野球戦士・真樹(3

 

戦闘員に大の字に押さえつけられ、身動きの取れない真樹を見下ろして、

櫻井が語りかけた。

「これが最後だ。僕の提案を受けて、明日の試合は負けてくれないか。

 タダで負けろとは言っていないんだ。

 悪いようにはしない」

櫻井は、無防備になった真樹の股間に札束をぶつける。

「うっ」

真樹は股間に受けた刺激に顔をゆがめる。

「どうだい。真樹君。

 君がこの金を受け取ってくれれば、君は自由の身だ。

 断れば、少々痛い思いをしてもらう事になる」

「バカを言うな!!

 俺はそんな金は要らない」

 

櫻井の最終提案を拒否する真樹。

その為に痛めつけられる事になるのは、予知能力に頼らずとも分かり切った事だ。

野球戦士でありながら、敵に捕らわれ、いたぶりを受ける事になる。

だが、真樹は今まで自分が求めていたものが、

おぼろげながら見え始めてきたように思った。

 

真樹が櫻井の提案を断った事で、真樹を押さえつけている戦闘員は

心の中でほくそ笑んでいた。

彼らにとって、真樹が櫻井の提案を受けるかどうかは、どうでも良い事だ。

むしろ、野球で負けた腹いせができる分、真樹には断って欲しかったのである。

彼らは口々に真樹を罵倒した。

「けっ。えぇ格好しやがって」

「後悔しても知らんぞ」

「弱っちいくせして、ヒーロー気取りしとるから、こないなるんやろが」

「二度と野球がでけへん身体にしてもたるからな。覚悟せえよ」

それは嫌だと真樹は思った。

野球は続けたい。

そして、野球戦士でもあり続けたい。

「ははは。QL学園の諸君は無粋だねぇ。

 誇り高きエースの真樹君には、エースにふさわしい処刑方法があるだろう」

まるで真樹の心が伝わったかのような櫻井の言葉だ。

出鼻をくじかれた形になった戦闘員は、不満な顔を見せたが、

櫻井の後ろには野球仮面やゾル大佐がいる。

逆らえる状況ではない。

「ほなら、どないしたらえぇんすか?」

戦闘員の一人が櫻井に尋ねた。

「まずはベースランニングだろうな。

 真樹君をたっぷりしごいてやってくれ」

 

櫻井の指示を受け、戦闘員は真樹の両手両足をそれぞれロープで縛る。

戦闘員は二組に分かれ、真樹の手を縛ったロープを1本ずつ持って、

真樹をグランドに引きずり出した。

いつ降り出したのか、外は大雨だ。

或いは、野球戦士。真樹の涙雨かも知れない。

その雨の中、真樹は戦闘員に両手を引かれ、泥まみれのグランドを引きずり回される。

「うわぁぁ」

悲鳴を上げる真樹。

だが、その声は戦闘員を活気づかせるだけでしかない。

戦闘員は、わざわざ水たまりを選んで、真樹を引きずり回した。

お陰で、ダイヤモンドを一周しないうちに、純白だった真樹のユニフォームは泥まみれだ。

だが、一周だけで許されるはずもない。

ホームまで引きずられた真樹は、また一塁ベースに向かって、泥の中を引きずられる。

うつ伏せで引きずられる真樹の股間が地面に擦れた。

あぁぁ・・・。

野球戦士であるこの俺が、戦闘員に縛り上げられて、グランドを引きずり回される。

グランドを引きずられながら、真樹は自分の求めていた物が次第に見えてきたように思えた。

 

何周かした後、今度は足のロープを持たれて真樹はグランドを引きずられる。

今度は仰向けだ。

真樹の背にしたエースナンバーが泥にまみれていく。

エースにふさわしい処刑。

真樹は引きずられながら、櫻井の言葉を思い出した。

エースにふさわしい処刑。

良い言葉だ。

 

やがて、真樹はマウンドまで引きずられる。

泥の中を引きずり回された真樹もフラフラだが、それ以上に戦闘員が参ってしまったのだ。

マウンドの上で、仰向けの大の字になった真樹に、櫻井が歩み寄る。

「少しは後悔したかい、真樹君?」

真樹は答えない。

言葉を探しあぐねたのだ。

「おや?」

代わりに櫻井が、真樹の変化に気づいた。

股間が異様に膨らんでいるのだ。

「君、散々に苛められたというのに、オチンチンだけは元気なんだね。

 どれ、聖峰高校野球部エースのチンポがどんなモノか、拝見といこうか」

櫻井に目配せされ、戦闘員の一人が股間のチャックに手をかける。

「あっ、やめ・・」

真樹は緩慢な動きで身体を起こそうとするが、戦闘員に両手を踏みつけられる。

「あぁ・・」

起きあがれない(起きあがろうとしないと言うべきか)真樹を見て、

戦闘員はチャックを降ろした。

「えぇっ!」

戦闘員が驚きの声を上げる。

「何や?」

「どないしたんや?」

他の戦闘員も集まってくる。

「み、見てみいや」

真樹のチャックを降ろした戦闘員が、真樹の股間を指さした。

何と、いきなり勃起した真樹のチンポが出てきたのだ。

「ははは。こいつ、パンツ穿いてへんのか」

「しかも包茎やで」

「情けないエースやのぅ」

真樹の手を踏みつけていた戦闘員まで、真樹の手を離れて引っ張り出された

真樹のチンポを笑いものにしている。

野球戦士であり、エースピッチャーでありながら、

敵に捕らわれ、痛めつけられたあげく、チンポを見られて笑いものにされる真樹。

そうだ。これが俺の求めていた物なんだ。