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 ラディゲが姿を消し、ドーム内にはレッドホークへと変身した竜と改造された戦闘員達

だけが残されたが、戦闘員達はさらに増え続けている。竜の目には見えていないが、少し

ずつ増殖していたのだ。しかもブリンガーソードは折られてしまっている。だが、竜はそ

れにも気づけないほど彼らに苦戦し続けていた。

 

「くそっ、グリナム兵なんかに負けられっか……!!」

 

竜は必死で抵抗し、戦闘員達を跳ね除けようとするが、どれだけ頑張っても竜の手足を

押さえつける彼らの腕が動くことはない。揺れることもさえなく、完全な力で押さえつけ

られている。1体がそれぞれ次元獣1体の力を持つだけに、多勢に1人だけで対抗するこ

と自体が無謀といえる状況なのだ。

 

「くそっ、離せ……っ!!」

 

 竜が再び叫んだ直後だった、戦闘員達が一斉に竜を抑えつかなくなったのは。竜は戸惑

いながらも、反射的に反撃しようと立ち上がる。しかし、これは彼らの作戦だった。立ち

上がった竜は再び彼らに身体を掴まれていた。殺気も何も感じない、ただ獲物を捕らえる

ためだけと思えるような一瞬を彼らは狙ってきた。

 

一体何が起きるのか、数秒の間に背筋が凍る何かを竜は覚え、彼らに一撃を食らわそう

とした。だが、前に繰り出した拳を逆につかまれたかと思うと、腕を大きく上に上げられ、

背中にある翼、ジェットウィングを引き剥がし始めた。スーツから火花が飛び散り、接合

部が無理やりはがされ、スーツ内の組織が一部露にされていく。圧倒的な力でジェットウ

ィングが引き剥がされ、さらに引きちぎられていた。竜が叫ぶ暇もなく、彼の翼が小さな

歯切れに変わっていく。

 

「や、やめえぇ……あぁぁーっ!!」

 

竜は必死で叫ぶも、彼らの耳には届いていない。翼が単なる布地になると、彼らのうち

の1体が何かを吠え立て、それと共に彼らが牙や尖った歯を剥き出しにした口を突き出す

ように襲い掛かった。

 

「うぐっ! やっ、やめろっ!! 離れろっ!!」

 

 一人の戦闘員の奇声と共に、戦闘員達は竜が装着しているジェットマンスーツに歯を立

て、舌を這わせてくる。スーツはジェットウィングよりも強靭に作られてはいたが、それ

でも鋭い歯の突き刺さる痛みや、舌を這わせた感覚が身体に伝わってきた。何とかパンチ

やキックで応戦しながら彼らを引き剥がそうとする竜だが、戦闘員たちの数は多く、彼ら

に対して竜の攻撃は全く効果も示さないためにキリがない。先ほどジェットウィングを引

き剥がされたことでスーツの耐久性も低くなっているに違いない。

 

「こうなったらバードブラスター!!」

 

竜は周囲にいた数体を何とか押し返すと、右手にバードブラスターを持ち、ウィングガ

ントレットを左手に装備する。これで近くにいた1体を攻撃し、一撃で倒すことに成功し

た。同じように1体1体を倒していく戦法に移った竜だったが、

 

「あひゃひっ!!」

 

突然うなじ辺りに冷たい何かが当り、すっと撫でられた。思わぬ感覚に奇声を発した

瞬間、その隙を狙ったかのようにグリナム兵は再び襲い掛かる。彼らは集中的に両手を狙

い、装備した武器を奪い取ってしまった。バードブラスターもウィングガントレットも何

処か遠くへ放り投げられている。そして彼らは先ほどと同じように身体に噛み付き、歯を

立て、舌を這わした。

 

「ううぅっ!! やめろっ!!」

 

