第3話
とうとう人間界に侵入し、デビルマン=不動明に接触したムゴイ・・・。
ミキの目の前にいるため、ろくな反撃も出来ず、ムゴイの計画は滑りよくスタートしてしまった。
ムゴイの一撃が相当ひびき、ミキの肩を借りてようやく家に帰り着いた明だった。
いつもの学校帰りの道で出会った不気味な男の話を夕食後のリビングで話す明とミキ。
不動明:にしても、あいつ・・俺の名前を知っていたが、なんだったんだ?
ミキ:本当に不気味な人だったわね・・・
どうして・・・・・・・・・・・・・・
不動明:・・・・?・・・なんだ?
ミキ:・・・・・・・・
不動明:おいっ!ミキ?どうしちまったんだよ?・・・?!・・・・
おかしくなったのがミキだけではなく、周りの全ての生き物が停止していることに気が付いた。
水槽の中の魚も、タレちゃんも、ミキ同様に動きが完全に止まっているのだ。
普通の人間ならば慌てふためくところだが、妖獣の仕業に違いないと
咄嗟に理解し辺りの気配を探る明。
その様子を見ていたのか、どこからともなく昼間の謎の人物の声が響き始める。
ムゴイ:気が付いたかね?デビルマン
不動明:お、お前は・・・さっきの!
ムゴイ:あぁ、私は知将軍ムゴイ。最初で最後の挨拶になるかな
不動明:それはどういうことだ!
ムゴイ:どういう?君の最期の時間がきたってことだよ・・・
不動明:待ちやがれ・・・!デッビィィィィィィィィィルッ!!!
意味深な言葉を残し時間が止まった牧村宅から消えるムゴイ。
それを追うためにデビルマンに変身する明。
途中で遮られたこの会話がミキとの最期の会話になるとは思ってもいなかった。
この時すでにデビルマンは敵の手中に完全におさめられてしまっていたのだ・・・・
ムゴイの完全な作戦の中に・・・・。
デビルマン:・・・?!くっ・・・・(さっきのダメージが・・・)
変身した直後、デビルマンは肩膝を突き、右手で股間を押さえてしまった。
帰宅途中にムゴイから受けた股間への一撃が変身後の体へと影響を及ぼしていたのだ。
不動明の体で受けたダメージは変身し巨大化するデビルマンの体に何倍にもなって影響を与える。
この時の股間に残ったダメージも増幅されてデビルマンを苦しめていた・・・
ムゴイの狙い通りに・・・。
ムゴイ:どうした?デビルマン。最愛の人を思って興奮でもしたか?
デビルマン:だ、誰が!覚悟しろ!デビルチョォォォップ!
ムゴイ:・・・ふん、かわりばえのない・・・
デビルマン:・・・な、何っ!
ムゴイの姿は他のデーモン一族とは異なり、人間と見分けのつかない姿をしていた。
全身を黒いウェットスーツの様なもので覆われており、黒いマントをなびかせ、
目の部分だけを覆い隠すマスク、黒い先のとがったブーツ、
それに相反してアイマスク以外の顔や黒いスーツに覆われていない手は
血の気がないように白かった。
体を包む黒いスーツは首を登り、顔の側面を包み込んでいた。
戦闘服なのだろう・・・。
不気味という言葉を具現化したような、そんな風貌だった。
適度な筋肉が黒いピッタリとしたスーツに浮き出るシルエットから伺えるが、
デビルマンを凌駕するほどの筋肉質ということもなかった。
肉弾戦で有利であると油断したデビルマンの放つ自慢のチョップは容易く受け流され、
反撃を甘んじて受ける羽目になった。
ムゴイ:君はわかりやすくて、助かるよ
デビルマン:ちくしょぉ・・・?!・・・ぐっ・・・・
チョップを受け流し、防御姿勢のとれていないデビルマンの青黒いビキニ目掛けて
黒光りするブーツが襲い掛かった。
とがった先端部分がビキニを蹴り上げ、デビルマンを後退させる。
ムゴイが放つ蹴りの勢いをころすことも出来ずに再び無防備だった
股間を襲われたデビルマンは溜まらず後退し、崩れ落ち、両手で必死に股間を押さえ込んでしまう。
デビルマン:・・・ぐっ・・・
ムゴイ:どうしたんだね?そんなに縮こまって・・・もしや、そこが君の弱点なのかね?
デビルマン:・・・そ、そんなわけあるか!この俺に弱点なんかあるもんか!
ムゴイ:ほぉ・・・それは面白い・・・・
ムゴイの挑発に震える足に無理を強いて立ち上がるデビルマン。
しかし、ダメージは回復するどころか蓄積し、痛みに意識が集中してしまっているのは事実だった。
デビルマンだけの弱点は確かにない・・・
しかし、誰しもが持つ弱点が今攻められ続け、ダメージが蓄積し確実に
追い詰められているのは否定できない事実だった。