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地球の征服を狙うウルトラキラー。
がっちりとした赤い体躯がモニターを見ながら、ウルトラマンを解析していく。
「強い。想像以上の強さだ。
今の俺の力では勝てない。どうすればいいのだ。」
机に置かれた写真を見つめるウルトラキラー。
(ウルトラマンの地球人としての姿は郷秀樹。)
「郷秀樹をさぐれば、ウルトラマンの弱点へと繋がるかもしれん。」
郷秀樹は、MAT隊員の一面も持つが、いつもは坂田自動車修理場で働く青年だ。
坂田の家兼工場で同居している。
坂田健、妹のアキ、年少の弟次郎だ。
「どうも、奴はアキといい仲のようだ。アキをどう攻め、利用できるかだな。
様子をよく確認せねばならないな。
そうだ、いつでも見張れる立場の健と同化するとするか。」
早速、ウルトラキラーは坂田の家に侵入し、自室でくつろぐ健を襲うと同化した。
「ふん。人の身体はしっくりこないが、しばらく、さぐりをいれようか。」
1週間、2週間と、彼らと共に過ごすが、秀樹はアキと単に仲のいい兄妹のように
過ごすのみだ。
(おもしろくない。何もないのか。これだけなら、弱点とはなりえない。)
それから、ある日、午後からのMATへ出動するため、オレンジの隊員服に身を
包んだ郷秀樹が、事務所を通る際、事務所で働く健に眼くばせをした。
秀樹が、手持無沙汰に仕事場の隅でたたずみ、俺を待っていた。
たたずむ秀樹に近ずく健。
秀樹が健を見つめ、小声で囁く。
『今日は、夜の12時には帰ってくる。そのまま部屋に行ってもいいか?健さん』
「ああ。」俺は何の事か判らないまま、頷く。
(何なんだ?)
夜中の12時過ぎ。
健の離れの部屋へ繋がる廊下。
ひっそりと廊下を渡る足音が静かに響く。
健の部屋のドアがあく。
『なんとか帰れたよ。』
オレンジの隊員服に身を包み、にこやかな郷の顔が俺を見つめる。
そして、部屋に入るなり、いきなりランプを消す郷。
『明るいのは嫌いなんだ。』
(何なんだ?)
暗闇の中、郷は無言のまま俺の前に立つと、再び俺をじっと見つめる。
そして、俺を両手で抱きしめ俺の唇を奪った。
(こういうことだったのか。)
郷の舌が、強引に俺の口内を占拠する。
身体を押し倒し、股間を俺に押しつけてくる。
郷の荒い息使いが、耳元で聞こえる。
俺は、そのまま郷に身を任せた。