第5話

 

 子供の命を守るため、リベンジマッチを受け、

いつもの様に不屈の闘志で勝利をおさめるはず!だった・・・・。

 しかし、地の利を活かした敵の攻撃になす術なく、

ついにリングに沈んだ正義のヒーロータイガーマスク。

 リベンジは済んだと思われたが、復讐の鬼はその魔の手を休めることはなかった。
 
タランチュラ:お前の地獄はこれからだよっ・・・・

       くっくっくっ・・・・・

タイガーマスク:・・・・・・・・・・・・・
 
 気絶したタイガーマスクをリングから容易く外し、

背負ったまま空中の蜘蛛の巣リングを降りるタランチュラ。

 誰もいない試合場・・・しかし、虎の穴の監視カメラは用意されていたらしく、

試合の結果報告を行うため、カメラの前に獲物を引きずっていった。
 
タランチュラ:約束は守った・・・・

       もうタイガーマスクは現れない・・・

       今度はこっちの約束を守ってもらう番だ
 
 無言のカメラを気にも留めず、タイガーを縛り上げ、声が出せないように

ガムテープで口を塞ぎ、布袋に入れ車のトランクに乱暴に放り投げて工場を後にするタランチュラ。

 まるで人形を扱うように単調に車に獲物を詰め、試合開場に思いを馳せることもなく

そそくさといなくなる・・・

お楽しみはこれからだ!と言わんばかりに・・・・。

 そして、どこからともなく虎の穴のメンバーが集まり、

獲物をしとめた後のリングが解体されていく・・・何もなかったかのように・・・・・



タイガーマスク:・・・・んんっ・・・・・こ、ここは?

タランチュラ:よう!お目覚めかい?タイガーマスク

タイガーマスク:タランチュラ・・・?!・・・・

         な、なんだこれは・・・・!
 
 気絶したまま某所へと運ばれたタイガーマスクが目を覚ますと、

予想もしない光景がひろがっていた。

 レスリングブーツ、ビキニ、タイツ、そしてマスクはそのままだが、

囚人が着せられる両手が使えないようになる服を着せられ、

両手を組んだ状態で袖から出すことも出来ず、組んだ手を解放することも出来ない状態になっていた。

 また、足首、膝の2箇所を強力なゴムバンドで両足を束ねられ、

身動きを完全に奪われているのだ。

 さらに、その不自由な状態でも不満なのか、透明な横倒しになった筒の中に転がされていた。
 
タランチュラ:お似合いだぞっ、タイガーマスク。

       動物園の虎の気分だなぁ・・ふっはっはっはっ・・・
 
タイガーマスク:くそっ・・・俺をどうするつもりだ!
 
タランチュラ:どうする?それはお前次第さ
 
タイガーマスク:ど、どういうことだ・・・・

タランチュラ:「私が間違っていました。」と自分の存在を否定し、

       虎の穴に忠誠を誓うのなら助けよう

タイガーマスク:だ、誰がっ!

タランチュラ:ほぅ・・・俺の兄貴への謝罪もなしか?

タイガーマスク:あれは、お前の兄貴が悪いんじゃないかっ!


タランチュラ:なるほどなっ・・・仕方ない・・・

タイガーマスク:・・・?!・・・・ぷはっ・・・

 
 落胆したようにタランチュラはレバーを引いた。

 タイガーの閉じ込められている筒の中に白い粉が降り注いだ。

 横倒しになっているタイガーに粉は降り続け、

しばらくして獲物を綺麗に白くデコレーションしてから妖しげな雪は降り止んだ。

ザバァァァァァァ・・・・

 今度は透明な、多少粘つく液体が筒に流れ込み、タイガーを襲った。
 
タイガーマスク:・・・な、なんだ・・これ・・・は・・・・

タランチュラ:はっはっはっはっ・・

       お前、本当にやられるのが天職なんじゃないのか?

タイガーマスク:んんっ・・・ぷはっ・・・い、息が・・・んんっ・・・んんんっ・・・くっ・・・?!・・・・
 
ウィィィィィン

 透明な液体が降り注ぎ、タイガーに降りかかった粉が急激に粘り気を帯び始めたのだ。

 粉と透明な粘液が合わさることで粘着液に変化するものだったらしい・・・

そのことに気が付いても身動きを完全に封じられたタイガーにはどうすることも出来なかった。

 油断すれば顔を包む粘着液で呼吸を遮られてしまい、

芋虫の様にもがくことを強いられたタイガー。

 しかし、タランチュラはそんなに優しくはなかった。

 巨大な筒はゆっくりと回転を始め、タイガーの体を余すところなく粘着液まみれにし始めたのだ。
 
タイガーマスク:んんっ・・・んん!!!・・・っ・・・はぁ・・・んんっ・・・・

タランチュラ:なに?聞こえねぇよっ!・・・?!・・・

       もっと楽しみたいのかっ!

タイガーマスク:・・・んん!・・・・?!・・・・・・
 
 邪悪な笑みを浮かべ粉と粘液をさらに増量させるタランチュラ。

 筒の中で必死に呼吸を確保しようともがくタイガー。

容赦なく体を粘着し、粘った糸でどこまで堕とされていくタイガーの姿を楽しむタランチュラ。

 正義の虎の見る地獄はここからだったのかもしれない・・・。


 あれからどれだけの時間が経っただろうか・・・

いや、どれだけの月日が経ったのだろうか・・・・。

 タイガーには知る術はなかった。

 筒から解放されたものの、粘着液にまみれたタイガーはそれでも屈服しないため、

床から生えたポールにその姿のままくくられ、顔を上にした状態で固定され、

天井から粘着液を顔に垂らされ苦しめられ続けた。

 顔に落ちた粘着液はタイガーの心と体を汚しながら徐々に体を下っていき、

全身をくまなく汚し尽くしていた。

 呼吸もままならず体力の回復などできるわけもなかった・・・。

 正義のレスラーとして戦ってきた英雄が全国に流されるカメラの前で

無様に粘着液にまみれ辱められていく・・

音をたてて彼の築き上げてきたヒーローとしての歴史が崩れ去っていき、

変わりに恥辱と惨めさの時間が積み上げられ始めていた。
 
タイガーマスク:・・・た・たす・・・げほっ・・・・けて・く・・・

        んんっ・んぐっ・・・・れ・・・・・

 
虎の穴の構成員:タランチュラ様、用意が出来ました
 
タランチュラ:よし、この機械にぶちこめ・・・

       これで虎の剥製の出来上がりだ・・・くっくっくっ・・・生きた剥製のな・・・・

タイガーマスク:・・・・・・・・・・・・・・
 
 全国への見せしめが終わり、次の責めへと移行するタランチュラ。

 タイガーを汚し続ける機械の中に妖しげな液体が注がれていく・・・・

タイガーの時間を止めるための液体が・・・・。