野球戦士・真樹(13)

 

「やめろ、放せ!

 分からないのか、監督は野球仮面なんだ!!」

必死に叫ぶ真樹を、両腕をつかんだ野球部員がマウンドまで引きずってくる。

「往生際が悪いぞ、真樹」

「大人しく裁判を受けろ!」

暴れる真樹を押さえつけ、マウンドの上に正座させた。

「みんな、聞いてくれ!!

 みんなは騙されているんだ!!」

なおも叫び続ける真樹に、監督に化けた野球仮面が近づいてくる。

「ははは。大人しくした方が良いな」

「何だと!!」

真樹が監督をにらみつける。

「私が野球仮面かどうかは、この際問題ではないだろ。

 問題は君が試合中に何をしたか、

 いや、それを観衆がどう見ていたかだよ。

 他の部員の身にもなってみたまえ。

 君はこの観衆を敵に回しても、自分の味方をしてくれと言うのかね」

真樹は返事に窮した。

確かに観衆は真樹の処刑を望んでいる。

もし、真樹の味方をしようものなら、同罪として扱われかねない状態だ。

 

だが・・。

ふと、真樹は不思議に思った。

何故、観客はここまで興奮状態なんだろう。

高校野球の敗戦投手を縛り上げ、裁判にかけて公開処刑しようなどとは

普通に考えることではない。

「ははは。この場の雰囲気は君が作っているんだよ」

真樹の意を察してか、監督が言葉を挟む。

「昨日、ゾル大佐が言っていただろ。

 君は心の奥では、いたぶられたいと思っているんだ。

 そう思う気持ちが、観客達を動かしているんだよ」

「そ、そんな・・」

「ははは。事実だ。

 だから、こうして公開裁判にかけられるというのは、君の自業自得でもあるのだ。

 分かったら、大人しく裁判を受けるんだね」

監督はそれだけ言うとマウンドを降りていった。

 

いよいよ真樹の公開裁判が始まった。

真樹の声が球場中に聞こえるよう、真樹のユニフォームにマイクが付けられる。

「ではこれから、松浦真樹の公開裁判を始めます」

ホームプレート上に机とイスがセットされている。

どうやら、裁判長役を演じるのは、明峰高校の生徒会長だ。

「罪人は名前と学校を述べなさい」

白い手で、神経質そうにメタルフレームのメガネを触りながら、真樹に問いかけた。

被告人ではなく、罪人なのか。

「松浦真樹、明峰高校野球部」

真樹が答えると、生徒会長は鼻で笑った。

「フン、君と同じ高校である事を恥ずかしく思うよ」

不良に絡まれているところを何度か真樹に助けられた事があったが、

そんな事は態度にも出さない。

「ではまず、7回の攻防だ。

 松浦真樹、お前は7回の打席で三振させられた。

 その直後の7回裏、お前は櫻井投手に死球を投げた。

 間違いないな」

「しかし、それは関係のない話で、俺は三振させられたからと言って・・」

「やかましい!」

真樹の背後にいた野球部員が、いきなり真樹の背中を蹴りつけた。

「聞かれたことにだけ、答えていれば良いんだよ」 

うつ伏せに倒れる真樹の背中を踏みつける。

背中を足蹴にされ、背中のエースナンバーが汚されていった。

「あぁ、わ、分かった。事実はその通りだ」

「ヨシ。では次に9回裏の件だ。

 満塁でありながら、お前は櫻井選手を敬遠したな」

「そうだ。点差は2点だったし、チームの勝利を最優先して考えれば、

 敬遠した方が・・」

「何だ、そりゃ。

 敬遠が俺たちの為でもあったような言い方じゃねぇか」

今度は部員がうつ伏せになった真樹の腹に蹴りを入れた。

「うぅっ」

さらに、バットで真樹の尻を叩きつける。

「うわぁっ」

「テメー、俺たちの為だと!」

「人を巻き添えにするつもりか!!」

さらに何発も叩きつけられる真樹。 

それは、公開裁判と言うよりは、公開尋問、或いは公開拷問であった。

だが、裁判長役の生徒会長は止めようともしない。

「では改めて聞くが、敬遠したのはチームの為だったのか」

「うぅっ・・。い、いや・・、打たれるのが怖かったんだ」

真樹の目から涙が流れる。

「この腰抜けめ、それでもエースか!」

今度は部員に後頭部を踏みつけられ、顔を地面に押しつけられる。

真樹の涙が茶色くにじんだ。

 

「さて、次の質問だが、お前はズボンの下に何を穿いているんだ?」

「えっ?」

突然の質問に、真樹は戸惑った。

「何を穿いてるかって聞かれてるんだよ!」

「面倒だ、脱がせちまえ!」

部員達が上半身を縛られて、身動きのできない真樹を引き起こす。

「あぁっ、やめろ。何も穿いてないんだ」

「えぇっ!」

部員達が動きを止める。

「どうして何も穿いてないんだ?」

「そ、それは、直接ユニフォームに触れている方が、力が出るから・・」

「つまり、一種のドーピングだな」

「えっ?!」

そんなバカなと言いたい真樹だが、何を言っても通りそうにない。

「ヨシ。では、本当に何も穿いていないか、確かめてくれ」

生徒会長に言われ、部員達が真樹のズボンのチャックを降ろす。

「あぁ、やめてくれー」

真樹の言葉は当然のように無視され、すぐに真樹のチンポが引っ張り出された。

高校生にしては立派な大きさだが、すぽっと皮を被った包茎チンポだ。

「よろしい。それは証拠品だから、これを付けておくように」

真樹のチンポに、証拠品を示すタグが結びつけられる。

 

「では、これで審理は終了だ。これから評決に入る。

 この球場に集まった人の評決で、お前の有罪・無罪が決定するからそのつもりで」

真樹はうなだれたまま、生徒会長の言葉を聞いていた。

球場では、評決の投票用紙が配られている。

真樹はタグを付けられた包茎チンポを隠すこともできず、

事の成り行きを見守るしかなかった。

 

評決へのお誘い

皆さんも評決に参加しませんか?

下のボタンをクリックして、有罪・無罪を投票してください。