セイバーレンジャー

第1話【ねらわれたヘルデンエナジー】

 

猛毒怪人デヴィーラの毒ガス攻撃にさらされ,おびただしい数の市民が被害を受けた。一刻

もはやく解毒剤を作らなければ,数万もの命が奪われてしまう。

「博士,お願いします。早くなんとかしてくださいッ! このままでは多くの人たちが死ん

でしまいます!」

他の4人にデヴィーラとの戦闘をまかせ,レッドセイバー・セイジはセイバーベースに帰還

していた。

セイバーメットははずしていたが,鮮やかな深紅のスーツ姿は戦場からそのままである。

あちこちが黒く痛んでいるのは,デヴィーラの毒液・毒ガスを受けた痕か。

セイジの鋭い眼差しは真剣そのものだった。

「ああ,しかしデヴィーラの毒素はあまりに強力で複雑なものだ・・・・ 被害者たちを救

うと言っても・・・・方法は1つしかないだろう・・・・」

「そ,それは・・・・?」

「君たち セイバーレンジャーの身体から ヘルデンエナジーを抽出し,それをもとに解毒

 剤を合成するのだ」

「僕たちの・・・・? 5人全員のが必要なんですか?」

「いや,時間もないし,おそらく1人のエナジーサンプルがあれば 合成は可能なはずだ」

「わかりました。では僕のをすぐに採取してください。でも,どうやって僕の身体からエナ

 ジーを取り出すというのです?」

「最高純度のヘルデンエナジーは,肉体と精神の高揚が限界まで達したときに,精液ととも

 に放出されるということがわかっている。

 わたしは研究用のサンプル採取のための装置を開発していた。体内に様々な特殊パルスを送

 ることで,神経を刺激し,人工的な高揚をもたらす装置だ。これなら 確実にエナジーを採

 取できるだろう。 しかし・・・・」

「しかし?」

「まだ試作段階なんだ。それに,エナジー放出には かなりの負荷がかかると推定される。

 精神的にも肉体的にもだ。いちど放出すると,しばらくは変身は不可能になるかもしれ

 ん。」

「今はまず被害者の命が優先です。和弥博士,いそいで準備してください」

「うむ・・・・・

 そうだな。わかった,すぐに装置の起動と調整を始めよう。君はここで待っていてくれ」

 

