緊縛(2)
ビルの爆破予告を受けたスーパーマンは、
犯人であるレックス・ルーサーの本拠地へと誘き出された。
そこで発見した爆破装置が隠されている筈の鉛の箱には、
装置の代わりに緑色の光を放つ鉱石が納められていた。
「こ、これは・・・ ク・リプトナイ・・ト・・・」
スーパーマンの澄んだ青い瞳に、驚愕と恐怖の色が浮かんだ。
鉛の箱はレックスの罠だったのだ。
箱の中で光る鉱石が、それを見つめるスーパーマンの顔を、
青いコスチュームが包む隆起した肉体を、緑色に照らし始めた。
クリプトン星人であるスーパーマンは、
生まれた星の欠片であるクリプトナイトの放射線に晒されると、
あらゆるスーパーパワーを失ってしまうのだった。
クリプトナイトは、スーパーマンからパワーを奪い、
普通の人間以下にしてしまうだけではなく、
肉体に影響を及ぼし、苦痛を与えながら死に至らしめる作用を持っていた。
ヒーローの表情が一瞬で強ばり、顔からは血の気が引き、
力が漲っていた逞しい肉体からは力が失われ始めた。
「く、ぁ・・ぁぁ・・・・」
緑のクリプトナイトの光に照らされた部分から、
苦痛を伴った痺れがジワジワとスーパーマンの全身へと広がっていく。
(あ、あぁ・・・・
ち、力が・・ ぬ、抜ける・・・)
苦しみ喘ぎながらも、奪われていくパワーを必死で繋げ止めようと、
歯を食いしばり全身に力を込めようとするが、それも叶わない。
青いコスチュームが包む大きく隆起した筋肉が力を奪われ、
細に震えながらみるみる勢いを失っていく。
箱を持つ腕には、はち切れんばかりに弓形に盛り上がる上腕二頭筋、
鋭角に膨らんだ上腕三頭筋、肩には大きく隆起した三角筋が浮かんでいたが、
緑の光線の影響で力を失い、普通の人間には全く問題にならない重さの箱すら、
持ち上げているだけで精一杯だった。
(あ・頭が 割れるように・痛・い・・・
かっ 体が・・・し、痺れる・・)
全身を悪寒の如き痺れと疼痛に襲われたスーパーマン。
背中から肩にかけて盛り上がる僧坊筋、胸郭の前部で隆起した巨大ともいえる大胸筋、
ボコボコに割れた腹直筋など、全身筋肉の塊ともいえる肉体を支える脚は、
膝を中心にその体重に耐えるためにガクガクと震えていた。
全身に広がる麻痺により足がふらつき、
とうとう脱力のあまり手に持った鉛の箱を落としてしまう。
ガチャンッ
鉛の箱はスーパーマンの手から滑り落ち、大きな音を立てて床にぶつかった。
落ちたショックで蓋が開き、
中から鉛の鎖に繋がった緑色に煌めくクリプトナイトが床の上に転がり出た。
鉛で出来た鎖の先端に、残酷な光を放つ緑色の鉱石が輝いている。
「うぁあ・・あぁ・ぁ・・・ぁ・・・」
立ちすくむスーパーマンを、床に落ちたクリプトナイトが、
下から鮮やかな緑の光線で照らしていた。
逞しく隆起した大腿四頭筋の浮かんだ脚の付け根にある大きく盛り上がる股間が、
下方からの光を受けて一段と巨大に膨らんでいるように見える。
「はぁっ はぁっ はぁっ」
力を奪われたスーパーマンはヨロヨロと二三歩後退るが、
立っていることができずに苦痛に喘ぎながら膝を着き、両手も床に着いてしまう。
そして、ついにクリプトナイトの横にかがみ込んでしまった。
(こ、このままでは・・・)
クリプトナイトは緑の光線をスーパーマンへ容赦なく浴びせ続けている。
全身に死の放射線を受けたスーパーマンの力強い筋肉が隆起する四肢からは、
信じられない程の勢いでパワーが失われていた。
脚を曲げ屈んだ姿勢でも体重を支えきれず、
両手を床について辛うじて体が崩れ落ちるのを防いでいる状態だった。
「だから警告してやったのに! 愚かな奴だ。
ナイジェル、グレッチェン、
スーパーマンをもてなしてやりたまえ」
葉巻をくわえながらニヤニヤと笑うレックスに促され、
名前を呼ばれた二人の美女が進み出た。
黒髪のナイジェルは、胸が大きく開いた黒いレザーのタイトなドレス姿で、
白く豊かに膨らむ胸を僅かに隠すだけの革製の生地が歩くたびに揺れ、
下半身正面に入った長いスリットが、
黒いシルクのパンティーをドレスの隙間からチラチラと覗かせた。
金髪のグレッチェンは、見事な曲線の女性的なプロポーションを見せつけるような
赤い艶々のエナメルのショートのボンデージスカートで、
腰をくねらせながら歩くたびに光沢のあるドレスの表面が幾つもの光を映して
艶めかしく輝いた。
二人の女は、床に倒れ伏せるスーパーマンを前後から挟むように立ち、
力無く横たわる鋼鉄の男を見ながら笑みを浮かべている。
正義の超人は、床に転がったクリプトナイトの影響で
上腕二頭筋が浮かぶ太い腕からも完全に力が失われ、
俯せに倒れて浅い呼吸を続けるだけだった。
「くっ は、はぁっ」
(は、早く・・この光から・・遠ざからなくては・・・)
震える手足を支えにして立ち上がろうとするスーパーマンだったが、
既に全身からパワーが失われており、
体重を支えられずに痺れる四肢で這い蹲る事しかできない。
緑色の光線から這って逃れようとするスーパーマンをナイジェルが嘲笑った。
「あら、何処へ行くのかしら? スーパーマン」
黒髪のナイジェルが、両手と両膝を着いた姿勢の鋼鉄の男の後方から呼びかけた。
腰に手を当て、無様な格好のヒーローを見下ろしている。
四つん這いになり、太く逞しい二本の青い腿の間から
赤いコスチュームが包む股間の膨らみを認めた黒髪の女は、
磨き上げられた黒い革のブーツのつま先で、スーパーマンの股間を蹴り上げた。
「ううあっ!!!」
スーパーマンは赤いブリーフの下に納められた陰嚢を蹴られ、
二つの睾丸に加えられた強烈な衝撃が、
これまで正義の超人が感じたことのない痛みとなって脳天へと突き抜けた。
「・・・!!!」
猛烈な疼痛に襲われたヒーローは、
あまりの痛みに言葉を発することも出来ず床に突っ伏し、
腰を引いたまま、逞しい肉体を「く」の字に曲げて苦痛に耐えるしかなかった。
(く・ぁ・・ぁ・・・)
両手で赤い股間を握り、床に横たわりながら苦痛に悶えるスーパーマンは、
痛みを堪える以外に何も考えることが出来ない。
「ホホホホッ 蹴りが相当効いたようね?」
「鋼鉄の男スーパーマンもたいしたこと無いのね」
苦痛を堪え、上腕二頭筋・三頭筋が浮かぶ力強い両腕で股間を庇うスーパーマンを
二人の女が屈辱的な言葉で嘲笑った。