セイバーレンジャー

第3話 【 救え! レッドの命 】


捕らわれていた和弥(カズヤ)博士が ブラックたちに救出されてかけつけてきた。
「博士」とはいえ,その称号には似つかわしくない年齢の和弥は,動かないセイジの
裸体をシュンスケとともに抱きしめて涙を流した。

「セ,セイジ・・・すまない。僕が無警戒だったために,こんな目にあわせてしまっ
 た・・・
 しかも,僕が作ったこの機械が,君を苦しめるなんて・・・
 いくらメーアの奴らに利用されたと言っても・・・・すまん,すまない・・・
 セイジ・・・こんなに・・・こんなにむごいめに・・・」

セイジの身体のあちこちに様々な傷痕が残っていた。赤く腫れあがっているところも
あれば,出血していたり,中には皮膚が焦げている部分すらあった。
ミカエルにあやつられたコードやらチューブやら電極やらが,セイジの肉体に食らい
ついていた痕跡だった。
もともとのセイジの身体が本当に美しかっただけに,それらの傷跡はいっそう凄惨
だった。

「博士! セイジ,かすかに息してます!!」 シュンスケが叫んだ。
「なにっ・・・・ おお 本当だ。弱いし不正確だが 脈も・・・・奇跡だ!」

すぐにセイジは救急治療室に運ばれた。
しかし,ありとあらゆるヘルデンエナジーを搾り取られたセイジの肉体は,博士の懸
命の治療をもってしても,回復するどころか,常に死の世界に入ろうとしていた。
博士も万策尽きようとしていた。
そんな時 再び デヴィーラの攻撃が始まったとの通報が入った。グリーン,イエ
ロー,ブラックは後ろ髪を引かれつつも出撃した。
残ったブルー=シュンスケは,セイジが捕らえられていた部屋に博士を呼んだ。
そして,いつもと変わらぬ静かな口調で話し始めた。

「博士,オレのエナジーを採取してセイジに与えてくれ。セイジを救うにはそれしか
 ない」
「だめだ! エナジー取り出しの安全値は未確定だ。
 それに,今セイジを救うのにどれだけのエナジーが必要かもわからないんだ」
「だったら 博士・・・ とにかく十分な量を取り出してくれ」
「バカを言うな! 危険すぎる。ヘタをすれば君まで危なくなる」
「なんにせよ,セイジがいなければセイバーレンジャーはメーアには勝てない。
 今はこれしか ないんだ」
ウェアを脱ぎ捨て,シュンスケは紺の競泳パンツ一枚になった。
「さっさと やってくれ 博士」

いまや和弥博士も覚悟を決めた。
エナジー取り出し装置の初号機はミカエルに操作されたままになっていため,垂直に
設計された二号機を使用することになった。
基盤を背に,腕を水平に上げるシュンスケ。機械的な音とともに基盤から拘束具が延
び,長い腕,長い足ががっちりと固定される。
ついでウエストに銀色の金属帯が巻き付き,最後に首が固定された。
「ぐっ・・・・」 この時だけ,シュンスケの声がもれた。

十文字に固定されたシュンスケの身体。
大きく発達した肩と胸,寸分の無駄な肉や脂肪のない見事な肢体。
紺色の特殊競泳パンツ。
そこに走るライトブルーとホワイトのラインが浅黒く日に焼けた身体に美しく輝い
ている。
まさに水中の戦いのためにつくられた肉体・・・・
博士は改めて感嘆した。
しかし見とれている時間はない。ヘルデンエナジー吸引チューブを取り出す。