しばらくして博士がもどってきた。装置が設置されている研究室に向かう2人。

かなりの広さがある研究室は2人のほかは誰もいなかった。

装置は2種類あるのがセイジにはすぐわかった。一つは手術台に似た形態のもので,もう一

つはそれを垂直に立てた形をしていた。

「今回は,初号機を使うことにする。セイジ君 そこに横になってくれたまえ」

「はい。あ,スーツはどうしましょうか」

「解除,してくれ」

「セイバー オフッ!」

光がセイジの身体を包み,瞬時にセイバースーツは消滅した。あとには 競泳パンツのみを

身につけたセイジの裸体があらわれた。

輝くばかりの 176センチ 70キロの 見事な逆三角形の肉体。

パドリングで鍛えられた広い肩と盛り上がった大胸筋,砂浜での過酷なランニングが作り上

げたたくましい大腿部,あらゆるパーツに力がみなぎっている。と同時に,すべての生命を

守るライフセイバーの優しさも,そのしなやかな身体から確かにうかがわれた。

通常の方法でスーツ解除をしてもいくらかは身体に負担がかかるらしく,呼吸が少し荒い。

胸の筋肉の動きがはっきり見える。

セイジは呼吸を整える間も惜しんで,装置によこたわった。つるつるの金属の台に触れて,

広い背中がひやりとした。

別室の博士の声がモニターからした。

「では,これより,ヘルデン,エナジー,の採取に,とりかかる」

博士も緊張しているのか,声がとぎれがちだ。

常に冷静な博士のくちぶりもいつもと違う。セイジも緊張した。

「セイジ君 腕は身体の脇につけるではなく,横に。そう,左右にしっかり伸ばしてくれ。

 足はもう少し広げて。 それでいい。」

静かな音とともに拘束具が台からあらわれ,両手両足をがっちりと捕らえた。

セイジの身体はきれいな「大の字」を描いて固定された。

つづいて,2本の金属製の細いチューブが台から伸びてきた。

「セイジ君 動かないでくれたまえよ」

2本のチューブは別室の博士にコントロールされて動き,セイジの左右のふとももの付け根

に,ぷすっ・ぷすっと差し込まれた。痛みとくすぐったさが混じった微妙な感覚がした。

最後に台の脇の装置から,先端が吸盤のようになった管が伸びてきて,セイジの股間に吸着

した。しゅっと音がして内部の空気が抜け,完全に密着した。

「博士,この特殊競パンの上からでもエナジーは採取できるんですか?」

「エナジーは繊維の隙間も通過できる。問題ない・・・・

 ではパルスを送り始める」

セイジは目を閉じた。

「お願いします!・・・・・・・

 んっ!!・・・・・ん・・・・・・っっっっっっっっ くっ・・・・んっ・・・」

セイジの端正な顔がゆがみ始めた。

 

 

 

 

しゅっと音がして,エナジー吸引装置がセイジの股間から離れていった。

予想をはるかに超える作業だった。こんなにも過酷な作業だとは思っていなかった。

全身に汗をぐっしょりとかき,呼吸・鼓動はまだ乱れている。横たわったセイジは激しく口で

息をし,その大きな胸がしきりに上下している。いつもはきれいに澄んでいる目も かなり

充血していた。

「は,博士・・・・ いそいでそれ・・・・を・・・(はぁ はぁ) みんなに・・・・

 お願い・・・・しま・・・・す・・・(はぁ はぁ)

 ? あぐっ?!  うぐっ!  うっ?  うあっ! うあああああああああああっ!

 は 博士・・・・ いっ いったい・・・・・」

苦悶にゆがむセイジの顔。ヘルデンエナジーの採取は終わったのに,また 装置が起動し始

めたのだ。しかも さきほどよりもはるかに強烈な刺激が股間を襲ってきていた。

言葉が出ず,目でモニター画面の博士に事態の急変を訴えようとしたが・・・

博士の表情に異変があらわれていた。違う! 和弥博士ではない!

目に異様な光がやどり,悶えるセイジを冷たく見下ろしている。

「君からのエナジー採取は,これからが本番なのだよ。

 完全に,徹底的に,最後の一滴まで,君のヘルデンエナジーは搾り取られるのだ」

「うぐっ・・・・・き,きさま・・・・・だっ・・・・・あぁッ・・・・・ふぐっ・・・」

「君の大事な博士は,とっくに我々がとらえてある。この装置の情報はすべていただいた。

 新型の高速自白装置はじつに快適だったよ。

 さて,採取スピードをあげさせてもらおうか」

つまみをぐいっと回す偽博士。

「うわあぁぁぁぁぁ!!!!! くっ・・・・くそう・・・・こっ・・・・こんな・・・・

 こと・・・・で・・・・・ つっ!・・・・・んっ!・・・んんんんんんんんんっ」

セイジは必死で腕や足を装置からはずそうとするが,股間を襲うパルスの刺激で力が入らな

い。ただ ひくひくと震えるだけである。指が空をもがく。

「がまんし続けるつもりかね。ふん,では こちらも使ってみよう。どうだね」

偽博士がコントロールパネルを操作すると,セイジの両脇近くの基盤から銀色に光るチュー

ブが蛇のように頭をもたげた。2本のチューブは,たくましく盛り上がった胸の激しい動き

をしばらくサーチしていたかと思うと,すっと 的確にその乳首に吸い付いた。

「はっ」 思わず息をのむセイジ。

次の瞬間,強烈な刺激がセイジの両乳首を貫いた。

「ぐわあああああああああああ!!!!」

鮮やかな赤地にブルーとホワイトのラインが入った特殊競パンに,染みがみるみる広がって

いく。がくっ とセイジの抵抗が止まった。

「まだまだ これからのようですねえ・・・・くくっ」

無表情な偽博士の口元がようやくかすかに笑った。