ロビン(2)

 

「うぅっ」

翌朝、ロビンは激しい頭痛とともに目覚めた。

おそらく、昨日浴びせられたモス少佐の毒粉の影響が残っているのだろう。

軽く手足を動かせてみる。

痛みやしびれはなかったが、両手は後ろ手に縛られており、

足も両足首が縛られているのが分かった。

ロビンは目を開けて、周囲の様子を確認した。

一見すると、どこかの山小屋のようだ。

木製のテーブルを囲んで、何脚かのイスがある。

そこに座っている戦闘員の足が見えた。

3人だ。

他には二段ベッドらしきもの。

そして、様々なガラクタが無造作に置かれている。

どうやら、あまり使われていない小屋らしい。

「ロビンの野郎、目を覚ましたみたいだぜ」

「おぉっ。このガキ、昨日は俺の顔に蹴りを入れやがった。

 ちょっと痛めつけてやるか」

戦闘員の声が聞こえる。

「よせよせ。モス少佐が尋問すると言っていたのを忘れたのか。

 クモ男中尉も留守だし、下手に手を出すと後が怖いぞ」

「ふん。そんなだから、お前は“堅物”と呼ばれるんだよ」

戦闘員の一人が近づいてきた。

「おい、やめろと言ってるじゃないか」

「心配するな。寝ぼけたままで少佐殿の尋問を受けさせるわけにもいかんだろ。

 さぁ、来い。坊主」

制止する戦闘員の言う事を聞かず、ロビンの首根っこを掴むと、

荒々しく床を引きずっていく。

「な、何をする」

朝から酒を飲んでいるのか、臭い息が鼻をついた。

「何をするだと!。朝、起きたら顔を洗うんだよ!」

髪を掴んでロビンを膝立ちの姿勢にさせると、水の入ったバケツの中に

ロビンの顔を押し入れた。

「うぅっ」

突然の事に水を飲んでしまい、バケツの中で苦しむロビン。

やがて、バケツから顔を上げられるが、

「もっときれいに洗った方が良いよな、坊や」

さらに水の中に顔を漬けられる。

「おい、おれにもやらせろよ」

しばらくすると3人目の戦闘員もやって来た。

3人目はロビンの髪を掴んで水の中に顔を漬けるのではなく、

ロビンの後頭部を足蹴にする事で、ロビンへの水攻めを続けた。 

「どうだ。こっちの方がずっと楽だぜ」

得意満面でロビンを足蹴にする。

「ははは。しかし、こうしてみると、ロビンも頼りないものだなぁ」

さっきまで、ロビンをいたぶる事に消極的だった戦闘員まで

されるがままのロビンに安心したのか、もう止めようとはしない。

「おい、前言撤回だ。俺も仲間に入れてくれ」

ついに仲間に加わった。

「おぉ、そうこなくっちゃ。

 今まで散々にやられてきたんだ。

 これまでの恨み辛みを晴らしてやろうぜ」

「あぁ。こいつの顔も十分にきれいになっただろう。

 俺に考えがある。

 ちょっと二人で、こいつの身体を支えていてくれないか」

ロビンを水攻めにしていた二人は、何を始めるのかと怪訝な表情を浮かべたものの、

お手並み拝見とばかりに膝立ちにさせたロビンの両脇を持った。

おもむろに立ち上がった残りの1人は、ロビンの前に置かれたバケツを足で払いのけると、

ロビンの前にかがんで、

「若い奴ってのはな、朝はここが元気になるモンなんだよ」と言いながら

無防備のロビンの股間を握りしめた。

「うわーー」

「ははは。思った通りだ。こいつ、朝勃ちしてやがる」

「やめろー」

叫びながら身体を揺すり、必死の抵抗を試みるロビンだが、

如何せん両手両足の自由を奪われている上に、

両脇を二人の戦闘員に押さえつけられていては逃れようがない。

 

「るっせーなぁ。昨日は夜が遅かったんだ。

 見張りの交代まで、ゆっくり寝かせろよな」

二段ベッドの上段に寝ていた戦闘員が、ロビンの声を聞いて起きあがり、

下に向かって文句を言った。

だが、下で行われている様子を見るや、

「何だ、そういう事か。

 だったら寝てなんかいられねぇ。

 俺も仲間に入れろや」と言いながら、階段を下りてくる。

下段に寝ていた戦闘員も起き出した。

「ヨシ。みんな揃ったところで、正義のヒーローの解剖といこうや」

「ははは。そりゃいい。

 まさか、ロビン坊やもフリチンのまま逃げ出すわけにはいかないだろうな。

 見張りも楽になるってもんだ」

戦闘員の言葉に、ロビンの顔が青ざめる。

何とか戦闘員を振り払おうと、腕に力を入れるロビンだが、

何としても多勢に無勢である。

ロビンは5人がかりでテーブルの上に運ばれ、仰向けに寝かさせてしまう。

「さぁ、覚悟は良いな」

戦闘員の一人がロビンの腰に手を掛けた。

「3・2・1、ゴー!」

掛け声とともに、一気に引き下ろす。

一糸纏わぬロビンの下半身が露わにされた。

「ぎゃははははは」

一斉に5人の戦闘員から嘲笑が浴びせられる。

「ピーンと勃ってるじゃないか」

「それにしても、正義のヒーローにしては小さいんじゃないか」

ロビンのチンポを指で弾いて、屈辱に顔を引きつらせたロビンを

さらにからかう戦闘員。

一方で別の戦闘員は、どこからかナイフを持ってくると、

足首まで引き下ろしたロビンのコスチュームを引き裂き始めた。

「ははは。こうなってしまっては、もうどうしようもないな」

ボロ布と化したコスチュームをロビンに見せる。

続いて、別の戦闘員がナイフを受け取ると、今度は胸の部分だけを切り裂いて、

ロビンの乳首を露わにした。

戦闘員達は、早速ロビンの乳首をつねってくる。

「あっ、あぁー」

「ははは。こいつ、感じてやがるんだ」

「あぁ。俺達にいたぶられてるくせに、

 チンポだけはさっきより勃ってきたぜ」

 

戦闘員に弄ばれ、笑い者にされるロビン。

“バットマン、早く助けに来てくれ”

心の中で叫ぶ。

だが、すぐにその想いをうち消した。

“いや、こんな恥ずかしい姿を見られたくない。

 自分で何とかしなければ”

そして、ロビンは一筋の光明を見いだした。

さっき、戦闘員が足下でナイフを使った時、

ロビンの足首を縛ったロープを傷つけたらしく、

ロープが緩くなっているのに気づいたのだ。

さらに少し足を動かせてみる。

ロープは切れているのかも知れない。

足は自由に動かせるのが分かった。

これで誰かに蹴りつけ、敵が怯んだ隙に一気にカタをつける事も可能だ。

しかし、今の戦闘員達の位置は、全員が腰より上に集まっている。

つまり、足を使っては攻撃できない位置だ。

ロビンはいたぶられる屈辱に耐えながら、チャンスを待った。