不等価交換

第5話 (3日目)

 200人以上いる人質・・・解放できたのはたったの1人。

 しかし、体のあちこちには敵の用意した装着物が我が物顔でsupermanを攻め立てる。

 自分は正義のヒーローなのだからと気を奮い立たせ今日も敵のアジトへと向かう。


クラーク:い、今のうちに・・・・


 昨日はフィードにびしょ濡れの状態で遭遇し怪訝な顔をされてしまった・・・。

 家を出る時間は自分では決められないため疲労困憊の体を奮い立たせ

敵のアジトへと走るクラーク。

 正義のヒーローが監禁場所を出て次の監禁場所へと急ぐ・・・

なんともおかしな光景である。


クラーク:・・・はぁ・・・・・・・・


 ワイシャツの中に隠しているシミだらけの惨めなコスチュームに

ため息をつかずにはいられない。

 みんなに羨望のまなざしで見られているはずのsupermanが

今は人目を気にして活動しているのだから。


(たす・・・て・・・・・・たすけ・・・・・・・)


クラーク:・・?!・・今のは???

マケット:クラーク君、すまないがこの会社の近くでトラブルがあったそうなんだ。

出動してもらえるかな?

クラーク:そこを開けてくれさえすれば人助けは私の仕事だ!


 誰もいないことをいいことにその場でワイシャツとスラックスを脱ぎ捨て、

マケットの開錠した扉から飛び立つsuperman。

 会社の近くというだけあってものの数秒で到着することが出来た。

 現場には倒壊寸前の建物と取り残された人が数名。


superman:今助けるぞ!

市民:supermanだ!助かったぞ!

市民:ありがとう、superman!


 ぐらぐらと揺れる建物の支えになるために体を滑り込ませ

膝を立てて瓦礫をささえ避難経路を保持する。

 その隙に瓦礫とsupermanの体で作られたアーチをくぐり抜け出していくのだが・・・。


市民:ありが・・・とう・・superman

市民:・・うっ・・・ありがとう・・・

市民:(どうしてこんなに汚れて・・・?!・・・・)


 息を詰まらせながらもお礼を言うものや、堪えきれずに嫌悪感が顔に出るもの。

 さらには全身に出来たシミをまじまじと見つめ、

最後に股間のシミで顔を赤らめ会釈だけをするものまで出る始末だった。


superman:(みんな・・・どうして・・・?!・・・しまった今の私は・・・)


ガシャァァァァン


市民:superman!大丈夫?

市民:ど、どうしたんだろう・・・・

市民:体・・・調子が悪いのかしら・・・・


 気が動転したせいで支えていた瓦礫が崩れビルの下敷きになってしまうsuperman。

 その土煙に紛れて一直線に空中に舞い上がりそのまま

グリーンフィールドへと戻るのだった。

 普段ならばありえないヒーローの状態に助けてもらった人々が顔を見合わせていた。 


 市民からの反応ショックを受け、仕事場に戻るとそこにはマケットの姿があった。


マケット:ご苦労様、ありがとう、市民が無事だったのは君のおかげだ。

superman:・・・当たり前のことをしたまでだ・・・・

マケット:まだ、コアタイムではないが今日は特別にもう商談にしようじゃないか

superman:・・・・?・・・・

マケット:さぁ、誰も見ていないんだ、着いてきたまえ・・・・


 労いの言葉をかけるマケットに続き、クラークとしての服を手に持ち移動する。


superman:新しい商談項目は・・

マケット:忘れたのかい?まずは1つ目をクリアしないとオープンしないんだよ?

superman:そ、そうだったな・・・


 用意された怪しい液体を飲み干し空のグラスをマケットに渡すとスクリーンに変化が現れた。

 昨日、このドリンクを飲まされてから股間に違和感を抱いており、

その効果が薄らいできたと思ったところにまたこのドリンクが補充されてしまった。

 人質を賭けたこのお遊びのような行動で自分の体が支配されつつあることなど

全く気がつくことなど出来はしなかった・・・。

 うずく股間から必死に意識を外し、スクリーンに目を向ける。


マケット:新しい商談項目は・・・全身パック!だ

superman:・・・?・・・・


ウィィィィィィィィン

キュパッ!


