不等価交換

第15話 (6日目)

 バットマンを助けるための大事な1戦目。

 勝ち越しをするためには勝利をしておきたかった・・・・。

 手も足も出ず、さらには観客に痴態を振りまき負けてしまった。

 用意された3戦の残る2戦は連勝が条件になってしまったのだが、

装着されたフェイスハガーの刺激に満足に歩くことも出来ず、

勝利ははるか彼方に遠のいてしまったような気さえしてしまっていた。
 
 マケットの用意したインターバルの間、懸命に体におしよせる刺激と戦い、

どうにか歩けるようにまで回復することができた。

 そのおかげで、インターバルの間中、観客に指差され、

笑われ続けた恥辱から一時とはいえ、逃げることが出来た。

 ステージ脇に逃げ込むsuperman。

 自らの体を眺め、絶望の色を濃くしてしまう。

 異様なまでに勃起した竿にはフェイスハガーが巻きついているのだ。

さらに、鍛え上げられた2枚の盾のような胸板にも異様なシルエットが浮かび、

その3点が本人の意に介さず脈動、脳内を迎えた倦怠感で包んでいく。

 両手の指先までしっかりと包まれた漆黒のスーツはエイリアンの皮膚から作られたものであり、

正義のヒーローが纏うものではなかった。

 どれをとってみても歴戦の勇者の姿はどこにも残っていないのであった。


マケット:さぁぁぁぁ、運命の2戦目!

      これにsupermanが負ければバットマンも相棒のロビンも

      その短い人生に幕が下りてしまいます!

      supermanは見事、勝利なるのか!

superman:絶対に・・・負けられない!

マケット:大事な1戦目を卑猥な行動のために費やしたヒーロー・・・supermanの入場です!

superman:・・・ぐっ・・・・・

マケット:続いて、2戦目の対戦相手はこちら!


 反対側の入り口から現れたのは巨大な鋼鉄の処刑人だった。

 ずんぐりとした見た目からはどのような戦い方をするのか想像もつかないが、

その体の大きさはエイリアンマザーと同等かそれ以上だった。


マケット:っと、その前に、先ほど戦いに負けたsupermanにお知らせがあります!

superman:・・・・?・・・・

マケット:バットマンの様子をご覧ください!

superman:・・・?!・・・こ、これは・・・


 モニターに映し出されたのは閉じ込められたガス室に無数のフェイスハガーが放たれ、

バットマンを襲っているのだ。

 股間や両腕、首に顔面など、いたるところにまとわりつき、神経毒針を差込んでいた。


superman:ど、どういうことだ!

マケット:大丈夫、死にはしません。

      しかし、あなたが負けたことで彼にも苦しんでもらっているのです。

      あなたが負けなければよかっただけの話ですよ?

superman:・・・・・

マケット:ずいぶんと高くつきましたね、その淫乱な腰振りが・・ふははははははは


 悔しさに拳を握り締めるも、その拳の横では絶えず股間が脈動し、

先走りがトロトロと流れている。


マケット:それでは、2戦目、はじめっ!

 絶対に負けられない!という決意から正面の敵を見据えるsuperman。

 先走りを流しながら走り出し先制攻撃を加える!

ズダンっ!


superman:な、何っ?!

マケット:おっと、これはすごい!

      対戦相手が4つに分離しsupermanの周りを回りながら様子を伺っている

superman:く、くそっ・・ど、どこから攻撃すれば・・・

シャァァァァァガシャン!

シャアァァァァガシャン!

 周囲を飛んでいた分離体のうちの2つから黒い鉄球が飛び

supermanの右手と左足に襲い掛かった。

 異なる場所からの攻撃、他の分離体の陽動が重なり交わすことが出来なかった。

 吹き飛ばされる!そう思った瞬間、その鉄球は予想とは違う現象を見せた。


superman:し、しまった!

 右手首と左足首に命中した鉄球はエイリアンの皮膚のように

ズブズブと獲物の体を内部に封じ込めたのだ。

 そのおかげで右手首から先、左足首から先が鉄球の内部に埋胞されてしまった。

ウィィィィィィン・・・ガシャン!ガシャン!

グゥゥゥゥゥン!ズォォォォォォォォ!

 4つの分離体はsupermanの背後に集合し再び1つに合体したのだ。

 最初に見せた姿とは異なり大きく広がった体でsupermanをX字に広げ空中に拘束して見せた。


superman:は、早く、逃げなくては・・・?!・・・・

 片腕、片足を拘束されたため、バランスがうまくとれず思うように動けず

拘束を破ることが出来ないでいた。

 負けるわけにはいかない・・・この焦りも手伝い脱出はおろか鉄球にも、

それをつなぐ鎖にも傷1つつけることが出来ないまま時間だけが過ぎていた。