捕 食 

 

第4話

 

「ヘアアア!!!」

アルスを捕食していたドランゴの背中に向かって、リュートはスプラッシュ光線を浴びせた。

「ギャッ!!!」

光線はドランゴの背中に命中した。

リュートの必殺技を受けた怪鳥は羽をバタバタとさせ、苦しむ。

続けてリュートはドランゴの背後に飛びつき、アルスから離れさせようとする。

ドランゴは強力な羽でウルトラマンを後方に吹っ飛ばした。

ドスーンと尻餅をつくウルトラマン。

ドランゴはアルスからはなれ、新たに現れたウルトラマンに目をやる。

嘴が大きく開いた。

(火の玉が来る・・!!)

嘴の奥から発射された火の玉をとっさにジャンプしてよけるリュート。

ドランゴの羽が小さく二三回ユラリと動いた。

次の瞬間ドランゴは、低空の高速飛行でリュートに突進してきた。

先端の嘴は胸のカラータイマーを狙っている!

あの嘴が胸に刺さってしまったら一発で命を落としかねない。

(速い・・・よけきれない・・・!!)

バーン!

嘴がッリュートの肩口を掠める。

幸い胸を突き刺されなかったがドランゴの大きな片翼がウルトラマンを直撃する。

「ウアアアッッ!!!」

ドランゴの強力な羽でリュートの軽い体は宙に舞った。

二三回転して地面に叩きつけられる。

予想以上のダメージを受けた巨大戦士は肩口を押さえてうずくまる。

「フェアア・・」

ドランゴはそのまま上空に上がってゆき、鮮やかに旋回し、急降下してくる。

 

ドスゥッ・・・・

 

「ウグゥッ・・・!?」

リュートの背中に嘴が突き刺さっている。

嘴は貫通してカラータイマーの下から覗いていた。

「アアアッッッ・・オァゥッ!!」

そのままドランゴは光の戦士を嘴で捉えたまま持ち上げる。

「ハァ・・・ンンアアアアゥッッ!!!!!!」

手足をバタバタさせよがるリュート。

しかしそれで強敵ドランゴから逃げられるわけではなかった。

残虐なドランゴはリュートに突き刺した嘴を開けにかかったのだ!

「ギイィィィッアアアアアアアアァァッ!!!」

嘴が開いてゆく。胴体がこのままでは引き裂かれてしまう。

リュートは自分に突き刺さったドランゴの嘴の先端を両手で必死に閉じようとする。

 

「ヘアアアアアアッッッッウアアアアアアアアアアアアアァァァァ!!!!」

渾身の力で押さえ込むリュート。

バキィッッ!!!!

幸運なことにドランゴの嘴が割れた。全く効いていないかに見えた先ほどのアルスの攻撃は

確実にダメージを与えていたのだ。

「キィィィィィッッ!!!」

絶叫するドランゴ。

リュートはついにドランゴから脱出することに成功した。

しかしダメージが深いのはウルトラマンの方だった。

空洞ができた胸の下のおおきな穴を押さえたまま動けない。

嘴を折られ、怒りにふるえるドランゴは動けないリュートを押し倒した。

先ほどウルトラマン・アルスを捕食したときと同じように、ウルトラマンの両手を拘束する。

ドランゴの大きな口が開いた。

喉の奥が赤く光るのをリュートは見た。

なんとこの至近距離から火の玉を吐こうとしているのだ。

(こっ殺されるっ・・・!!!)

「ウアアァァァ!!」

ドーンッッ!!!

不意に目の前が真っ暗になる。

 

リュートには何が起こったのかわからなかった。

気がつくと顔と上半身が返り血で覆われていた。

ドランゴは嘴の折れたまま火の玉を吐き出そうとしたため、うまく吐き出せずに口の中で暴発してしまったのだ。

ドランゴは頭を自らのミスで吹っ飛ばされ、息絶えていた。