 体格のいい竜の腕や太股から始まり、脇腹や足先、肩から至る所に戦闘員達は噛み付い

ている。耐久性が低くなったとはいえ、強靭なスーツのおかげで多少の痛みは軽減されて

いるが、それでも全身に痛みが走り、さらに舌を這わす攻撃に至っては防御のしようもな

い。スーツを通してその舌触りの感触全てが感じさせられていた。しかもうなじ辺りはジ

ェットウィングを引き剥がされていることでスーツの耐久性がないに等しく、直接舐めら

れているような感覚を覚えてしまう。

 

「うぐぅっっっ……、ぐあああぁぁぁ……」

 

 必死に抵抗しながら耐える竜だが、軽減され続ける痛みも積み重なるに連れ、感じる酷

さが増してくる。彼らはジェットウィングを引き裂いたときのように爪をも立て、爪の先

でわざとスーツをなぞってはさらに奇妙な感覚を竜に感じさせてきた。様々な戦いを経て、

多少は攻撃に対しても防御力をもててきた竜だが、痛みには耐え切れても、舌や爪による

奇怪な攻撃には対抗できない。必死に耐えていても徐々に防御力が落ち始めていた。それ

を竜はまだ気づいていなかったが、その影響は身体に現われ始めていたのだ。

 

「どうだ? そいつらに感じさせられてきただろう?」

 

 必死に耐える竜の眼前に、突如ラディゲの顔が現われた。再び偶像となって竜の前に姿

を現したようだ。手には武器を持っており、どこかで戦っているのか、今度は仲間の声や

爆発音、悲鳴も聞こえてくる。自分一人が何も出来ずにここにいる。竜はラディゲのから

かいに反応し、怒鳴ろうとしたが、声が震えてしまった。

 

「くあっ……、そ、そんなはずはないっ!!」

 

「否定しようとも無駄なことだ。お前の身体には感じている証拠が現われているぞ?」

 

「なっ……、何だとっ!?」

 

 ラディゲの言葉に反応して、竜は思わず自分の股間を見てしまった。確かに少し膨らん

でいるように見える。敵に思わぬ場所を指摘され、竜は恥辱から何も言えなくなっていた。

だが、その口は無理やり開けさせられることになった。

 

「うぐふはっっ!!」

 

 竜は身体をビクッと動かして呻く。戦闘員の一人が股間に噛み付いたのだ。思わず反応

して奇声を発してしまい、ラディゲや戦闘員達の笑いが激しくなった。屈辱に覆われる竜

は負けじと身体を震わせ、腕を振り、戦闘員達を押しのけようとする。怒りを纏った竜の

力に戦闘員達は押されかけたかに見えた。だが、股間に噛み付かれ、必要以上に舐められ

始めた竜の戦闘力は徐々に低下していくのがあからさまに分かる。どれだけ否定しようと

も、戦闘員の攻撃で感じてしまっているのだ。そのうえ、スーツ自体も耐久性がほぼ無に

等しくなり始めたのか、彼らがスーツに爪を立たせても火花の出る量が減り始めていた。

 

「どうやらお前の装備が布と化したようだな。お前ら、舌だけでそいつを攻めてやれ。俺

はもう少し、そいつらの仲間と遊ぶ必要があるからな」

 

 ラディゲは戦闘員達に命令すると、再び姿を消した。その直後から、歯を立て、爪を立

てていた彼らの攻撃が舌だけに変わっていく。彼らの大きく長い舌が涎を垂らしながら竜

の身体を舐め回し始めた。そのうえ、先ほど竜が倒したと思っていた戦闘員が突然立ち上

がったかと思うと、彼らも何事もなかったように襲いかかってくる。攻撃の痕は残ってい

たが、ダメージがあるようには見えない。そのうえ、そのうちの1体は竜の両脚の間にい

たため、蟻の渡りが直に舐め取られた。

 

「うあぁぁぁぁぁっ……、く、くふぅっっ……、ぁあぁぁあぁぁぁっ……」

 

