ロビンマスクに捧げる(2)

 

いきなりのバックブリーカーになんの受身も取ることが出来なかったロビンマスクは

後頭部を打ちつけ、意識が朦朧として大の字にしばらく寝そべっていた。

かろうじて、周囲が見える状況で、ネプチューマンが去っていくのが見える。

(待て・・・まて)

「きゃー、ロビンー」

観客から、黄色い声が沸き起こる。その声に、反応し、ネプチューマンは、ロビンマスクに

振り返った。ロビンマスクは、膝に手をおき、かがみ込みながらもなんとか立ち上がった。

「昔のよしみで、マスク狩りだけは勘弁してやろうと思ったが、

そんなにマスクを剥がされたいのか」

ネプチューマンが、ロビンマスクに突進し、パンチを食らわそうとする。

「私が、立ち上がったのは、この技をお前に試すためだ」

「ロビンスペシャル!」

ネプチューマンの攻撃を寸前で避け、後ろに回りこむと、その巨体を、持ち抱え、

エアスピンし、反動をつけ、思いっきり、高く投げつけた。そして、自分もその投げた反動で

ネプチューマンより高く飛び上がる。

そして、なぜか、高く飛んでいるはずのロビンマスクのほうが落下速度が大きく

真下にいるネプチューマンに並んでしまった。

「ロビンマスクよ、ロビンスペシャルを完成させるためには、私を追い抜き、足を首に

かける必要がある」

「その通りだ」

ネプチューマンは冷静に相手のことを観察しており、技を解析しつつあった。

「そしてこの私を追い抜けるのは、この重い鋼鉄の鎧があるからだ」

「うお、」

ロビンマスクの上半身に着ていた鎧に手をかけると、その鎧を一気に脱がしてしまった。

逞しいロビンマスクの身体があらわになった。

「これで、鎧の重みは、こっちに移った」

ネプチューマンの方が更にスピードを増しロビンマスクの身体全体を追い抜いた。

「うう、うお」

「くらえ、掟破りのロビンスペシャル返しーーー」

ロビンマスクの首に足をかけ、そのまま落下した。

 

「あーと、決まったーーーーー」

アナウンサーの声もむなしく響く中、ネプチューマンが逆立ちのまま立っており

その股にはロビンマスクの顔がガッチリ決まっており、ロビンマスクの必殺技は

無残にも返されてしまった。

次第に腕が力を失い始め、ちょうど、万歳の状態になっていった。

そのまま、後ろに大きな音を立て、倒れ込んだ。

「終わったな、ロビンマスク」

ネプチューマンは、逆立ちを解き、立ち上がると、リング外へ出ようとした。

「ネプチューマン様、あ、あれを」

相棒のビックザ・ブドーがネプチューマンの後ろを指差した。

「ん、あれは!」

観客から、声援が再び沸き起こる。

「いいぞ、ロビンーーー、がんばれー」

「あーーーと、ロビンマスク、再び立ち上がったーーーー」

アナウンサーも興奮状態のままその状況を知らせた。

「無駄な、応援だ、やめたほうがいい」

一人の超人が、そう呟いた。

それを聞いていた、キン肉マンが反論する。

「なに言ってるんだ。現にロビンは立ち上がったじゃないか」

「無駄だ、ロビンマスクの戦闘機能は、必殺技を返された時にすでに失われておる」

「なにーーーーーー」

その言葉を聞いた、観客全員が押し黙ってしまい、風の音だけになった。

全員が固唾をのんで事の成り行きを見守った。

「はっはははっは、さすがは我がライバルだ、立ったまま気絶するとは・・・」

ロビンマスクの前に立ちながら、ネプチューマンは自分の股間を膨らませた。

「あーーーーーと、ロビンマスク立ったまま気絶しているーーーー」

アナウンサーも、そのことに気づき、現状を報告した。

「謹んで、お前のマスクを狩らせて貰うぞ・・・」

ネプチューマンは、腕をまわしながら、リラックスをすると、ビックザ・ブドーを呼んだ。

ブドーがロビンマスクの後ろに回りこむ。

「あーーーーと、クロスボンバーの体勢だーーーー、マスク狩りが始まってしまいます」

アナウンサーがこれから起こる出来事を予想した。

「ロビンマスクってどんな素顔なのかしら・・・」

「きっと、すっごいハンサムよ」

「俺のほうが、ハンサムじゃい」

「見たいわ、みたいわー」

観客も、ロビンマスクの素顔のことで湧きかえっていた。

その観客の声を後ろに感じながら、

「いくぞー」

ビックザ・ブドーが後ろからラリアートを食らわす。

ロビンマスクが宙に浮き、ブドーの腕に、自分の首を預けながら、ネプチューマンに

突進してくる。

「硬度10、ダイヤモンドアーム!」

ネプチューマンも腕が輝き始め、発光した。

「クローーース」ビックザ・ブドーが大声をあげる。

ネプチューマンもラリアートの体勢に持っていき、向かってくるロビンマスクに突進した。

「ボンバーーーーーーーーーー」

二人の腕が重なり、その中心いたロビンマスクの身体が、反動でブランコのように

ネプチューマン側に振らせた。

更にきつくロビンマスクの首を圧迫すると、その衝撃でマスクが剥がされた。

「あーーーーーーーーーーーーーーと、ロビンマスクのマスクがはずれた」

むなしくマスクが回転しながら宙を舞っている。

二人は、クロスボンバーを解くと、ロビンマスクの素顔を凝視した。

ネプチューマンはニヤリと笑い顔を作る。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

観客が一斉に静まり返った。

ロビンマスクは、力なく膝をつき倒れ込もうとしていた。

照明の関係で観客からは黒く覆われていた素顔も、差し込む太陽の光で、左側から

見え始めた。

「ごく・・・・」

全員が唾を飲み込んだ。

太陽光はロビンマスクを全体を照らし出す、逞しい身体に、汗が光る。

そして、素顔を覆っていた影は完全に取り払われた。

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと、これがはじめて見るロビンマスクの素顔だーーーー」

アナウンサーは席から立ち上がり絶叫した。

「きゃーーーーーー、かっこいい、素敵ーーーーー」

「さすが、イギリスの貴公子ね」

その素顔を見た観客から黄色い声が沸きあがった。

ロビンマスクは、気絶しているためか、目はうつろなまま、口をポカーンと開いたままだった。

二重まぶたの鼻筋がスッと通った端正な顔立ちで、レスラー超人の中では一番の美形で

あることは明白だった。

他の超人達は、その素顔をみて、なぜかため息をついていた。

ロビンマスクは、観客に素顔を見せると、そのまま倒れ込もうとした。

「おーーっと、倒れるのはまだ早いぞ・・・ロビンマスク」

ロビンマスクの綺麗な、栗色をした髪の毛を掴み、倒れ込もうとするロビンマスクを支えた。

手はだらりとなり、まだ気を失っていることは明白だった。

 

「お楽しみは、これからだ。お前を快楽の貴公子と呼び名を変えてやるぞ」

ネプチューマンも股間が更に膨れ上がった。

気絶しているロビンマスクは、今の現状を知らない・・・・・・