというのか・・

 だが、従わないと・・ひとみが殺される・・・)

「俺は・・・ 淫乱な・ヒーロー・・・スパイダーマン・・です・・・」

 

「分かってきた様ねぇ。フフッ

 では、『もっと責めて欲しい』と願いなさい!」

敵の女の言葉に、スパイダーマンは屈辱の縁へと追い詰められる。

 

「あの女を助けたいのなら言うのよ!」

アマゾネスの命令により、屈辱に打ち拉がれるパイダーマン。

(く、くそお・・・)

「も・・もっと・・・せ、責めて・くだ・・さ・い」

欲情した肉体が疼くのを抑えようとするものの、

刺激を求める勃起した肉棒は、屈辱的な言葉にすら敏感に反応しビクビクと震えた。

スパイダーマンは、自らの言葉によって辱められる一方で、

肉欲への願望がますます昴まっていくのだった。