薔薇十字団(6)

 

 

ダリアの繰り出した強烈な急所蹴りに、不意をつかれたスパイダーマンはなす術も無く失

神した。

「ほんと、男ってバカね!ちょっとアソコ撫でてやるとデレデレしてさ!」

軽蔑するかのような視線で見つめ、スパイダーマンにツバを吐きかける。

「単純な傀儡の術も見抜けないようなマヌケなヤツにアマゾネス様はなんの用があるんだ

ろ…」

スパイダーマンを殺さぬように厳命されていたダリアは、自分にまったく歯が立たず、無

様に失神する男にどんな価値があるのかと不思議そうに見つめている。

ふと、自分の脚に視線を落すとす。

「あー汚!足にまだ変な汁が付いてるゥ!!早くシャワー浴びてキレイにしよっ!」

アジトの通路に2、3歩進みかけて、急に思い出したかのように胸元から薬ビンを取り出

すと、薬ビンの中身を全部地面に流すと、小悪魔のようなイタズラっぽい表情に戻り、空

になったビンを目立つように自分の座っていた岩の上に置いて行った...。

「フフフ残念でした、スパイダーマン」

 

 

「・・・はっ!」

いつからか降りだした雨がスパイダーマンの意識を覚醒させた。

「オレは気を失ってたのか…」

激しい雨脚がスパイダーマンの意識を徐々にはっきりとさせていく。

すると同時に、戦闘と呼べるものなのか判らないが、先程のダリアとのやり取りが、屈辱

感とともにスパイダーマンの心に甦ってきた。

「く、くそう…オレは何をやってるんだ…!!」

怒りと屈辱で心が張り裂けそうになる…。

だが、今となっては全て後の祭りでしかない。

「…そうだ、ひとみは!」

慌てて振り返る。だが、そこに立つひとみには生気がまったく無い。駆け寄るスパイダー

マン。

「…人形…だった..のか...」

 

「ほほほ、どうだい我々のもてなしは気に入ってもらえたかな?」

どこからか嘲笑とともにアマゾネスの声が響いた。

「こんな事してないで姿を現せ!」

辺りを見回しながら叫ぶスパイダーマン。

「あら、そんな事言えるのかい?腰まで振って喜んでたのはどこの誰だったかねぇ…ふふ

ふ」

屈辱にまみれたスパイダーマンの心を踏み躙るかのように言葉で嬲っていくアマゾネス。

「私に会いたいのなら、そこの通路を進むんだね!次のクノイチを倒して、早く私に会い

に来ておくれ、オホホホホ!」

アマゾネスの嘲りの声が響く。

「待ってろ、アマゾネス!」

毒に犯された身体を必死に奮い立たせて通路を進むスパイダーマン。

 

 

 

意識を取り戻したひとみは自分が複数の女性にさらわれた事を思い出し、十字架に架けら

れている自分に激しい恐怖に駆られたが、前面のモニターに映る映像にさらなる驚きを覚

えて、思わず悲鳴を上げてしまった。

画面の中には無様にKOされたスパイダーマンの姿が映っていた…。

「スパイダーマンが、、、そんなぁ!」

彼女の悲鳴に合わせてアマゾネスが振り向いた。

「やっとお目覚めかい」

ひとみはアマゾネスの顔を見て驚きの声を上げる!

「吉田編集長!」

アマゾネスはひとみの契約していた雑誌の編集長として人間社会に紛れ込んでいたのであ

る。

拓也から聞かされてその事実を知っていたひとみではあるが、地味な編集長の姿しか知ら

ぬひとみは、妖艶な悪の女王の姿をいざ目の前にするとやはり、驚きを隠せなかった。

 

「今さら驚かなくてもいいでしょう、フフ、恋人から私の正体は聞いていたんじゃないの

かい?」

妖艶に微笑みながらアマゾネスがひとみに近づく。

「うわ、なんてカッコしてんのよ、オバンのくせに!」

強がってみるも女性であるひとみでも目を奪わずにはおかない身体をアマゾネスはしてい

た。

豊満なバストは戦闘服であるレザーのレオタードを突き破らんばかりに盛り上がり歩くた

びに悩ましく揺れている。

「ホホ、気の強い娘だね、でも、その強気もいつまでもつかしら、頼みのスパイダーマン

があんな様子じゃねぇ?」

意地悪くひとみに問いかける。

 

「くっ!」

返答に窮するひとみを尻目に楽しそうにアマゾネスは見つめていた。

「アマゾネス様、お召し物の準備が整いました」

一人のクノイチが報告に来た。

「じゃぁ、ここで着替えようかねぇ、これから恋人を寝取られる女に私の身体を見てもら

おうか」

(な、何言ってるの、この女!?)

戸惑うひとみを無視するかのように3人のクノイチ達が手際よくアマゾネスの戦闘服を脱

がしていく。

それを見ていたひとみはアマゾネスに思わず見とれてしまった。

Eカップはあろうかというバストは自分は遠くおよばない。ウエストもしっかりとクビレ

てるうえに、うっすらと脂が乗り年増女の特有の色気を醸しだしており、そこから広がっ

ていくヒップの雄大さは女性でさえ息を飲むばかりである。

 

その、妖艶な身体を包む衣装も先程までの戦闘服とは違い、セックスアピールを強調する

ためだけに作られた刺激的なものである。

黒のレオタードは同じだが、素材はレザーの分厚いものではなく、乳頭は形がわかるほど

薄くできているが、完全に透けて見えるでもなく相手を妖しく刺激し、下に向かうほど生

地が厚くなっているのか、妖しいグラデーションでボディラインを際立たせている。

脚はごく薄い色合いの黒のシームレスのストッキングに包まれ、ピンヒールは同じく黒で

コーディネートされていた。

黒尽くめの衣装に白い肌がいっそう映え、白い肌に引かれた濃いアイシャドウと毒々しい

までに赤いルージュとマニキュアが妖しく目に映る。

 

「どうかしら、フフ、これならスパイダーマンも気に入ってくれるかねぇ?」

豊満なバストを強調するかのように下から持ち上げるようにして、流し目で妖しく微笑む

アマゾネス。

女性のひとみですら一瞬恍惚とさせるほどのすさまじい色っぽさである。

「フン、スパイダーマンがあんたなんか相手にする訳ないでしょ!」

しかし、女性のカンが危険なシグナルを発している事を否定できないひとみであった。

(がんばって、スパイダーマン…)

しかし、彼女の祈りは画面の向こうで戦うスパイダーマンには届いていない…。