
(4)
Aが地球を守っていた時、罠にはめられ、ウルトラ兄弟が全滅した。
地球の夕日に5兄弟の哀れなブロンズ像が晒された。
ここに今まさに、その悲劇を再現しようとしていた。
しかし、目の前にいる宿敵は光の国の戦士を倒すことだけでは満足してはいなかった。
過去にブロンズで包まれた時、ウルトラの父が助けてくれたことで九死に一生を得たAだったが、
今回はすでに手遅れ、体が元に戻る可能性を絶たれてしまった・・・・。
ヒッポリト星人:私は用心深くてね・・・・・
A:・・・・・・・・
ヒッポリト星人:さぁあなたもメビウスの様に意識を残してあげましょう
カプセルの中のAに真正面から向かい、自慢の口を向けるヒッポリト星人。
身動き一つ出来ないAに狙いを定め、体から魂を抜き取った。
口から強引に吸引される光の塊。そう、Aの魂が口から抜き出されカプセルを貫通し
ヒッポリト星人の口の中に吸い込まれていったのだ。
魂を抜かれたAの体はもぬけの殻になり、瞳は沈黙してしまった。
その抜け殻にカプセルは容赦しなかった。
頭上にタールを浴びせかけ、体と同じように深緑色に汚していった。
頭も顔もゆっくりと液体が降り、まるで敗北の悔しさのあまり
涙を流しているようにさえ見える。
そして、涙ともとれるタールは光りの戦士だった部分を全て覆い尽くしてしまった。
ヒッポリト星人:お待たせしました・・・・
さぁ、体に戻る時間です、A
ヒッポリト星人の口から、吸い込まれた魂がAのカラータイマーを通して戻っていった。
ヒッポリト星人:どうです?不思議な感じがするでしょう?
A:・・・く・・・・そ・・・・・・・・・・・
無念に言葉を詰まらせたAを覆い隠すようにカプセルの下から灰色の煙が充満し始めた。
徐々に煙が晴れ、カプセルが自然と消えた、その場所にはブロンズ像がまた一つ増えていた。
助けを求め、天を仰ぐ哀れな光りの戦士の像がそこにはあった。
ヒッポリト星人:これで完成です。もう、私達にもあなたを元には戻せませんよ。
ふふふふ・・・・・さぁこれから忙しくなりますね。
現れるがいい、ウルトラ兄弟達よ!!
ふははははははは・・・・・
ヒッポリト星人に言葉に従い、ブロンズに包まれたAの頭上から本人の意に反した
ウルトラサインが発射された。
そう、SOSのサインが・・・・
もしも自分の意思で打てたとしても、出すことはなかったサインだった・・・・
A:ま、まさ・・か・・・・メビ・・ウス・の・・・サイン・・・・も・・・・?
ヒッポリト星人:今頃気がつきましたか?
そうですよ、あれはあなただけにしか見せていない、
あなたをおびき出すためのサインです。
A:・・・・最初・・・から・・・・・・
ヒッポリト星人:そう、あなたは罠にかかっていたのですよ。
これからのここに現れるあなたの兄弟と同じでね。
くくくく・・・
A:・・・来ちゃ・・・だ・・・めだ・・・・兄さん・・・・・・
ヒッポリト星人:来ないわけがないじゃないですか。
それに、オブジェにされてよかったと、あなたは思うはずですよ。
兄弟に比べたらね・・・・・
A:兄・・さん達に・・・・何を・・・・する・・つもり・・・・・だ・・・・・・
ヒッポリト星人:それは後のお楽しみです。それでは・・・・
別れの言葉を言い残しヒッポリト星人は消えてしまった。
そこに残されたのは敵に敗北し、ブロンズ像にされ惨めな姿を晒されている
二人の光の国の戦士だけだった。
