第4話

 

 持ち掛けられたリベンジマッチを受け、蜘蛛の巣リングで戦うタイガーマスク。

 しかし、前回のデビルスパイダーとの戦いで少しは要領を得たと思われた

蜘蛛の巣リングの上での戦いも予想以上の苦戦を強いられ、やられたい放題。

蜘蛛の巣にかかった蝶の様になす術なくタランチュラの猛攻に体を弄ばれるだけであった。

 両足をリングにとられた時に股間を強烈に痛めたことがタランチュラにばれてしまい、

弱点を集中的に狙われるタイガー。

 そんな彼に逆転のチャンスなどあるのだろうか?
 
タランチュラ:おねんねするのは早いんじゃないか?

タイガーマスク:・・・うぐっ・・・・

         くっ・・・くそ・・・?!・・・・


タランチュラ:お前はやられ専門のヒーローかっ!てんだ!!!
 
 だらしなく空中に浮かぶタイガーとは対照的に華麗に飛び上がるタランチュラ。

 タイガーの両足を手首を返して掴み、体を反転させ、

勢いを殺すことなく禍々しいブーツの角を獲物のウィークポイントへと落す。

ガスッ!

バタン!

 かかとを股間に命中させ、そのままタイガーの体をリングに叩き付けた。

 そして、タイガーがリングにぶつかる衝撃を利用してさらに空中に飛び上がり

膝をそろえ、肘を突き出し、奇妙な格好でタイガーの体に飛び降りていくタランチュラ。

 次々に弱点に加えられていく攻撃・・。

追撃がくるとわかっていても股間にたまる鈍い痛みに体が自由に動かず、

かわすことも防ぐことも出来ない。

 そんな動きの止まった獲物にリングの主は容赦などするはずもなかった・・・。

ドスッ!ドスッ!

ゴスッ!

 突き出した両肘はタイガーの鍛え上げられた胸板へ、

そろえられた両膝は振り下ろされた金槌の様に再び痛め続けた股間へとそれぞれ振り下ろされたのだ。
 
タイガーマスク:・・ぐわぁぁぁぁあああああ・・・・

         はぁ・・はぁ・・・うぅぅ・・

タランチュラ:おやおや、涎が出るほど気持ちがよかったかい?タイガー

タイガーマスク:・・ま、まだだ・・・・まだ・・・・・

タランチュラ:そうかい、そうかい。そりゃ結構だ・・なっ!

タイガーマスク:・・・・・!?・・・・ぐわぁぁぁああぁああああ
 
 攻撃のショックから胃液を吐きながら、しかし負けを認めずタランチュラを

睨み付けるタイガーマスク。

 しかし、最早、このリングの主には試合ではなく獲物をいたぶるゲームとなっているようで、

余裕の表情を浮かべ身動きしないタイガーの股間を力いっぱい踏みつける。
 
タイガーマスク:・・・ぐぅぅ・・・・・・

タランチュラ:本当につまらないやつだぜっ!・・・

        ?!・・・な、何を・・・ぐわぁぁぁぁぁ


タイガーマスク:油断したなっ!タランチュラ!
 
 股間を踏みつけて動かないタランチュラの両足を、

必死に痛みに耐えながら掴み引き倒すタイガーマスク。

 この時すでに、男ならば誰もが急所となる股間を何度も何度も攻められ続け

フラフラなはずだが、負けるわけにはいかない!

その精神力だけで体を動かし、反撃に出たのだった。

 引き倒したタランチュラの腹部をジャンプ台にして飛び上がり

フライングボディーアタックを決めにかかるタイガー。

 これを逃せば二度とこないかもしれないチャンス、考える暇などなかったのだ・・

思いつくままに技を繰り出し逆転勝利を掴み取る・・・はずだった・・・。
 
タランチュラ:・・・ふっ・・・甘いなっタイガー

タイガーマスク:な、何っ!・・・・?!・・・・・

          ぐわあぁぁぁあああああ


 飛び上がり覆いかぶさるように降りてくるタイガーの開かれた股間を

見逃すタランチュラではなかったのだ。

 無計画にしかけられた技で無防備に開かれた両足の間をオーバーヘッドキックの要領で

打ち抜くタランチュラ。

ドスンッ!

 今までしかけられたどの急所攻撃よりも鈍く、そして強い大きな音が響き渡った。

 渾身の蹴りをくらい、タイガーは逆さの姿勢のまま反対側のロープまで吹き飛ばされ、

反動で腹部を突き出したX字の状態、しかも頭を下にした逆さの状態で跳ね返ってきたのだ。

 その動きに連動し、華麗に飛び上がるタランチュラ。

 空中で一回転し、直下にタイガーが来た瞬間を見逃さず、追加の攻撃を加えていった。

 両足を掴み、落下の衝撃も加えながら綺麗にそろえた自らの両足をタイガーの股間に命中させたのだ。

ガスンッ!
 
タイガーマスク:がぁああああああああああ・・・

タランチュラ:おいおい、終わりきるまで寝ないでくれよ!

        正義のヒーローさんよっ!

 
 二人分の体重でタイガーはリングに落下し、首をリングの下に出し動きを止めた・・・ 

前回の試合の悪夢を再現してしまったのだ。

 首で支えるまま、倒れることが出来ず、両足を開き逆さでリングに突き刺さるタイガーマスク。

 フィニッシュとばかりに天井まで飛び上がると、タランチュラは右足だけを伸ばし、

体を丸め、くるくると回転しながらタイガーの元へと降りていった。

 その回転ノコギリの様になったタランチュラは正確に、

寸分の狂いもなくタイガーの急所に右足を振り下ろした。

ボスッ!
 
タイガーマスク:ぎゃぁぁぁぁぁぁああああああ・・・・・・・・・・・

タランチュラ:・・・ふぅ・・・・お前のレスラー人生も終わりだな・・・

        タイガーマスクさんよっ・・・・