マケット:さ、このカプセルの中にコスチュームを脱いで入ってくれたまえよ

superman:わ、わかった・・・これで10人が新たに解放されるのだな?

マケット:そうだよ、ささ、早く!


 言われるがままブーツを、ビキニを、スーツを外し、メタリックのビキニ1枚の姿でカプセルに入る。

 カプセル内部は狭く、両手を横に伸ばすことが出来ないような空間だった。


マケット:では、始めるよ

superman:一体・・何が・・・?!・・・な、何だこれ・・・・

マケット:パックの薬剤さ


 天井全体に均一に開けられた穴から粘度の高い白い液体が降り注ぎ始めたのだ。

 その粘り気の凄さは一目瞭然で肩に着地した液体は薄く広がるものの

垂れ落ちる様子はなかった。

 次々にsupermanの体に降り注ぐその白い液体は見る見るうちに

全身を半透明な液体で包み込んでしまった。

 どこかで嗅ぎ覚えのあるその液体に体を包まれ、妙な気分になるも払いのけることは

商談に反するために出来ず、ぐっとこらえて敵の前で惨めな姿を晒していく。

 全身を半透明の白い液体に包まれ、蝋細工にでもされたような状態になったころ、

マケットが囁きかけてきた。


マケット:全身にいきわたったかな?

superman:ぷはっ・・・あ、あぁ・・・・

マケット:じゃあ、次は浸透するフェイズに移るね

superman:な、何・・・何だ・・・お、おいっ・・・・

マケット:落ち着いて、肌になじませる間だけだからさ

superman:や、やめ・・んんっ・・・・んっ・・・・・・・


 液体の散布が終わるとカプセルの内壁が脱皮でもしたように1枚剥がれ、

supermanに迫ってきたのだ。

 硬質なカプセルの壁とは違い、薄いプラスチックフィルムのような材質のそれは

supermanの体に触れると起伏を残しヒーローの体を密閉していく。
 

プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・キュパッ

ゴロン・・・

 フィルムに包まれ終わると脱気が行われ文字通り真空パックされてしまったのだ。

 物を扱うようにカプセルが開くと身動きが出来なくなったsupermanが床に転がり出てきた。


superman:(全く動けない・・これでは・・嬲り殺しではないか・・・・)

マケット:いい体してるよねぇ・・・マッサージしてあげるよ


 無抵抗の獲物に歩み寄り脚を嫌らしい手つきで揉み解し、

脛から太ももへと手を滑らせ股間にも魔の手を伸ばした。

 怪しい液体を服用した影響で勃起を余儀なくされた股間をネチネチと刺激していくマケット・・・

その目は完全に捕食者のそれだった。


superman:(や、やめ・・・ろっ・・・・んぐっ・・・くそっ・・・・)

マケット:先走りでパックが薄くなっちゃうね・・はははは・・・・


 滲み出した先走りを見て嘲笑い、さらに手を上半身に伸ばす。

 胸を撫で回し、両の腕を丁寧に丁寧に揉み解すと2枚の盾の様な胸板に腰を下ろし

自らの股間をsupermanの首のあたりに押し付けながら見る影もなく汚された端正な顔を

愛おしそうに撫でていく。

 この拷問とも呼べる行為を行っている者とは思えないほど、

優しく優しくsupermanの顔を、体を愛撫していく。

 ギリシャ彫刻のように白く時間を止められた体を満足するまで撫で回し、

好きなように扱い、その欲をヒーローの体に屈辱として刻み込んでいく。

 恥辱の限りを尽くし、満足したのかデバイスを操作するとsupermanを

封印していたフィルムが開きようやく解放されたのだった。

 supermanのマントで顔や髪の毛から白い液体を取り除きながら耳元でささやく。


superman:はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・

マケット:パック完了・・・じゃあ、合格の証を・・・

superman:・・?!・・んんっ・・・な、何だ・・・これは・・・


 股間を押さえてうずくまるsupermanに平然とマケットは答えた。

マケット:何?って・・今回の合格の証だよ?

superman:んんっ・・ぐっ・・・くそっ・・・・

 じんわりと股間にシミを作りながらも耐えることしかできないヒーロー。

 商談が終り、再びあの監禁部屋へと帰るしかなかった・・・。

 乱暴に白い液体をふき取られた顔でスーツに着替え真紅の部屋へと向かうのだった。