死の幻想  

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 行方がわからなくなった家族と仲間を助けに、突如として現れたサーカスのテントに来た悟空。

彼が目にしたものは誰もが想像しなかった「もの」だった。
 

 謎の男アメミットの指輪が光り、あまりのまぶしさに目を閉じてしまう悟空。

目を再び開けるとベジータと悟飯に異変が生じていた。
 
ベジータ:・・・く、苦・・し・・い・・・・・
 

悟飯:・・た、たす・・・け・・・・・て・・・・
 

悟空:ベジータ!悟飯!
 

ベジータ:カカ・・・ロット・・・か・・・駄目だ・・・・
 

悟飯:父さ・・ん・・・逃げ・・・て・・・・こいつ・・・は・・・・
 

アメミット:おしゃべりはここまでですよ
 
 アメミットの左手の指輪が緑色の光を放ちベジータと悟飯の二人の動きが止められた。

悟空に助けを求める様に身を必死に乗り出そうとしているが、柱がそれを許さない。

顔は苦しみに満ちたまま、再び動かぬ彫刻にされてしまった。
 
アメミット:さぁ、わかりましたか?
 

悟空:ここにみんながいる。

   そうとわかったなら話は早い!おめぇを倒せばいいんだ!
 

アメミット:ふぅ・・・あなた方はどうしてそう素直じゃないんでしょう。

      あなたも素直に私のものになればいいものを・・・
 

 

悟空:おめぇを倒して、みんなを取り戻す!!

   でやぁぁぁぁぁぁぁ
 
 いつもの調子で武空術でアメミットに飛びかかろうとした悟空。

しかし、大地を蹴った体は浮くことはなかった。
 

悟空:・・・・?!おめぇ、何かしたのか?
 

アメミット:さぁどうでしょうねぇ?

      皆さん、このテントの中では力が出せないみたいですよ
 

 

悟空:飛べなくても、おめぇには負けねぇ
 
 悟空はアメミット目掛けて一心不乱に突進した。
 
アメミット:二人とも、出番ですよ。
 

悟天、トランクス:・・・・・・・・・・・・・・
 

 突進した悟空に対してピエロになった二人は衰えることのないサイヤ人の本来の力で無数のナイフを投げつけてきた。
 
悟空:ふ、二人とも・・・やめるんだぁぁぁぁぁぁ
   

    悟天、トランクス:・・・・・・・・・
 


 悟空の呼びかけには全く反応せずにナイフを投げ続けた。
 

 何百、何千とナイフが投げられた。

それをよけ続けた悟空であるが、やはり完全によけることはできず、かすったナイフのせいで自慢の胴着は見る影もなく

ボロボロに切り刻まれていた。
 
悟空:ふ、二人とも・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・やめるんだ・・・・・
 

アメミット:お客様はまだ楽しみ足りないご様子だ。

      二人とも、おもてなしして差し上げなさい。
 
 アメミットの言葉に無言で動く悟天とトランクス。
 

トランクスが両手の間に作った緑色の球体。

少なくとも今までにトランクスが使ったことのない技だった。

悟空は、トランクスの技が自分に痛手を負わせることはないだろうとは思い、そしてナイフで受けた傷でろくに動けないことから

防御に徹することにした。

今考えると、この時すでに悟空には冷静な判断は出来なかったのかもしれない・・・・・・