セイバーレンジャー

第6話 【ブラック絶体絶命!】


2発目の回転重キックで「とどめ」を刺さんと,ジャンプしたブラックセイバー=アキラ。
しかしキック命中の寸前で予想もしていなかったことがおこった。
ウミ蛇怪人の胴がぱっくりと裂け,数百匹のウミ蛇が爆発したように吹き出したのだ!

「うわあああああああああああああ!!!」

たちまち足首にからみつく何十匹ものウミ蛇。
あっという間に ふくらはぎからふとももに蛇たちは駆け上がり,
アキラの太い脚部を締め付ける。ねっとりしたイヤな感触が下半身をおおう。
腰から下に幾重にもからみついた蛇たちは,アキラを上空に持ち上げていく。
なすすべなく逆さ吊りにされるアキラ。

「ぬをっ  こ,これはッ!・・・・・  ス,スライ・・サーを・・・・・」

右手で腰から武器を取り出すが,すぐにヘビにからみつかれた。
強烈な力で手首が締め付けられる。
指がぐぐっ ぐぐっ と1本づつこじあけられ,
一度はつかんだスライサーは地面に落下していった。

「ああっ・・・・しまった!・・・・な,ならば・・・・・
 ううっ! あ,あ,あ,あ・・・・ああっ!!」

次の武器をさぐっていた右手が徐々に腰から引き離されていく。
アキラの太い腕の筋肉が盛り上がるが,数十匹の海ヘビの力はそれをはるかに上回っていた。
「ぐっ・・ くぅ・・ ん・・ あっ ああっ ふわあああっ」

左腕もからめとられ,ぐいぐい引っ張られていく。
ブラックセイバー=アキラは地上10数メートルの高さで,腕の自由も奪われ,
逆さ十字に固定された。

「くそおッ  は,離せっ  く,くそっ  うぬっ」

対メーア防衛隊の隊員たちが海岸に集結してきていた。
隊員たちの後ろには待避命令をきかない野次馬たちの姿もかなり見える。
いつもなら彼らを追い返す防衛隊だが,
目の前の,つるし上げられたセイバーレンジャーの姿に,呆然となってしまった。

怪人の身体が発光し始めた。
これまで逆光で見えなかった怪人の顔が見えてきた。
冷酷そうだが意外に整った顔である。しかしそれだけに,
胴の裂け目から数百匹のウミ蛇がうごめいている不気味さとはまったく不調和で,
見物人の中には吐き気をもよおす者も多かった。
と,その背中から大きな羽根が音もなく広がった。

「くくくくくくく 地上人たちよ,初めてお目にかかる。
 我が名は ラファエル。
 これより,そなたたちに 楽しい見せ物を お見せしよう。こころして見よ。
 ふははははははははは・・・・・
 まずは・・・・・」

数本の海ヘビがしゅるしゅるとブラックの首に走っていく。
セイバーメットとスーツの接合部にクワッと牙を立てた。
ばちっばちっと吹き出す激しい火花。
防衛隊員たちからは ネックレスが光っているように見える。
しかし実際には光るたびに強い衝撃が発生し,ブラックの首はびくんびくんけいれんした。

「はがッ!!  ぐごッ!!  ぐはあッ!!  があッ!!  がはッ!! 」

10数分間もこの攻撃が続いた後,ブラックの首の周囲に帯状の光が走った。
電流と高熱が首を締め付ける。
「んんんんん・・・・・・・ッ」
光の帯が消えた時,メットとスーツの接合部が完全に破壊された。
メットが落下していった。
プロテクターの白いラインが3回点滅したあと,すうと輝きを失った。
アキラの素顔がさらけだされた。
太く濃い眉毛がゆがみ,かみしめ続けた唇からは,血が混じった唾液が滴っている。
目は大きく見開いているが,今までゴーグルに映されていた強烈な光と狂った色彩のため,
一時的な失明状態になっていた。
はあっ はあっ と分厚い胸を動かしながら ブラックの声がもれてくる。

「・・・くっ くそおっ・・・ まっ まだまだ・・・・」



おもむろにラファエルの赤い唇が大きく開いた。
口腔内から銀色に鈍く光るウミ蛇がずるずると這い出してきた。
そのおぞましさに吐瀉する人々。
銀のウミ蛇は上空のアキラ目指して昇っていく。
両足を締め付けていたウミ蛇たちが,アキラの足を左右に開かせ始めた。
「はっ・・・・な,なにを・・・・・」
ぐいっ,ぐいっとセイバースーツに包まれたアキラの太い足が押し開かれていく。
反射的にそうはさせじと踏ん張るが,何十匹ものヘビの力は強烈だ。
何匹かが,抵抗するアキラの大臀筋にスーツの上からぐさりと牙を突き立てた。

