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俺は徹底して、健の立場を利用する事に決めた。

偶然にも、最良のポジションを得る事になった健。いや、ウルトラキラー。

月に一、二度、自室で逢瀬を重ねる二人。

もちろん、俺は、その間でウルトラマンの秘密を探ろうと郷の精を採取し分析した。

しかし、それらは、残念な事にただの人間 郷秀樹 の精であった。

ウルトラマンの精でないと意味をなさないという事が、既に判明している。



しかし、郷と健の二人は、非常に深い絆で結ばれていたようだ。

全てを隠すことなく、俺に語る郷秀樹。

驚くべきことだが、郷秀樹がウルトラマンであるという事も含めて全てだ。

俺、すなわち健は、郷秀樹がウルトラマンであるという事実を既に昔から知っていた

ということだ。



今日も、愛し合う二人。

健は、全裸の郷の左手首に金色に輝くアクセサリのようなブレスレットを見つめる。

郷はふだんからいつも長袖を着ている。

その中にこのブレスレットを人目を避けるように隠している。

また、郷はそれを肌身外さず付けている。

この俺ですら一度も外しているのを見たことがない。

ウルトラブレスレットだ。

愛し合う健だからこそ、知り得た秘密。



(そろそろ、あと、ひと押しするとするか。)

「郷。いつも気になっていたんだが、その左手のブレスレット。」

『ああ、これ。』

「見せてくれないか。そのきれいなブレスレット。」

肌身離さず装着する事が必要だが、健の頼みとあっては断れない。

『いいよ。健さん。少しなら。』

(おおっ。これがウルトラブレスレットか。)

金色に輝くブレスレットを壊れものに触るように大事に両手で持つ坂田健。

健の指先がしっとりとゆっくりとウルトラブレスレットを撫ぜまわす。

指先がブレスレットを解析していく。

表面の硬度を探し当ていく。

表面に長時間密着させるとこで、透視能力向上が図られ、

困難だった内部の透視が可能となり、分析が進められていく。

いくら時間が経っただろうか。

『健さんも好きだなぁ。』とつぶやく秀樹。

「ああ。綺麗だ。ちょっとはめても良いか?」

『好きにしなよ。健さん。』

(好きにさせてもらうよ。郷秀樹。いやウルトラマン。)

健は、おもむろにブレスレット自身の左手首に装着する。ブレスレットをはめる位置

の健の肌の色がそれ以外の部分と微妙に違っていた。もちろん、秀樹は気づかない。

健の腕に組み込まれたセンサーが、接したウルトラブレスレット裏側の解析を開始した。

猛烈な勢いで、解析分析する健の頭脳。



一方、その思いとは裏腹に、健はブレスレットを装着したまま、秀樹を愛撫する。

健の唇が秀樹の唇を奪い、秀樹の口を蹂躙する。

ブレスレットをつけた健の左手が、秀樹の厚い胸板を撫ぜさする。

健の右手が秀樹の急所をやさしく包み込む。

『ああっ〜〜。』

いつもより、ゆっくりと時間をかけて、秀樹の心と身体を溶かしていく。

解析が終了したのと、健の手の中で秀樹が果てたのは同じタイミングだった。



秀樹が部屋を出て行った後、解析結果に目をやる健。

「これは素晴らしい武器だ。何通りもの武器に変容し、敵を倒すパワーを秘める。」

「また、闘いの時、ウルトラマンに対し40%のパワーを供給しアシストする機能

も持つ。」

「このパワーはブレスレット自身が生成しているものではなく平時の余剰の累積だ。」

「ん?と言う事は、ブレスレットはパワーの一方通行ではなく、双方向の機能をもつ。

 ブレスレットを通じて、パワーを与えることもできるが、吸い上げることも可能と

いうことか。この機能を利用すれば、奴を叩けるかもしれない。」



解析は終了し戦略が立てられた。

(ウルトラマンよ。次に君が変身する時が、君の最後だ。!)