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怪獣の出現で、MAT基地から出動する郷秀樹。
秀樹は、気になっていた。
『赤い巨人。いつもの怪獣の出現とは、ずいぶん様子が違うようだ。
やみくもに街を破壊するではなく、誰かを待つようにじっと直立する赤い巨人。
いやな予感がする。』
と呟く郷秀樹。
赤い巨人の姿を瞼に浮かべると、何故か胸が熱くなり、鼓動が高まった。
郷は、何かを否定するように首を振った。
郷の乗ったマットアローが攻撃を受け、
ピンチに陥った秀樹がウルトラマンへと変身した。
虹色の光から現れるウルトラマンの雄姿。
ウルトラマンと対峙するウルトラキラー。
「やっと来たな。ウルトラマン。待っていたぞ。」
『なにっ。』
ウルトラマンの目前には、ウルトラマンに似た、しかし、それ以上に大きな肩、
厚い胸板を持ちがっちりとした体躯を誇るウルトラキラーが立ちはだかっていた。
その胸には、ダイヤ形状に輝く金色の石が装着されていた。
(なぜだ。俺には奴の姿が眩しい・・・。)
邪念が生じる前に、先に動いたのはウルトラマンだった。
ウルトラキラーににじり寄り、間合いを縮めるウルトラマン。
ウルトラマンは上空へ空高く飛び上がり、後方回転しながら敵に蹴りを入れた。
後ろによろめくウルトラキラー。
次に、ウルトラキラー目掛けて走り、すれ違いざまにチョップを決めた。
攻撃をもろに受け、ひざまずくウルトラキラー。
(そうだ、もっと俺を攻撃しろ。無駄にパワーを消耗させるのだ。)
ウルトラマンはパワーを消耗し、ブレスレットがバックアップに蓄えたパワーを
ウルトラマンに注ぎ込む。
ウルトラマンは一気に勝負をかけた。
両腕を十字に組み、その銀色の右手からウルトラキラーに向けてスペシウム光線を
発射した。
「う〜うっ――――っ。」
スペシウム光線は、ひざまずくウルトラキラーの肩から背にかけて見事命中し、
赤色の皮膚が黒く焼けただれる。
息も絶え絶えに見えるウルトラキラー。
慢心したウルトラマンの隙を、ウルトラキラーは見逃さなかった。