Robin in an exam room  

(6)

研究室

 

 バットマンと共にゴッサムシティの平和のために日夜戦い続けてきたロビン。

 その正義のヒーローは今や田舎の高校生のオモチャとして監禁され、

逃げ出すことなど完全に出来ない状態になっている。

 3人の犯罪研究会の部員により拉致され、どのくらいの時間が経っただろうか・・・・

 ジョーカーの様な犯罪者に捕まるのならまだしも、普通の高校生に捕まり手も足も出ないロビン。

 犯人達が遊びたい時だけゲルを取り除かれ、用事がない時は再びゲルに封入される。この徹底した管理のもと

ロビンは弄ばれていた。

 

ネル ジョージはどうするの?何して遊ぶの?

 

ジョージ 俺は遊びはしないさ

 

ネル じゃあ、何をするの?

 

ジョージ クリスにも頼まれているんだ、このコーティングを取り替えて、

      種を採取して・・・・・

 

ネル ジョージって真面目だねぇ・・・・僕、感心しちゃった

 

ジョージ 俺は自分が作った薬でヒーローがこんなに簡単に手中に墜ちた事実だけで大満足さ

 

ネル そうなんだぁ・・・じゃあ、あとはよろしくね

 

ジョージ あぁ・・・・・

 

 拉致された時の薬で再び眠らされているロビンを前に

ジョージはいそいそと色々な道具や薬を準備していた。

 今までロビンを弄んだ部屋とは違い、ジョージの部屋は薬の開発などを

行うための部屋であり、色々な機材や危険な薬品が多く存在していた。

 

ジョージ さぁて、コマドリを起こすとするか・・・・・

 

 ジョージは何か準備が終わったようで、ネルに嘗め回された顔を軽く平手打ちし

気絶しているロビンを起こした。

 

ロビン んっ・・・・・こ、ここは・・・・・

 

ジョージ ここは僕の研究室だよ

 

ロビン ・・・くっ・・・・まだ例のお楽しみタイムとやらか・・・・・

 

ジョージ そんなに怒るなよ、俺は楽しみはしないから

 

ロビン 拘束しておいてよく言う・・・・

 

ジョージ 条件はつくけど拘束を解いてあげる

 

ロビン ?!

 

ジョージ でも、その後は僕と鬼ごっこをしてもらう

 

ロビン 鬼ごっこだと!!ふざけるな!

 

ジョージ ふざけてないさ。もしも、捕まえることが出来れば逃げるがいいさ。

      でも

 

ロビン でも?

 

ジョージ 僕の攻撃がよけられないと恐ろしいことになるから鬼も大変だよ

 

ロビン 攻撃?

 

ジョージ あぁそうさ、今から見せる実験見てて・・・・

 

 ジョージはロビンに鬼ごっこの提案を済ませると奥から植木鉢と

透明な薬品の入ったビーカーを持ってきた。

 よく喋るネルとは違い、ジョージは無言のまま作業を続けた。

 持ってきた植木鉢のサボテンを手で歪ませて見せた。

 

ジョージ 今見た?

 

ロビン サボテンがどうかしたのか?

 

ジョージ 今しなったよね?柔らかいよね?

 

ロビン 当たり前じゃないか・・・

 

 ロビンにサボテンを見ていたかどうかの確認を済ませると、再び無言で作業を始めた。

 一緒に持ってきたビーカーの中の透明な液体をハケでサボテンにまんべんなく、

しかし薄く塗り広げた。

 塗り終わるとハケを戻し、今度はポケットから赤色のライトを取り出した。

 そのライトで液体を塗り広げたサボテンを一瞬照らし、ライトをしまった。

 

ジョージ よく見ててね。サボテン一つしかないからさ

 

ロビン いったい、何を・・・・

 

 何の説明もなく進む作業に付いていけず状況が理解出来ないロビン。

 そんなロビンを気にも留めずジョージはデコピンをするように指を構え、サボテンにの上部に指を構えた。

 そして指を弾いたその瞬間!

パシャァァァァァァァァン

 

ロビン ?!

 

ジョージ どう?理解出来た?

 

ロビン ま、まさか、その液体にライトを当てると・・・・・

 

ジョージ そう、察しがよくて助かるよ。

      この液体を塗ってライトを当てるとガラスのようになるのさ。

 

ロビン そ、その液体をどうするつもりなんだ・・・・・

 

ジョージ もちろん、君の体に塗るのさ

 

ロビン それで鬼ごっこ・・・・・最初から俺も粉々にする

 

ジョージ わけないでしょ・・・・だったら、もう砕いてるし、最初から・・・・

 

ロビン だったら、どうするつもりなんだ

 

ジョージ この液体でまみれた君は鬼、僕はライトを向けるから避けながら僕を捕まえてみなよ

 

ロビン 当てられたら即座にガラス細工か・・・・・

 

ジョージ 大丈夫、壊したりしないし、人間はこんなに簡単には壊れないから

 

ロビン 簡単には?

 

ジョージ そうだねぇ、例えばこの液体をたくさん、たくさん塗り込んで

      ライト当てた後なら体の中まで浸透してるだろうから粉々かもしれないな

 

ロビン な、なんて恐ろしいものを・・・・・・

 

ジョージ ルールはわかった?

 

ロビン あ・・・あぁ・・・・

 

 ルールの確認が終わると、ジョージはまた無言で動き始めた。

 目の前で起こった衝撃の状況にロビンは少し心が折れかかっていた。

 自分はライトをよけてジョージを捕まえられるだろうか・・・・・と。

 さらに無言で動くジョージの無気味さが余計に恐怖を募らせた。