 先ほどまで痛みを感じていた場所から、胸板や首筋、太股から股間までが嘗め回され、

竜は必死にこちらも耐えようとするが、全く耐えることができない。口を必死に塞ごうに

も口の隙間から喘ぐ声が漏れ、スーツの上から防御力を通り越して感じてしまう感触に狂

いそうになるほどの快感が押し寄せてくる。スーツは見る間によだれで汚れていく。赤を

基調とし、腕や足を覆う白い部分から、ブーツやグローブ、マスクまでがよだれで汚され、

テカテカと淫らに光っていく。スーツは完全に布と化し、火花が出る様子もない。ヘルメ

ット内の機能も働かなくなり、単なる視界でしかなくなっていた。

 

「こっ……、こんな、奴……らに、感じ……さ……、れ……な……」

 

 抵抗する様子も全くなくなり、竜の両手は指の先が微かに震える程度しか動かせていな

い。赤いビキニパンツのようなスーツが覆う股間は膨らみ方が徐々に大きくなり、テント

が張られるほどになっていた。そこを一心不乱に一人の戦闘員が舐め続けている。彼らの

涎による汚れではない、小さな雫の痕のような点がスーツに見え始めてさえいる。竜は座

ることもできないまま、直立した姿勢で彼らの行為を受け続けていた。

 

「これで正義の味方とは聞いて呆れるな」

 

 竜が目を開けると、戦闘員達の身体で見えにくいが、ラディゲが再び姿を現していた。

今度は偶像ではなく、本体らしい。同時にドームの向こう側には仲間の姿が見えた。

 

「お前の仲間が来てしまったが、お前は耐えられなかったようだな」

 

ラディゲは見下すように竜を覗き込む。彼の手には4本のブリンガーソードがあり、外

にも同じような戦闘員が仲間を攻撃している姿があった。彼らが叫び苦しむ声が聞こえ、

爆発音と共に仲間が吹き飛ぶ姿も見える。だが、竜は動くことも反応することもできない。

ラディゲが戦闘員達を離れさせても尚、竜は動けなかった。身体全体を嘗め尽くされ、ス

ーツを汚され、そのうえ身体中の感度を上げられてしまい、全身を性感帯に変えられてし

まったのだ。少しでも動けば、皮膚とスーツのこすれが竜を感じさせてしまうからだ。し

かも股間はかなり盛り上がっており、小さな漏れが見えている。絶頂まであとわずかとい

うほどで、敵の目前で果てることになると悟った竜が必死に我慢していた。

 

「どうやら、俺の作戦はうまくいったようだ。お前は俺から見て戦闘意欲のある奴だ。し

かも、お前は恋人を失っていると聞く。だとすれば、そういう行為は長くしないと考えた

が、やはりそうだったようだな」

 

 ラディゲは竜が性行為を怠っていると考えてこの罠に嵌めた様だ。その結果、竜は絶頂

が間もないために敵の眼前でも何もできない。ラディゲの笑みが竜をドンドン屈辱の底に

貶めていく。外ではドーム自体から光線が発射され、既に動かなくなっている仲間達を攻

撃していた。仲間達の微かな叫びが聞こえてくるも、屈辱にまみれながらも必死に我慢し

続ける竜にはその声も聞こえていない。その時、ラディゲがゆっくりと竜に近づいた。

 

「仕上げは俺が行ってやる」

 

 ラディゲの言葉にかすかに首を上げ、何をする気だ、と竜は言おうとした。だが、竜が

言うよりも早く、ラディゲの足が竜の股間を踏みつけるように押し付けられ、その攻撃に

よって竜は尻餅をついてしまった。ラディゲの足はそのまま竜の股間を強く踏みにじって

いく。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁっっ!! あぁぁぁぁぁあッ、ぁぁぁぁああ……」

 

 ドピュウッ、ドピュッと音を立て、竜の身体が激しく起き上がり寝そべりを繰り返し、

激しく振動した。