「シュンスケ,チューブを取り付ける。競パンの保護装置をはずしてくれ」

シュンスケの脳内で「保護装置解除」の指令が出る。
腰や尻ににぴったり密着していた競パンが心持ちゆるんだ。

「チューブの取り付けにはかなりの痛みがともなう。がまんしろ」
チューブを持った博士の手がパンツの中に入った。
端正なシュンスケの顔がゆがむ。

「くッ・・・・んーーんんんんんんんんっ・・・・んっ んっ んっ んっ 
 ぐぅっ」
「よし。あとはパルス送信ケーブルだ。こいつは少しちくちくするだけのはずだ」

7本の細いケーブルがシュンスケの股間のまわりに次々に刺されていった。
その場所がいずれも性感帯なのか,刺されるたびにシュンスケのモノがはねた。

「では始める。シュンスケ,もう後戻りはできない。最後まで耐えろ」
黙ってうなずくシュンスケ。目を閉じる。
マシンがONになった。

「ふわっ!!」
シュンスケの肉体にたちまち変化がおこった。ふだんは見えない,彼の筋肉組織が
じょじょに浮きあがってきたのである。
ことに太ももにはいくすじもの筋肉が浮き出た。シュンスケのパワーのみなもとだ。
肩から胸にかけても太い筋肉が盛り上がってきた。
これに引っぱられてか,首ががくがく動こうとしたが,かろうじて拘束具が押さえて
いた。
股間に押し寄せる刺激は シュンスケがかつて経験したどんなものとも違ったし,
予想したものをはるかに上回るパワーだった。
快感・・・ではない,決してここちよいものではない。かといって単なる痛みでもな
い。そして,我慢できなくはない・・・と思っていると,突然 大声を発したくなる
ほどの強烈な力になって押し寄せてくるのだった。

「あっ あっ あっ ああっ・・・・セイジ・・・・お前・・・・
 こんなものを・・・・・ こんなものを 何時間・・・・くっ・・・・
 耐え・・・・耐え・・・・続けたんだッ・・・
 んーんーんーんー んッ んッ んはっ!!」

閉じた瞼から流れ落ちる涙は 苦痛によるものだけではなかった。

最初,股間に集中していた刺激は次第に全身に広がっていき,胸部に達した。
刺激を与えるケーブルは胸にはついていないはずなのに,まず,ゆっくりとまさぐら
れるような感触。ついで,胸全体を何度も鷲掴みにされる感触。
そして乳房へ同心円を描いてじわじわとせまる刺激を感じた。
ここまでで,シュンスケの大胸筋はふるふると震え,乳房は固く突き上がっていた。
そして最後の一点に全ての刺激が集中したとき・・・・・

「うわああああああああああああああああッ」




まだ頭が重い。足がふらつく。腕の感覚も鈍い。
博士は抱きかかえて止めた。でもオレは行く。行かなくてはならない。
博士を乱暴にふりはらって研究所をあとにした。
「すいません。セイジを頼みます」と言い残して。

競パンの保護装置をONにする。戦闘モードだ。いつもの爽快な密着感が頭の中の疲
労を消してくれたような気がした。そして,セイバースーツ装着。軽く息を吸う。

「セイバーぁぁぁぁぁあああああああ ブルぅッ!!」


戦場は今までにない惨状だった。3人がばらばらに倒れている。もはや戦闘不能
状態に陥っているようだ。
危ないっ,グリーンが狙われている。ここで大地を蹴る!

グリーンを抱いたまま着地。傷ついたヘルメットの中に幼さを残したケンタの目が見
えた。ちょっと涙ぐんでいる。
「シュンスケ先輩!  来て・・・・くれたんですね・・・
 あ,またメットとプロテクター装着してない・・・・」
「おまえには言われたくないな。さ,安全なとこで体力を回復させるんだ」

オレは戦闘開始直前にならないとセイバーメットなど装着しない。
時には戦闘中に装着することもある。
その方が1秒でも長くエネルギーを維持できるし,何よりもそれがオレのスタイル
だ。敵の姿をまずオレ自身の目で見据えるのだ。
これをいつも厳しく注意するのがセイジだった。無謀なことをするな,自分一人の命
ではない,戦闘の前に万全の準備をしろ・・・
そんなことを何度もおれに説教してくれたお前自身が,いちばん危険な状態になって
いるなんて・・・
くそっ,タダですませるものか!

「デヴィーラ! このブルーセイバーがきさまを倒す!」

ヘルデンエナジーを保護するプロテクターが腰をおおう。
スーツより少し濃い色をした青だ。
メットを装着。
プロテクターの腰から股間に白と赤のラインが閃光を放って走った。
ぐっと下腹部が引き締まる。
あとはヤツを倒すのみ!