「・・・くっ!  ぐをっ!  むむむむっ!  むんっ!  だあっ!・・・・」

アキラの抵抗もここまでだった。一気にぐぐぐぐっ と引っ張られる。
ついに限界まで足は広げられた。
逆さにつるされたアキラは,完全な「X」字になった。

銀ヘビはアキラの堅く盛り上がった尻に何度か胴をこすりつけたあと,
肛門部にぐいっと頭をもぐりこませた。
プロテクター,スーツ,競パンがアキラの肛門に食い込む!
「がっ!  な,なんてこ・・・・こ・・・・と・・・・うをっ!!」

「3重のガードか・・・・・時間の問題よのお・・・・」

銀ヘビはまず牙をむきだしてプロテクターの特殊繊維をがりがりと噛み破っていく。
ガードを食い破ると,口から分泌液をにじみ出させた。
が,これはセイバースーツには効かない。
「ほお?  ならば・・・・」

「? はぐっ!・・・・ぐおっ!・・・・があっ!」

スーツに食らいついたヘビの口唇部から局所的な高圧電撃が発射された。
充電の時間がかかるのか,間欠的に ばちっ ばちっ と放たれる電撃。
そのたびに,高熱と電撃のショックがアキラの肛門周辺を襲う。
何度も何度ものけぞるアキラ。
もはや 人々は その凄惨な姿を正視できない。

「がっ!・・・・ぐはっ!・・・・うがっ!・・・・・んごっ!・・・・あぐっ!」

百回を有に越えたところで,ついにスーツの耐久力が限界にたっした。
穴があいた。

「!!  スーツが?! まっ,まさかっ!!」

銀ヘビは 電撃に代えて 分泌液をじゅるじゅると最後の特殊競パンににじませ始めた。
じわじわ腐食していく競パン。

「はっ はっ はっ はっ あ,あ,ああ,ああ・・・」

焼けるような痛みとともに,じょじょにウミヘビの頭の感触が肛門に迫ってくる。
頭の大きさは4,5センチもあるだろうか・・・・
しかし今のアキラに逃れるすべはない。
腕も足も 何十匹ものウミ蛇にからみつかれ,ぎりぎりと締め上げられているのだ。
手足の末端の感覚が薄れてきていた。

また数匹が,今度はアキラのよく発達したももの付け根にからみつき始めた。
無防備となった顔面や首にも何匹かがのたうち,ちらちらと舌であちこちをなめたり,
臭い息を吐きかけてくる。

「!」
アキラの表情が変わった。

「うおおおおおおおおおおおおおお!! やっ やめろ・・・・!!
 やっ やめろぉぉぉぉぉおおおお!!」

アキラが初めて口にした メーアへの哀願の言葉 だった。
銀のウミ蛇がついに 特殊競パンを破ってアキラの肛門に頭を突き入れたのだった・・・・

 ずぶっ
「!! んっををおお!!」

針のように貫く電撃,じりじりと皮膚を焼く痛み。そのあとのこの感覚は むしろ快感に
近いものだった。
しかしアキラは本能でそれが おぼれてはいけない 受け入れてはいけない快感だと
直感していた。

「だ,だめだ・・・・よせ・・・・ぐぅ・・・・ああっ・・・・やめろぉっっ・・・」

しかしその意志とは別に,快感はどんどん身体の中心部に流れ込む。
アキラのペニスは硬く大きくなっていく。

肛門括約筋に全精神を集中させてヘビの侵入を防ごうとする。
ぎりぎりと唇をかみしめる。
ヘビの胴が括約筋に締め付けられる。さすがの銀ヘビもそれ以上奥に侵入できない。
が・・・・

「ふんっ?!・・・・ぬをおおおおおっ!!」

今度は何がおこっているのか,アキラ自身の目で見ることができた。
もう一匹のヘビがッ!
鈍く金色に光るウミ蛇が,隆起したアキラのペニスに食らいついているのだった。
このウミ蛇も 銀のヘビと同じ能力をつかって,ペニスを守る3重のガードを侵し始めた。
ふたたび 牙,電撃,溶解性分泌液・・そしてウミ蛇の堅いあごがペニスを襲う。
押し寄せる苦痛と快感の混合物に,括約筋の緊張ももはや持続できない。
息が漏れる・・・力が抜けていく・・・

