ウルトラマンレオ(4)

 

 ブラック指令の手で入念に摺り込まれたことによって、粘液はレオの股間により深く

浸透し、時が経つにつれてその効力を上げ、ウルトラ戦士の肉体を確実に追い詰めていく。

 最後の気力を振り絞り、意識と感覚とを切り離し、媚薬のような粘液の効果を

消し去ろうとするレオだが、全身を氷付けにされ、股間以外の感覚を失っている今、

意識は嫌が応にも股間へと集中してしまう。

 もはやレオにとって股間のみが自分の肉体の全てであり、股間をジワジワと責め立てる

快楽のみが感覚の全てとなっていた。

 自分の意思では抑えられぬ甘美な疼きが、獲物を捕らえたイソギンチャクの触手のように、

誇り高き光の戦士の精神に絡みつき、ゆっくりと着実に快楽の蟻地獄へと

引きずり込んでいくのだった。

 

「…うっ……くっふぅぅ……あっあぁぁ〜……」

 レオの股間を、毒粘液から発せられる淫らな電流が駆け巡る度に、

身体処理室に甘く切なげな喘ぎ声が響く。

「ふふふ、どうしたのだレオよ?

 触ってもいないのにお前の股間はピクピクと動いておるぞ?

 まるで『早く触って下さい』とおねだりしているようにな。

 口では偉そうなことをほざいていたが、体は正直……と言ったところかな?

 うわっははははっ〜」 レオの下腹部に密着する寸前まで顔を近づけ、

まじまじと股間を観察するブラック指令から、再び屈辱的な台詞と嘲笑があがる。

「くぅっ、くっそぉ〜……あっ!…くっぅうぅう〜……」

 憎き敵の親玉に侮蔑的な言葉を浴びせられ、怒りの雄叫びをあげようとするレオだが、

その叫びもすぐに淫らな喘ぎへと変わる。

 突き刺さるような視線で、完全勃起した股間を観察される羞恥と屈辱とが、

レオの意識をより一層自分の股間へと集中させることになり、

結果としてウルトラ戦士の精神は快楽の奔流の直撃を受けてしまうのだ。

 粘液のもたらす快楽のどす黒い誘惑が、高潔な光の戦士の精神に一気に揺さぶりをかけ、

今にも弾け出てきそうな程に膨張した、レオの肉棒の先端部分は更に激しく

ピクピクと脈打ち始める。

 

「ほ〜ら!触ってやろうかぁ?」

 ブラック指令の手が、再び股間へと伸ばされる。

 だが、伸ばされた手は勃起に触れる直前で、ピタリと止められた。

「ひぃ…あっ!?……はぁうぅう………」

 刺激が来る、と身構えたレオは、再び股間へと意識を集中してしまい、

更に快楽の甘い罠に囚われていく。

 おあずけを喰らったレオの勃起が、寸前で止められたブラック指令の手を誘うように、

ビクンと大きく揺れる。

(あぁ〜、あともう少しの刺激でイケるのに………

 むっ!?俺はいったい何を考えて……

 俺はここでエネルギーを放出するわけには……)

 もがけばもがく程に、より深みへとはまっていく快楽の底無し沼……

 誇り高き獅子の心に突き刺さった快楽の楔は、その頑強な精神を完全に

打ち砕いてしまう程に、深く打ち込まれてしまったのだった。

 しかし、粘液の刺激は着実にレオの肉体を追い上げていくものの、

終着点へ導く程の強さは無い。

 氷と宇宙ロープの呪縛によって、体の自由を奪われているレオは、

このヘビの生殺しのような状態を、ただ耐えることしか出来ない。

 自分の力ではどうすることも出来ないもどかしさに、精神を更に追い詰められ、

遂にレオは、快楽と、そしてその先にある最終にして至高の快楽のことしか

考えることが出来なくなる。

 

(あぁ……もう駄目だ……イキたい…イカせてくれぇ………

 も、もう終わりにしてくれぇ)

 遂に快楽の誘惑に屈服したウルトラマンレオ。

 仮にもしも今、この瞬間にレオが体の自由を取り戻したとしたら、

無防備に自分の股間を覗きこむブラック指令に対し、

残された渾身の力を込めた必殺の蹴りを叩きこむであろうか?……

否!、すぐにも自分の手で自らの股間を扱きあげ、残されたエネルギーを全て

噴出して無様に息絶えてしまうであろう。

 光の戦士の高貴な精神ですら、『男』としての始原の欲求には

逆らうことはできないのだ。