巨大な箱庭 

 

〜  5  〜

 

 巨大な鳥の体内、胃袋にまで消化系を進んでしまったスーパーマン。

肉塊の上で脱出法などを考えるが、何も良い案は思い浮かばず、

肉塊はどんどん胃袋を流れにまかせ進み、さらに別な消化系へと進もうとしていた。

 

スーパーマン:まずいな・・・

       胃袋の終わりまで来てしまった・・・・・・

       どうにかしないと・・・・・・・

 

 それまでは大きく開いていた空間が急激に狭まり、天井が低くなっているのだ。

そしてその行き着く先は壁にしわの様なものが見受けられ、

おそらくそこが開け閉めされて消化を調節しているのだとわかった。

 今は閉じているそのしわが開けば胃袋を脱してどんどん消化系を下っていくことになる。

 地球上の生き物を同じような作りをしているとすると、

すでに消化系も後半にさしかかりつつある。

 

・・・ザァァァァァァァァ

・・・ゴォォォォォォォォ

 

 しわが開き、徐々に胃液が流れ出る。そしてしわが開ききると轟音を立てて胃液が流れ出し始めた。

 胃袋に進入した時には大きかった肉塊もスーパーマンが乗ると沈みかねない大きさにまで小さくなり、

勢いよく胃袋から出てしまった、もちろんスーパーマンをのせて。

 

スーパーマン:な、なんだ・・・ここは・・・・・

 

 地球の生き物をベースに考えていたスーパーマンの予想とは似ても似つかない消化器官が

そこにはあった。

地球上の生き物では胃袋の次は腸に移り栄養の吸収を行う。

 しかしどうやら、消化事態は胃袋で終わり、胃袋の出口のあたりで養分を吸収したあとは

排泄に移る仕組みのようだ。

 目の前で繰り広げられているのは怪しげな触手が肉塊を引っ張り込み液体をかける。そこで溶けたものはそのまま床の小さな穴か

体内に吸収されている。

そして溶け残りはさらに奥へと進み何かされているが、暗くてよく見えない。

 

スーパーマン:・・・・まずいな・・・・これは

       ・・どうにか・・・パスしないと・・・?!

       し、しまった・・・・

 

 まだ触手の尋問までは距離があると油断していると密かに足元から伸びた触手に

腰周りをしっかり捕まれ優先的に奥へと進ませてもらえた様だ。

肉塊同様に怪しげな液体を全身にかけられる。

しかし、ここでもスーパーマンは無傷で何も溶かされることはなかった。

粘々した液体はいつまでもスーパーマンの体に付着し、

取れる気配も蒸発する気配もなかった。

青いスーツも顔も妙にてかりを帯びて怪しげに光っている。

 

スーパーマン:・・・・ふぅ

       ・・・さすがにダメかと思った・・・・・・?!

       なっ・・・あああぁぁぁぁぁぁぁ

 

 消化液で溶けなかったことに安心し、油断したスーパーマンの両足を

新たな触手が束ね床を引きずり奥へと引っ張り込んだ。

触手が安定しないため、床を引きずられながらも体は回転しスーパーマンは

粘液まみれの床に何度も顔をつけられ体の隅々まで汚されていった。

 どのくらい引きずられただろう、急に両足を束ねていた触手が離れ床に放置された。

引きずられた時間が長かったのと回転が激しかったためにすぐに動くことが出来なかった。

 放置された場所は妙な突起がたくさん天井や側面の壁に見られる嫌な場所だった。

 

スーパーマン:こ、ここは・・・何をする場所なんだろう・・・・・・

       動けるようになったら移動した方が賢明だな・・・・

 

 スーパーマンが感じ取った嫌な予感は的中した。

突起の先から白い液体が滴り始めた。

天井から垂れた液体は床に、マントに胸板にと至るところに落ちていった。

消化液ではないらしく、特にその時は何も変わりはなかった。

 

グギュルルルルルルルルル

 

 白い液体が徐々にペースを上げて滴り始めた途端、今まで引きずられた方向の肉の壁が閉じ、

戻ることが出来なくなったのだ。

 

スーパーマン:・・・ぷはっ・・・先に・・・・はぁ・・・

       行くしか・・・ないの・・・か・・・・・

 

 徐々に体が白い液体にまみれていくスーパーマン。

透明ではなく完全な白。

修正液でもかけた様に体は白くなっていく。

まだ体力の戻っていないスーパーマンはよろよろと、そして右足を引きずりながら進んでいった。

 進めども進めども天井と側面の突起があるのは変わりなく、

移動はしたものの体を白くされるのには変わりなかった。

 

スーパーマン:こ、これはどういう・・・・ことだ・・・?

 

 どれだけ歩いただろう、いや、実際にはあまり歩いていないのかもしれないが、

スーパーマンがたどり着いたのは行き止まり。

それも胃袋の時と同じでしわのある壁。

つまり、ここも開閉するということである。

 今は閉じているので奥へと移動することもできない。

 

ゴォォォォォォォォォォォォ

 

 遠くから何かが轟音を立てて流れてくる音がする。

今たっているのは行き止まりの場所。

逃げ場はもとよりない。

 流れてきたのは予想通り、この白い液体だった。

まるで津波の様に空間いっぱいに流れてくる。

 スーパーマンが息を吸い込みやり過ごそうとした瞬間。

 

グギュルルルルルルルルル

 

 背後にあるしわが急に開いたのだ。そこから見えたのは外界。

スーパーマンは腸にあたる場所をひきずられ、肛門を調べて立ち往生していたのだ。

 しわが開いたのとほぼ同時にスーパーマンは白い津波に飲まれ体外に排出された。

 体外に排出される時に肛門の部分で何か透明な液体が大量に放出されていた。

そしてそれも体中に浴びながら地面に向け落とされたのだった。