「は,はっ,あふっ・・・・」
ずぶっ!
「うがあッ」
ずぶっ!
「んッッッ」

金のヘビは既に知り尽くしているのか,銀よりもかなり早いスピードでプロテクー,
セイバースーツ,特殊競パンを破壊していった。
破れた競パンからとび出すアキラの巨大なペニス。
セイバーレンジャー最大の弱点が無防備のままさらけだされた。
たちまち「獲物」にかぶりつく金色のウミ蛇。

「がふっ!・・・・・・ ぐっ ぐっ っ っ ぐうううう ああっ く,くそっ」


どんなに傷だらけになっても前進をやめないのが
「ブラックセイバー=ハヤシアキラ」だった。
トリッキーな戦術で敵を翻弄するのは苦手だったが,その底知れぬ体力・持久力で,
肉を切らせて骨を断つ。常に 真っ正面から 敵と戦い 撃破していった。
レッドや ブルーの盾となり,グリーンを守って 全身に大きなダメージを受けたことも
数回ではない。それでも決して弱音も不満も吐かず,戦闘が終われば 傷の痛みを隠して
明るく笑って仲間を気遣い,彼らの戦いぶりを讃えるのが ブラックであった。


「うぐ・・・・く,くそう・・・・はっ はう・・・・・ あと 少し・・・
 あと5分もすれば・・・・ 仲間が・・・・・」

「さすがはブラックセイバー。
 大した忍耐力だ。
 しかし誉めてやるのは,この攻撃に耐えられてからよのお」

「ふ?
 はああああああっ!!!うああああああああっ!!があああああああああっ!
 や,やめろおおっ! やっ・・・・ やめてくれええええっ っ っ なっ なん・・
 ・・・こ,これ・・・・わ・・・あああああっ」

X字に固定されたアキラの身体が前後左右に激しくのたうちまわった。
絶叫が群衆にもはっきりと聞こえた。

肛門に侵入した銀ウミ蛇の舌先が直腸内壁を刺激し,ペニスに食らいついた金ウミ蛇の舌が
尿道に突き入れられたのだった。
すさまじい感覚がアキラを前後から挟撃する。

「はあ はあ はあ はあ ああ ああ あうっ あうっ あ あ・・・」

ふっ とブラックの意識が遠のく。
(だっ だめだっ! この・・まま・・では・・ ヘルデンエナジーを放出してしまう・・・)
すでに プレエナジー液が流れ出し,股間・下腹・胸を濡らしていた。
(仲間が駆けつけるまでは,耐え抜かねば・・・)

「くくくくくくく・・・・
 これまでのようだな ブラックセイバー。
 おぬしの ヘルデンエナジー いただくぞ!
 ん?・・・なにっ!」

「でやああああああああああああああっ」

ブラックは全力を振り絞って,X字体勢のまま,身体を高速で回転させた!
油断していたのか,ブラックの動きについていけないウミヘビがぶちぶちとちぎれる。
金と銀のウミ蛇も,粘液にまみれながら ずぼっ ずぼっと 引き抜かれた。
抜ける瞬間の激痛!!
だが手足の締め付けが弱まった。チャンスだ!

「こしゃくなっ!!」

静かだったラファエルの顔に怒りの色が走った。
いったん離れた無数のヘビたちが逆流してブラックの身体に向かう。
数百本ものヘビがブラックの身体を両腕ごとぐるぐるまきにしていく。
あまりにも激烈な締め上げ!
ばきッ!  めきッ!
アキラの肋骨の何本かが折れた。
「がはあっ」 口から鮮血が吹き出す。

そして 間髪を入れず,すべてのヘビが最大限の高圧電流をアキラに流し込んだ。
夜の海岸が 真っ白になった。

「うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

光・火花・高熱・煙とともに 全身のスーツが破壊される。
セイバーレンジャー最強にして最後の武器が,断裂し,焼け焦げ,溶解していく。


長く続いたアキラの絶叫が途絶えると,あたりは闇にもどった。
波の音しか聞こえてこない。
何かが焦げた異様な匂いがただよってきた。スーツの特殊繊維か。アキラの皮膚か。

ヘビたちは戒めを解き,ゆっくりとアキラを地上におろしていく。
その身体にセイバースーツはほとんど残っていない。
見守る群衆の数十メートル先の浜に降り立つ 黒の競パン姿のアキラ。
たくましい足を少し広げて立ち,両腕を軽くかまえた姿は まさに「戦士」だ。
が,動かない。
・・・・・・・・・・・

「うっ・・・」

低いうめき声がきこえた。
アキラは 直立した姿のまま前のめりに砂浜に倒れていった。



前回に引き続き原案は Blue Dragon さんです。